No.512, Jan.15, 2021, 「語られないもの」「失われるもの」を、どう残すか

UIUCは春学期の開始の準備

UIUCは、春学期の開始まであと10日です。3〜4万人がキャンパスに戻ってくると、COVID-19感染者数も再び増えそうです。UIUC JPN COVID-19 Town HallのTwitterには、「学部生・院生は、1/15-24の期間中に2回、3日以上の間隔を空けて検査を受け、双方で陰性の結果を受取る必要があります。教職員は引き続き週2回検査を受けることが求められます」(詳細はこちらを要確認)と記されていました。

「非常事態宣言」11都府県に拡大

日本では、先週、東京、埼玉、千葉、神奈川に発令された「非常事態宣言」が、1月14日より、大阪、兵庫、京都の関西3府県、愛知と岐阜の東海2県、福岡、栃木を追加し、11の都府県に拡大されました。いずれも来月7日までです。今年は、1月11日(1月の第2月曜日)が「成人の日」でしたが、成人式が中止されたり、屋外、オンラインで開催されました。1月16日(土)、17日(日)は、「大学入学共通テスト」が実施されています。

本日は、Ryutaさん(静岡)とMugiko(京都)が、「アイ」に関する話題と音楽とShinpeiさんのトーク(HS Podcast No.510, No.511)について、印象に残ったことを話しました。■ウルフルズ「愛がなくっちゃ」■つじあやの「愛していること」■ふくい舞「アイのうた」

Part1, アメリカには、成人式がない?Kanαさんのアイの悩み

Kanaさんからの悩み相談です。「ここしばらく左目が疲労しているようで、あまりパソコン仕事ができず。Ryutaさんにも、デジタルなお仕事の合間にどうやって目を休めているのか、方法をお尋ねしてみたいです」。Ryutaさんの答えは、、、

part2, 「I」、個人の語りと歴史とアーカイブ、記録の共有と活性化

Part3, 多様な表現、記録を残し活性化、AIとディープラーニング

言語の話の余談、ベンガル語で喧嘩腰

Shinpeiさんは、世界を移動しながら活動を続けるなかで、日本語、英語、スペイン語、ドイツ語と、そこで使う言語によって人格や表現の仕方が変わると話されていました。Mugikoは、そんな経験はあまりないなあ、とラジオでは話しました。が、1980年代末から90年代に、バングラデシュに滞在していた時は、相当に、「きつい」性格になっていたことを思い出しました。というのも、リキシャに乗っても、バザールで買い物をしても、料金や定価がなかったので、とにかく交渉をしないといけない。日本円にして、120円と160円の違いでも、相手の言いなりなっていると、どんどん高い値段が付けられてしまいます。物の価値だけなく、相手との関係や、私の立場だとこんなところかな、と言う、妙な(社会的な)落とし所を見つけないといけない。断片的なベンガル語で、時には、喧嘩腰で話していたんじゃないかなあ。あの時、性格が変わっていたと思います。Mugi

いろいろな媒体を使った伝え方

記録を歴史として公に残すときに様々な選択が、政治的に、あるいは無意識に行われます。記録を作るときも同様に、全てを形にすること、伝えることはできない。だからこそ、Shinpeiさんは、いろいろな媒体を使って、「語り」や「出会い」、時にはその深層にある形にならない感情や感覚までも、どうやったら他の人と共有できるかその「伝え方」を様々な媒体を使い表現されてきたのだろうと思います。アメリカの大学図書館で司書をしていたRyutaさんは、Shinpeiさんのトークをどのように聞いていたのだろう?Mugi

