No.550-2, Oct.8, 2021, WESON MUSEUM(VR美術館)をリアルに体験 with Tomoya

WESON MUSEUMトークとVR美術館実体験記

先週(HS No.549-2)に引き続き、専業画家のTomoyaさんとの「VR美術館(WESON_MUSEUM)」トークです。日本時間の9月23日に収録しました。その後、10月1日に、Mugiko、Ryuta、Wataruの3名が、Tomoyaさんの WESON_MUSEUMを実際に訪問しました。その体験談も交えてお届けします!さらに、今後のWESON_MUSEUMの展開やリアル個展のお知らせも。加えて、GIS研究と図書館学でのVR活用についても話しました。Podcastの文章は、4人が分担して書いてます。(緑:Wataru青:Tomoya茶:Ryuta紫:Mugi)

Part2, WESON MUSEUMの楽しみ方、VRの活用法

Part3, Tomoyaさんの案内で、VR美術館を体験!

VR美術館でコミュニケーション、誰とでもいつでも絵で交流出来る世界を-Tomoya

VR美術館を活用する良い点のひとつは、自宅にいながら世界中のVRユーザーとコミュニケーションをとれることです。会話はもちろんのこと、手を振ったり、頷いたり。さらに美術作品の実物を飛行機で運んで事前に決めた施設に展示して…という作業をせずに誰もが美術作品を目の前にして意見交換ができます。これを活かせばいつでもどこでも世界中の方と文化交流の機会を設けられるのです。

近い将来、世界中の方々が描いた作品が一か所に展示されるという夢のようなワールドも実現できるのではないでしょうか。まずはVR美術館をつくるきっかけとなったパラオ共和国と日本の、例えば友好提携を結んでいる三重県や茨城県常陸大宮市をつなぐ文化交流イベントを開催したいと考えています。

リアルな世界でもコミュニケーション、11月にアトリエで個展開催

VRの良さはたくさんありますが、美術作品を純粋に楽しむなら原画を見る他ありません。Tomoyaのアトリエは大阪府大阪市北区豊崎にあり、毎年11月半ばにこのアトリエで個展を開催しています。絵の質感、大きさ、絵具の香りまでも楽しんでいただけます。額入りの作品は、写真では感じ取れない存在感もありますので是非リアル展にもお越しくださいませ。ご来場者の皆様から臨場感あふれる様々なご質問をいただけるのはリアル展ならではの良さだと実感しています。

*Tomoyaさんの活動の情報はこちらをご覧ください。FacebookInstagram , Twitter

WESON_MUSEUMにアクセスするには

VR美術館(WESON_MUSEUM)は、VR Chatというアプリ上のコンテンツとして運営されています。VR Chatは、VRゴーグル(Oculus Quest 2 推奨)もしくは Windowsパソコン用アプリSteamからダウンロードすることが出来ます。ダウンロードした後、VR Chat内の「ワールド」と呼ばれるバーチャル世界の検索欄に「WESON_MUSEUM」と入力すれば、候補に現れるはずです。WESON_MUSEUMには、いつでも訪問可能ですが、日本時間毎週土曜21-22時にはTomoyaさんが在廊し、絵やワールドの解説をするツアーが行われます。たくさんの他の参加者とも知り合うことが出来て楽しいですよ。-Wataru

UIUCで、VR体験するには?

VRゴーグルは、決して安くないので中々手が出し辛いですが、幸いなことにイリノイ大学関係者であれば、無料で気軽に体験できる方法があります。1つ目は、CITLが運営する Innovation Studio に行く。スタジオはArmory の中にあり、毎週火曜日の10-16時の間、入室可能です。そこにVRゴーグルを体験できるスペースがあり、スタッフが丁寧にサポートしてくれます。もう一つの方法は、図書館のLoanable Technology を利用する。大学図書館がVRゴーグルセットの1週間貸出サービスをおこなっています。WataruもここからVRゴーグル(Oculus Quest 2)を借り、WESON_MUSEUMを体験しました。 みなさんもぜひ。Wataru

*Blog:イリノイ大学の授業作り、学び合いのプロセスを協働でデザイン, September9, 2019

実際にVR美術館「WESON_MUSEUM」を体験!

