No.479, May29, 2020, GISシリーズNo.5(後半)COVID-19とレジリエンス、モビリティ with Yuta, M. Wataru, Ryuta

COVID-19関連の制限、Champaign Countyはphase 2から3へ

今日、5月29日には、イリノイ州のChampaign Countyを含むCentral Regionでは、COVID-19をめぐる制限解除が、phase 2からPhase3へ進みました。今週も、Tatsuyaさんが作成されたUIUC JPN COVID-19 Town Hallの資料から情報の一部を、このPodcastの最後に添付させていただきます。

*ミネソタ州ミネアポリスで白人警官が黒人男性を死亡させた事件をきっかけとした抗議活動や暴動が全国で発生。C-U両市においても夜間外出禁止命令(Curfew)を発令。Champaignでは5月31日時点では、8.30pm(Urbana市9.00pm)から6月1日6:00amまで。”Mayor issues curfew for city starting at 9:00p.m“. May31, 2020/09:07pm CDT) 詳細は、Podcastの最後のTatsuyaさんからの情報に加筆しています。

日本は緊急事態宣言は解除

日本では、5月25日、新型コロナウイルス特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が、47都道府県のすべてで解除されました。とはいっても外出制限やイベント開催や施設利用制限が全て解除されたわけではなく、政府は、今後も地域の感染状況を評価して約3週間ごとに、自粛の解除を段階的に拡大していくという方針です。

久しぶりにKanaさんと暮らしトーク

今日は、番組の初めにKyotoのKanaさんと話しました。3月にHarukana ShowにH. Wataruさんと仲間たちとともに出演していただいてから(HS No.471 & No.472)、みんなで対面で話す機会がなくなりました。それからどうしてましたか。そんな近況トークは、Part1です。

Part1, スーパーのWeb「チラシ」(セール告知)がなくなり、、、with Kana

Part2&3は、GISシリーズNo.5の後半です(前半は、No.478へ)。COVID-19とレジリエンス、今回は公園からモビリティの問題へと話題が展開します。

Part2, COVID-19と公園と「格差」、モビリティの実態の捉え方

Part3, 人、情報、物のモビリティ、グローバル経済と各地・個人への影響

Yutaさん、Wataruさん、Ryutaさんそれぞれにまとめの文章を寄せていただきました。

パンデミックが明らかにした「公園」の可能性

コミュニティがパンデミックや災害などの困難に直面した時に、その状態から回復していく力や適応していく力をレジリエンスと言います。洪水が起きた時に浸水した状態から元に戻る柔軟なインフラなどを想像すると、土木的なハード面のレジリエンスを思い浮かべるかも知れませんが、困難な時に生じるネガティブな気持ちを健康なものにすることもレジリエンスを議論する上で重要です。今回のパンデミックでみなさんが実感していると思いますが、ずっと家の中に籠って太陽の光を浴びなかったり新鮮な空気を吸わなかったりするのは、決して健全な状態とは言えないでしょう。その中で、リフレッシュするために少し近所の公園や道に出て散歩をした人も多いと思います。しかし、都市の中には歩いて行ける範囲にリフレッシュできる公園がないコミュニティもあります。遠出しないということを要請されている状態で、遠出しなければリフレッシュできないコミュニティはレジリエンスと言えるでしょうか。人々の健康を維持していくという点で、歩いて行ける範囲に公園や緑があるというのは、それ自体がレジリエンスであると言えるのではないでしょうか。

オープンスペースと社会

ここで言う「公園」は遊具があるような児童公園など限定的な意味の公園ではなく、オープンスペースやパブリックスペースのように誰もが平等に使える広場であることを意味して、いわゆる「コモンズ」と呼ばれるような公共空間に近いかもしれません。また、都市の公園や緑地は健全な日常生活に必要なだけではなくて、大気汚染や都市熱の緩和、洪水や大雨時の流出水の貯留池、地震などの災害時の避難場所、動植物の生息地など期待できる機能がたくさんあります。これからの都市では、過密を避けながら、開発による経済効果と緑地や公園として保存・活用していくメリットをバランスよく考えて計画していかなければいけないかもしれません。

パンデミックが明らかにした格差

公園などのオープンスペースへのアクセスの不平等さや医療サービスの不平等さなどCOVID-19が明らかにした様々な格差がある中で私が当事者として実感しているのが、外国人労働者として感じる格差です。歴史的な経済不況に陥っている米国で、失業者が大量に出ている中、外国人労働者への就労ビザが出にくくなっています。確かに自国民が仕事を失っている中で他国の労働者に職を与えるのは難しいのはわかります。しかしながら外国人労働者の中でも状況は様々で、母国へ帰って仕事がある人はまだ恵まれていますが、母国の情勢がもっと不安定な場合だったり、家族が米国にいたりして離れ離れになってしまう例など、不安定な立場の人に限って滞在の権利が奪われていると言う現状があります。難しい問題ですが、文化の多様性の分断に繋がっていかないか、政策も含めて世界の今後が気がかりです。by Yuta@Houston, TX

GISが裏付ける「公園」の重要性

Champaign-Urbana Public Health District が公開している Community Mobility Changes によれば、シャンペーン郡・イリノイ州全体ともに、「公園 」を訪れる機会は、非常事態宣言前より増えていることが分かります。Stay at Home Order の中で健康を保つのに公園の役割が増していると言えそうです。ちなみに、この情報はGoogleがスマートフォンから収集している位置情報履歴を分析した結果なので、携帯を持たない人、Googleに情報収集を許可していない人の様子は含まれていません(調査対象に含めると違った結果をもたらす可能性があります)。