ストーリーとヒストリーとアーカイブス

Shinpeiさんのプロジェクトを知り、トークを聞いて考えたのは、「誰かの語りを、誰が、どのようにして残すのか」ということでした。Ryutaは数年前まで米国の大学図書館でライブラリアンをやっていました。ライブラリアン (や文書館で働くアーキビスト) は、選書、コレクション構築といったプロセスを通して、「何を蔵書に含めるか (含めないか)」、つまり、「蔵書を通じて、誰の『物語』が語られることを許すか (許さないか)」を決定できる、非常に大きな力を (無自覚に) 持ち、行使していることがあります。対人間、対社会の調査を行う研究者としてもそれは同様で、インタビューやフィールドワークを通じて知り得た誰かの経験は、それが学術調査であれば学術論文として発表することが前提となっており、その過程で「失われる」ものが生じることもあります。(そして、多くの場合、何が失われるかを決定する力は研究者が持っています。) by Ryuta

「語られないもの」「失われるもの」を、どう残すか

Shinpeiさんの、被爆者に関するドキュメンタリー映画やアートプロジェクトに触れたときにまず思ったのは、それらが、そのような「語られないもの」「失われるもの」を、どうにか残そうとする試みなのではないか、ということでした。Mugikoさんが「研究」の成果をzineの形式で発表している試みにも似たような意図があるのではないかと勝手に考えています。少なくとも、さまざまな手法、さまざまな媒体がともにある状態というのは、なるべく多くの「物語」を残していこうという試みが、なるべく多く存在できる、好ましい状態なのだろうと思っています。(「中立的な」図書館や学術でも、「フリーな」アートでも、すべてを残すことはできないので。) by Ryuta

いろいろなメディアを使ってみる

Mugikoも、文化人類学のフィールドワーカーとして移動しながら、そこで触れた社会の一面、出会った人たちとの対話を、どう残すかを模索してきました。ZINEやコミュニティラジオもその一つの方法です。フリースタイルのZineは、著者にとって不自由な言語であっても、創造的に表現できる媒体となりました。語り手の英語表現を活かしたかったので、英文のGrassroots Media ZineシリーズをTomさんと一緒に作ってみました。また、ZINEとラジオという異なる媒体をつなぐことで、より多くの人と出会うきっかけになりました。

ラジオ番組では、対面での関係とオンラインをつなぐバーチャルなメディア空間を作って、そこで生まれる対話を同時にリスナーと共有し、そこでの語りを、時間を超えて未来や過去につながるアーカイブにできたらいいなあと思いました。メディアを通して場所や関係が生まれるプロセスを、関わりながら見ていくのも面白いフィールドワークです。コミュニティメディアという脆弱な環境だから、いろいろな人が知恵と経験を出し合い継続でき、協働しながら気楽にいろいろなチャレンジもできます。無口だった私が、番組では、リラックスしてRyutaさんとアイの話をしている。不思議です。Mugi

記憶や記録のアーカイブと活性化

Shinpeiさんはまた、いろいろな語りや記録をアーカイブとして残すだけでなく、それが多くの人に開かれ、かつ、どう「活性化」させるか、という問をトークの中で投げかけていました。資料が過去の記録として留まるのではなく、現在や未来にどのようにつながり、その記憶や記録にふれ人たちの何かを動かすか。そこで印象に残った言葉の一つが、decontexualizationです。Ryutaさんに、Shinpeiさんのトークの中で使われていた言葉を解説してもらいました。Mugi

decontextualization:文脈から切り離す

decontextualization: 文脈 (context) から切り離す、ということ。何かを理解するときには、それを「文脈」の中に置いて考えることも大切だとされますが、文脈を理解するということは、その文脈で語られる (その文脈が語りたがる) 大きな流れを無自覚に内面化してしまう、ということでもあるのかもしれません。知らない言語で語られる被爆体験、字幕化された被爆者の語りというのは、「文脈」と「自分の理解」の距離感を考えるきっかけ (など) になる、のかも。Ryuta