収録後にTomoyaさんのお誘いを受け、我々(Mugiko、Ryuta、Wataru)もWESON_MUSEUMを訪問し、Tomoyaさんの案内付きでVR美術館を体験しました。

アバターになって駆け巡る-Mugi

WataruさんとTomoyaさんとZoomでつないで説明してもらいながら、Mugikoは、VRゴーグルを装着、VR Chatをダウンロード、設定していきました。気づいたらウサギ耳のアバターになっていました。Wataruさんは、スマートなロボット、Tomoyaさんは青と紫の不思議なキャラクター、でもみんなの声はいつもと同じです。WESON MUSEUMの4つ目のWorld(パラオの部屋)に辿り着くまでには、橋を渡り、階段を登ります。Wataruアバターの動きは、最初はぎこちなくゆっくりだったのですが、途中から軽やかに階段を駆け上りました。これを見て、Mugikoアバターは、えっ、おいてかれると自分も走り出す。すると、Tomoyaアバターが、「上手です、あ、落ちてしまいましたね」と優しく案内。美術館の入り口にたどり着くまでに、自分とアバターが一体化して、理屈はわからないまま両手のコントローラーのいくつかのボタンを操作して、頭と手を動かす動作を学んでいました。面白い!

VR美術館で子供の頃の夢の続き

美術館に入ると、Tomoyaさんの絵がたくさん、展示されています。大きさの違う絵が並び、また異なる背丈のアバターがいることで、なんとなく、それぞれの絵のサイズ感が認識されます(本当の絵のサイズは異なりますが)。絵に近づくとよりアップされ、遠くにゆくと小さくなる。解説するTomoyaさんの声も近づくと大きくなり、遠くにゆくと小さくなります。Tomoyaアバターは、絵をさしたり、体の動きが自然な感じです。アバターになる方が、自分の動きを客観的に意識して役割を演じやすくなるのかもしれません。

また、Tomoyaさんをおいて、Mugikoが一人で美術館の中を走り回ってみることもできます。この自由さ加減にもびっくり。WESON MUSEUMには、マンタ(大きなエイ)が泳いでいたり、波の音が聞こえたり、いろいろな仕掛けがあります。その1つに、ある絵の中に入って、美術館の別室にゆくことができます。Mugikoは子供の頃、展示された絵を眺めては額縁の後ろにどんな世界があるのか、覗こうとして注意されてました。絵の中の世界に触れる子供の頃の夢の続きにいるようです。

絵をとおしたコミュニケーションの場

大きなサイズ(に見える)の絵が並んでいる部屋に案内されてTomoyaさんの説明を聞いていると、新しいアバターが2人(?)。WESON MUSEUMは常時オープンなので、世界中からいろいろな人が入場できます。Wataruさんに、「あれ、Ryutaさんじゃない?」と言われてみると、ユニークないでたちのRyutaさんがじーと立ってます。Mugiokが、どわーと走り寄ると、Ryutaさんの声が近くに聞こえます。おしゃべりもできます。

VR美術館が、「絵を通したコミュニケーションの場」だとしたら、これからいろいろな可能性があるなあと思います。そこで初めて出会った人といきなり対話はしにくいけれど、そこにある絵を見て感じたことだとを、思ったことを話しやすいし、また、無言でいることもできます。入場者は音声をオフにしている場合や、お互いの言語が異なることもありますが、スタンプをメッセージを出すこともできます。

仮想現実も「社会」、人が作りだす生きた世界

WESON MUSEUMを訪問するまでは、Mugikoは、アバターというものに少し抵抗がありましたが、経験してみると、容姿や立場にとらわれずに自分の気持ちを表すこともできるような気がします。しかし、仮想現実の空間が自由なのではなくて、そこにもいろいろなルールが埋め込まれていて、規制がある「社会」なのだと思います。また、Tomoyaさんが毎週、1時間、気持ちを込めて案内をしたり参加者とコミュニケーションをとることで、VR美術館のリアリティが作り出される。仮想現実も、人が作り出す生きた世界なんだなあと思いました。Mugi