モビリティと「格差」

標本の偏りに注意は必要ですが、GIS(位置情報)データを分析すると他にもいろんな事が浮かび上がってきます。例えば、New York Times の記事(Location Data Says It All: Staying at Home During Coronavirus Is a Luxury)では、スマートフォンの位置データ分析から、アメリカ全土の都市で、多くの低所得者が、高所得者に比べ、非常事態宣言・自宅滞在命令下でも動き続けることを余儀なくされている、すなわち貧しい人の方が、COVID-19に感染する可能性が高いという格差が生まれている、と報じています。今回のパンデミックは、低所得者をはじめとした社会経済的弱者が直面する構造上の不利益の多くを露呈しており、健康リスクの増加に対する十分な保護や補償の提供が急務と言えます。遠くへより速く動けることが贅沢と思われていましたが、自宅に留まれる、近隣で用を済ませられることもまた贅沢のようです。また、ただ自宅近くに施設があればいいという訳でもありません。近所に魅力的な公園があっても、日中遠くへ働きに行く人にとっては利用の機会が制限されます。このように「近隣」も人によって様々であり再考が必要で、モビリティに注目した分析が今後さらに増えそうです。

UIUC JPN COVID-19 Town Hall, May29, 2020, 資料 by Tatsuya

COVID-19とGISの課題

アメリカで公開、提供されているCOVID-19関連のGISデータのほとんどは、Countyレベルほか大きめの行政地域スケールで空間的に集約されていて、そうなると色々不都合も出てきます。例えば、COVID-19の感染者数が居住地のCountyごとにまとめられている場合、County内部の分布状況は分からず、また、人間は勤労や買い物などの移動を伴うので、いわゆる「モビリティ(移動)」の問題が把握し辛くなります。どのように可視化すれば、市民が状況を正確に理解できるのか、他にも予測やモニタリングをする手法は?プライバシーの確保は?等々、COVID-19はGIS研究にも多くの課題を与えます。by Wataru@U-C

モノ、人、情報の組み合わせとモビリティ

「モビリティ」というと、人間がどのように動くか、どれくらい動くか (動くことができるか) をイメージすることが多いですが (余談ですが、社会階層間の上下動も英語ではmove/mobile/mobilityという言葉で表します)、モノや、モノと人の組み合わせにも、それぞれ異なったモビリティがあります。Ryutaの今の普段の仕事は翻訳ですが、これは、イギリスで英語で書かれた文章が日本で日本語になり、中国で印刷されて、イギリスの倉庫に送られて製品として箱詰めされる、という工程の途中を担当していることになります。

文章はデータなので、イギリスから日本にすぐ送られてきます。その後の工程も、通常であれば、それに (なるべく) 追いつけるような早さで、より遠くに (物理的な存在である) モノを送れる仕組みに支えられています。COVID-19流行下で、データはまだ移動し続けていますが (なので在宅勤務が可能なのですが)、物理的なモノの動きは、特に国際的なものに関しては、止まったり遅延したりするようになりました。なので、ここ数ヶ月は、物質性が異なるモノがそれぞれ持つ「モビリティ」の差を特に強く感じることになりました。

どのようなモビリティを持つモノと関わる仕事をしているか

実際、モノのモビリティは、「どのようなモビリティを持つモノと関わる仕事をしているか」という側面で、人間の生活様式とも深く繋がっていると思います。オンラインでやりとりができる文章や金融資産 (や、だいぶ工夫が必要なことが明らかになりましたが、大学の授業) と関わることを仕事にしている場合と、ある設備を備えた工場や農場で製造・加工・出荷されるモノと関わることを仕事にしている場合と、それそのものにあまり動く能力がなく、誰かが出向いて集めないといけないモノや人 (家庭から排出されるゴミや、自家用車を使わずに通勤する人間) と関わることを仕事にしている場合では、毎日の生活の中で自身がどのように動くか、動かないといけないか (あるいは、動かなくてもいいか) が異なります。

目指す町の「強さ」というもののかたちも、誰の、どのモビリティに目を向けるかで変わってくるんだろうな、と感じました。by Ryuta@Shizuoka

その社会の弱さが露呈

GISシリーズ第5回、いかがでしたか。Yutaさん、M. Wataruさん、RyutaさんとMugikoが、アメリカと日本の異なる場所から話していると、「公園」やパークという同じ単語でも、身近に思い浮かべるオープンスペースのイメージが、ぜんぜん違うなあということにも気づいて面白かったです。COVID-19をめぐりその社会の弱さがさまざまな側面から露呈してくるという議論でもあったのかと思います。

COVID-19感染の実態についてその社会で入手できる情報の形もずいぶん違います。地域や国家の境界やものの見方の溝をこえて情報が可視化されてゆくとき何が見えてくるのか。GISシリーズ、これからも続きます。by Mugi

U-Cの暮らしに関わる5/23-5/31のCOVID-19&Curfew関連の情報by Tatsuya

UIUC JPN COVID-19 Town Hallは、Phase 3 & 4は 2週間に1回 開催、次回は6月12日です。Tatsuyaさん、毎回、貴重な情報のまとめをありがとうございます。

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