アメリカで核の問題がどのように表象、認識されてきたのか

原爆の被害者の映像や、その声紋をモチーフにしたShinpeiさんのアートに対して、異なる場所(文脈)によってどんな反応があるのだろう。Shinpeiさんが、Hiroshima、Nagasakiという言葉やそこで表象されるものの「形骸化」、decontextualizationや記録の活性化についての話されるのを聞いて、アメリカの核意識について知りたいと思い、手にとった本です。宮部ゆき『なぜ原爆が悪ではないのか:アメリカの核意識』岩波書店(2020)は、柔らかい文体で、多角的に資料を提示しながら、表題の問題について問いかけています。

「原爆投下を多くの人々が肯定し、キノコ雲が高校の校章になるアメリカ。日本との核認識の大きな隔たりは何に起因するのか。教育での語り、映画やコミック・歌に潜む独自の核イメージ、軍と市民の距離、歴史的に隠されてきた被ばく被害……シカゴの大学で倫理学を教える著者が、アメリカの核認識を縦横無尽に論じる」岩波書店サイトより本の紹介 Mugi

先週のShinpeiさんのトークを聞いて、U-CのM.Wataruさんからもメッセージをいただきました。

[Wataruさん]「社会に一石を投じるクリエイティブな話の数々にとても刺激を受けます。声や音の表現、活かし方も様々なんですね。AIまで登場して、今度の映画も楽しみです。」 by Wataru

AI: 人工知能 (artificial intelligence) のこと。

最近は、わりとなんでもAIと言ってしまいますが、最近のAIがやっている主なことは「機械学習」なのではないでしょうか。大量のデータの中からパターンを見つけ、それを新たなデータにも適用して、処理を自動化したり、人間も気づいていなかったような新しい法則性を見つけたり、というのが実際的な使い方かもしれません。ディープラーニング (deep learning) というのは機械学習をさせる際の手法のひとつで、人間があらかじめデータを仕分けることをせず、その部分からAIに任せよう、というものです。Ryuta

[Aさん]ディープランニングだと限りなく人間の認識能力発達に似てくるんですね。人間だと本人に変化能力があるんだけど、そこまで行けるのかな。もうひとつグーグルのアルゴリズムって何か教えてください。

アルゴリズム: 「計算式」のようなもの。

例えば、グーグルの「検索アルゴリズム」は、ある検索語が入力されたときに、どの検索結果を上位に表示するかを計算しています。技術であるとはいえ、もちろん無色透明で中立なものではなく、そこには、それらを作成した企業や個人の意図や、意識的なもの、無意識的なものを含めた偏見が組み込まれています。(グーグルの検索アルゴリズムは、複雑な計算式を通して「より大勢の人がクリックしそうな結果」を上位に表示するようになっていると言われています。これは、例えば、「所蔵している、あるキーワードを持つ書籍を一切の欠けなく表示する」ことを目指す図書館OPACとは思想的にも異なるものです。)

1月14日のUIUC JPN COVID-19 Town Hall資料by Tatsuyaさん情報

「Champaign郡では、クリスマス休暇(12/20-26)に伴う感染増大・ピークを観測している 可能性が高い」(TH Twitter, Jan.9, 2021へ)

UIUC JPN COVID-19 Town Hall, Jan.14, 2021スライド p.8、CUPHDより

「CUPHDによると、Champaign郡では1/19-22にかけてVaccination Clinicが再び開設され、来週からは75歳以上の高齢者に加え、65~74歳で基礎疾患のある住民も対象に含まれる見通し。引き続き、接種プランPhase 1Bが継続中。」TH Twitter

UIUC JPN COVID-19 Town Hall (1:14:21) ,p.14(リソース), p.15(リソース

MTDバスの春学期期間中(1/24~5月中旬)の運行ダイヤが発表されました。多くの路線で冬休み中と同様のダイヤとなり、2020年3月以前より運行本数が大幅に削減される予定。平日深夜(0時以降)と日曜夜間(18時以降)の運行は行われない点にも留意。詳細は、こちらTH Twitter

 

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