市民メディアのマルチな使い方〜UC Immigration Forumの場合 Sept.2,2013

パブリック・アクセス・チャンネル

先週のHarukana Showでとりあげたパブリック・アクセス・チャンネルの話題の続きです。番組のなかで少しふれたように(Podcast No.127)、アメリカでは、FCC(連邦通信委員会)によって、ケーブルテレビの事業者は、地域からの要請があれば、パブリック・アクセス・チャンネルの設置するよう義務づけられています。

WRFUで以前、スペイン語のラジオ番組を担当していたRicardo Diazさんは、現在はUrbana Public Television(UPTV)で「UC Immigration ForumTV」という移民問題を扱う番組を担当しています。UPTVは、上述したパブリック・アクセスのテレビ放送の1つです。日本でも、PACについて紹介されている本はいくつかありますが、そこでふれられているような老舗の有名どころ、ではないけれど、アメリカの小さな街のパプリックTVのスタジオを、一度、見学したいと思っていました。

メキシコ出身のRicardoさんとの出会い

Ricardoさんとは、2010年10月、私がUC-IMC(Urbana-Champaign Independent Media Center)のコミュニティラジオ(WRFU)のミーティングを見学したときに初めてお会いしました。「僕だって3年前は、何もわからないままラジオ番組を始めたんだよ」と話しかけてくれました。Ricardoさんの英語は、私にも聞き取りやすく、おかげで、その後もWRFUの集会に参加しやすくなりました。後からRicaroさんがメキシコ出身で、スペイン語を母語とすることを知りました(Ricaroさんの紹介はこちら)。

Harukana Showを始める前に、Ricardoさんが担当するラジオ番組を見学したときには、「ず〜っとしゃべり続けると、聴いている人も飽きてくる。15分くらいを区切りに音楽を流すといいよ」とアドバイスしてくれました。WRFUで日本語番組を開始することができたのは、Ricardoさんをはじめ、多言語放送を歓迎する人たちの応援のおかげです。

UPTVスタジオ見学

「今からUPTVでImmigration Forum TVの収録だけど、見学に来ていいよ」と、Ricardoさんから連絡を受けたのは、2013年8月19日のことです。この日は、とてもお天気がよくて、ジーンズをまとめて洗濯をしてしまい、日本ではまさかのショートパンツ姿のまま、大慌てでCity of Urbanaに向かいました。UPTVのスタジオは、アーバナ市の建物内、会議室の隣にあります。市議会やさまざまな公聴会の様子も、このスタジオの機材を用いて放送できます。

UPTVに到着すると、すでに番組の収録は始まっていましたが、窓の隙間から、Ricadoさんに合図、そ〜っとドアをあけるとスタッフが、「Ricardoさんの友達?いいよ、入って」と椅子をすすめてくれました。下の写真にあるような細長い、小さなスタジオです。

C-U Immigration Forum TV@Urbana Public Television August19, 2013

C-U Immigration Forum TV@Urbana Public Television
August19, 2013

移民制度改革法案

Ricardoさんは、2013年春に、UPTVで「Immigration Forum TV」を始めました。移民制度改革の議論が高まり、これを支持する運動が、Urbana-Champaignでも展開し始めた頃です。

「移民改革法」(Comprehensive Immigration Reform)案は、約1100万人にのぼるともいわれている米国内の不法移民に市民権獲得の道を開き、ITの技術者のビザ発給枠を倍増し、国境整備もさらに厳しく行う、などの内容が盛り込まれています。2013年6月27日に上院で可決されました(日本経済新聞2013/6/28)。しかし、共和党が多数を占める下院では、今後、この法案が通過する見通しはたっていません(詳しくは、NHK解説委員室、視点・論点、西山隆行「アメリカ移民法改革の動向」)。

シャンペーンでも、地域の人々の、移民改革法への関心を高め、当該選挙区選出の上院議員へこの法案の支持を訴える運動が続けられています。

UC Immigration Forumと移民法改革支持の取り組み

UC Immigraion Forumの活動については、以前、このブログでも、DACA(Deferred Action for Childhood Arrival)をめぐる活動とともに紹介しました。Chanmpaign-Urbanaの移民問題(この地域ではヒスパニック系の移民の割合が多く、非合法滞在者も含まれます)を扱う複数の団体が集まった協議会です。毎月第2火曜日の5時に集会を開き(誰でも参加できます)、情報交換を行い、DACAや移民法改革などの共通の取り組みは、協同してプロジェクト、キャンペーンを展開しています。