VRのさらなる活用を考える1:GIS / 空間情報 -Wataru

GIS / 空間情報学の世界でも、VRの活用が始まりつつあるようです。例えば、以前の放送No.451で話した墓地ツアーもVRで体験出来たら面白いですよね。墓地ツアーの詳細はNo.451を参照頂けたらと思いますが、2018年のホームカミングイベントで、かつてイリノイ大学に勤めてアメリカ初の家庭用エアコンを開発した日系アメリカ人の教授 Seichi Konzoさんを紹介するにあたり、私が彼の墓地の前でボランティアとして彼を演じたというものです。このイベントもVRを用いれば、彼自身が当時の実験住宅での様子等を再現させながら話すといった、人々のストーリーをより楽しく追憶出来る世界が広がりそうです。他にも、防災訓練、空間認知、疑似旅行ほか、様々な活用法が考えられます。私もいずれTomoyaさんのチームとVR美術展×GISでコラボできたらいいなぁ。Wataru

VRのさらなる活用を考える2:図書館情報学-Ryuta

いちばん実現している例でいうと、図書館におけるVR体験会、そこから発展してのコーディング (プログラミング) 講座などでしょうか。上でWataruさんがイリノイ大学の大学図書館の例に言及しておられるように、北米ではVRゴーグルなどのテクノロジーの貸出を行う図書館も増えています。

また、VRChatをはじめとしたMMORPG (Massive Multiplayer Online Role-Playing Game/大規模マルチプレイヤーオンラインゲーム) の世界は、いわゆる「ワールドワイドウェブ」からは一歩引っ込んだ、個別のサーバ (ゲームやVRの世界をプログラムとして実行するためのコンピュータ) の中に構築され、その中で稼働しています。そのため、Minecraftというゲーム (これそのものは厳密にはVRゲームではありませんが) の世界を使ってワールドワイドウェブに適用される検閲を回避し、現実世界の国々で発行禁止、検閲対象になっている図書、文書などを自由に読めるようにしよう、というThe Uncensored Library というプロジェクトが存在します。VRChatの中で青空文庫の収録作品を実際に「手」に取り、読めるようにしたワールドも公開されています。(参照: 読める本は1万6000冊以上!著作権切れの“青空文庫”の本が読めるワールド – バーチャルライフマガジン

このほか、VR世界の中でアバターを操作するためにも使われるヘッドトラッキング、ハンドトラッキング (プレイヤーの実際の頭の動き、手の動きを追跡して、画面内のアバターの動きに変換する技術) を使用すれば、VR内だけではなく、PCの画面上や動画作成、動画配信、Web会議などのカメラ内で3Dモデルのアバターをリアルタイムに動かすことができます。この技術も図書館の利用案内動画やワークショップなどに活用することができそうです。(実際に、「バーチャルYouTuber」として活動し、図書館の利用案内動画などを作成しているユーザーもいます。【初心者必見】本の探し方講座in熊本県立大学図書館 – 紡田コトハ) Ryuta

VRのさらなる活用を考える 3:VR Zine Library-Mugi

Mugikoは、VR Zine Libraryを作れたらいいなあと思います。Zineは、自主制作のフリースタイルの冊子です。手にとって作者の「思い」を、紙をとおして「肌」で感じる。Zineを扱う英米の書店や図書館について、これまでのHarukana Showで紹介し、Zineをめぐる旅についてBlogにもたくさん書いてきました。Zine Festでは、作り手と直接に話したり、自分のZineと物々交換することもあります。Zine Cultureには、そうした身体感覚のコミュニケーションを大切にしています。けれども、そもそも部数が少ないZineと、場所をこえてで出会うことは、一般の書籍より難しい。作者のWebsiteやオンラインで販売されていますが、いろいろなZineにたまたま出会ったりする機会は稀です。VR Zine Libraryがあったら、そこで少しだけZineの世界にふれて、言葉がわからなくても、気楽にページをめくって楽しめたらいいなあ。時には、そのZineについて、作者が話したり、私が作ったZineを誰かが読んでくれたり。誰とも話さず、Zineにひたったり。そんな夢の話を、HSでもしていきたいと思います。Mugi

■[Alexandros]「ワタリドリ」■マカロニえんぴつ「はしりがき」■馬場俊英「スタートライン〜新しい風

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