No.556-2, Nov.19, 2021, 「世界一の地理学者になる!」 with Kenya, GISシリーズNo.8-1

地理学って何? with Kenyaさん

一年ぶりにGISシリーズ(第8回)をお届けします。若手の地理学者として大活躍するKenya(田村賢哉)さんをゲストにお招きしました。Kenyaさんのこれまでと今後の活動を伺いながら「地理学の面白さ」に迫っていきたいと思います。今回は、改めて「地理学」って何?という話と、Kenyaさんが「地理学」に興味を持ったきっかけについてのトークです。-Wataru

収録は、11月15日、KenyaさんはKitakyusyu、WataruさんはU-C、RyutaさんはShizuoka、MugikoはKyotoから参加しました。いつもより緊張気味のWataruさんでしたが、見事な進行役。話題は尽きず、全体で3時間ほどの収録となりました。3回に分けてトークをお届けします。第1部は、Kenyaさんの紹介です。来週お届けする第2部は、Kenyaさんのスケールの大きな「アクティブラーニングとしての地理学」実践について、そして再来週の第3部は、KenyaさんとWataruさんの地理学トークにRyutaさんとMugikoが参入、異分野交流のフリーディスカッションとなります。各回、じっくりとお楽しみください。-Mugi

No.556, Part2, 高校生のKenyaさんの夢、「世界一の地理学者になる」

No.556, Part3, Wataruさんはなぜ地理学を?

Podcastの文章は、WataruさんとKenyaさんにまとめていただきました。

Kenyaさんのプロフィール

1989年広島県生まれ。東京大学大学院学際情報学府に博士課程の学生として在籍中で、専門は地理学です。「世界一の地理学者になる」ために奔走する毎日。あらゆる地理空間情報を記述できるデータベースならびにそれらを表現できるプラットフォームを開発するため、株式会社Eukaryaを設立・経営。さらに地理教育を目的としたNPO法人 も運営しています。日本学術会議地理教育分科会の委員も務めています。Wataruさんとは2014年にマッピングパーティー(グループでOpenStreetMapを編集するワークショップ)で出会いました。

田村賢哉, 2019年フォーブス撮影

Kenyaさんにとって地理学ってどんな学問?

地理学は「Ge-o-graphy」という名の通り、「地の理を記述する」学問だと思っています。実際、地理学は大航海時代(15-17世紀)にヨーロッパの人々が新天地の様子を記述する中で大きく発展しました。現代では地理学は細分化が進み多数のサブ領域に分かれてしまっていますが、私はこの見知らぬ世界を冒険し探求するという本来の地理学に惹かれています。そのいわゆる“冒険“地理学を先導すべき学者として、私は「地球の全てを記述する」「記述したい世界にする」という使命を掲げて活動しています。

地理が好きのルーツ

私の名前 Kenya は、父が青年海外協力隊員として赴任していたアフリカの「ケニア共和国(Republic of Kenya)」に由来します。なので、物心ついて以来、名前の由来の場所を知りたい!と地図帳を開きながら、どんな国だろうとずっと考えていました。そうした中で、見知らぬ場所へのあこがれや冒険心が育まれたのかなと今振り返ると感じます。ちなみに、大学生になって実際にケニアを訪れたときの感動は一入でした。帰国時に出国手続きでパスポートを見た空港職員さんに「また来いよ!」と言われたのも良い思い出です。

1992年にKenya(ケニヤ)にて父と賢哉(Kenya)、母が撮影

衝撃的な授業を受けて、地理にドハマり

進学した高校では、地理と日本史のどちらかを選択というカリキュラムでした。友達のお父さんがその学校で地理を教えていた事もあって地理を選択。その授業が、初回からチョークまみれの手でこんにゃくと玉ねぎを駆使しながらプレートテクトニクス理論を教えるなど、衝撃的で面白い内容でした。その面白い先生のおかげで「地理が好き」が確固たるものになっていきました。ちなみに、そのこんにゃくと玉ねぎは翌朝に豚汁の具として先生と家族で美味しく頂くようです(笑)。

世界一の地理学者になりたい!

将来の夢を考える中で、私の夢は「世界のいろんな場所に行きたい!」ということでした。それが自由に出来る大人は、地理学者かお金持ちのどちらかだと思い、さらに見知らぬ土地に行けるワクワク感・冒険心がより駆り立てられるのは地理学者だから、世界一の地理学者を目指そう!という結論に至って、その夢に向かって走り始めました。

独自の地理レポートを携えて研究室へ売り込み

世界一というからには、大学選びも誰もやったことが無いようなプロセスでと思い、独自の地理に関するレポートを片手に、全国の志望大学地理学科を10校ほど突撃で訪問しました。最後に訪れた奈良大学文学部地理学科の先生方が、唯一、研究者として私の拙いレポートにも真摯に向き合い誠意をもって批評してくれました。嬉しかったですね。そして、そこを受験し、入学することになりました。奈良大学に入学以降の話は次週のお楽しみということで。(文責-Wataru& Kenya)

人との出会い・繋がりが地理学者への道を誘う

まさに、Kenyaさんは高校生の時から“冒険”地理学の道を歩んでこられたんだなと思いました。加えて、その道を志すに至るまでには、たくさんの素敵な方々との出会いがあったんだなとも思いました。Mugikoさんに、ちなみにWataruさんが地理学者を目指したきっかけは?と聞かれたので、その話をすると、私も進学先の青山学院大学総合文化政策学部で、恩師に出会った事がきっかけでした。身近な例を巧みに用いながらGISや都市解析を教える面白い授業をされていた教授に、「先生の授業すごく面白かったのでGISについてもっと勉強したいです」と相談をしたら、「海外の大学院でPhDをとって研究者になるとイイ」と返され、そんな将来の選択肢が微塵もなかった私には衝撃でした(笑)。それから紆余曲折はありましたが、その恩師含めたくさんの方のご支援のおかげで今に至ります。有難い限りです。by Wataru

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