私が、8月の第2火曜日のUC Immigration Forumの集会を見学したときには、シャンペーン選挙区選出のRodney Davis下院議員(共和党)へ、移民改革法を支持する署名のはがきを送る運動がすすめられていました。下の写真にあるようなPost Cardを数多く集め、議員へ届ける予定です。

下院議員Rodney Davisへ移民改革法支持を訴える署名(C-U Immigration Forum)

下院議員Rodney Davisへ移民改革法支持を訴える署名(C-U Immigration Forum)

下院議員Rodney Davisへ移民改革法支持を訴える署名(C-U Immigration Forum)

下院議員Rodney Davisへ移民改革法支持を訴える署名(C-U Immigration Forum)

 

 

 

 

 

 

市民メディアのマルチな使い方

Ricardoさんは、UC Immigration Forumのメンバーであり、Media Contactを担当しています。UPTVのUC Immigration Forumでは、毎週30分ゲストを招いて、移民問題や移民改革法支持の取り組みなどについて話しています。その一部は、Youtubeでもアップされています。 Episode#4では、UC Immigartion Forumのセクレタリーであり、University YMCAスタッフのMike Doyleさんがゲストして、移民改革法支持のキャンペーンついて話しています。

この夏のU-C滞在のあいだに、UPTVを見学を含め、Immigration Forumの活動をおっているうちに、さまざまな市民メディアがその活動のなかで使われていることに気づきました。

移民法改革支持のキャンペーンは、WRFUから毎週月曜日放送のラジオ番組、Triple R(移民問題、Tomさんがホスト)でも放送されます。またUC-IMCの活動の1つであるPublic iという新聞でも、何度か取り上げられています。

Public i表紙( V13.#4, May 2013)

Public i表紙( V13.#4, May 2013)

8月19日のUPTVスタジオでの番組収録の様子を見学したときには、この日のゲスト、UC Immigration Forumの副代表のClaire Cszokeさんが、「毎週土曜日のUrbabaのFarmers’ Marketでもブースを出し 、移民改革法への理解と署名を訴えています」、と話していました。

8月25日のイリノイ大学キャンパス内のQuad Dayにも、UC Immigration Forumは、大学生が関わっている学内外の600以上の団体の1つとして、ブースを出していました。そこでは、往き交う人に声をかけ、立ち止まってくれた人には、相手の疑問にもこたえながら説明をして、署名を集めていました。ラジオ、テレビ、新聞、インターネットといったメディアは重要な情報発信手段ですが、直接に話す機会は、一人一人に声を届ける意味ではさらに貴重です。

移民法改革支持署名運動(by Immigration Forum) @Quad Day, UI, August25, 2013

移民法改革支持署名運動(by Immigration Forum)
@Quad Day, UI, August25, 2013

Quad Dayでは、私は、Harukana Showのフライヤーを、関心をもってもらえそうな団体へ配布していました。疲れるとImmigraton Forumのブースの裏の木陰に座って、配布されたいたICIRR(Illinois Coalition for Immigrant and Refugee Rights)t)の移民法改革法の関する資料を読み、なるほど、そこが問題なのかと一人学習をしていました。ブースの裏から見ていると、けっこう多くの学生さんたちが、立ち止まり、関係者からの説明を真剣に聞いているのが印象的でした。人ごとではない、社会問題なのだと思います。

ICIRR資料etc.UC-Immigration Forum配布資料 @Quad Day, August25, 2013

ICIRR資料etc.UC-Immigration Forum配布資料
@Quad Day, August25, 2013

身体感覚を失わず創造的に組み合わせる

今回のU-C滞在のあいだに、日本語でいう市民メディア、コミュニティメディア、あるいはオルタナティブメディアとよばれるものには、さまざまな種類があること、それを組み合わせて表現したり活動を展開することが可能であることを、Immigration Forumの活動を一つの事例として学びました。WRFUのラジオ番組のなかには、スタジオからの生放送の様子を録画し、UPTVで動画として放送していたり、自宅に簡易なスタジオを作り、WRFUのラジオ番組制作すると同時に、ビデオカメラでもこれを収録し、インターネットで配信している番組もあります。

市民メディアの1つ1つは、マスメディアとは異なり、発信力や影響力はわずかです。YoutubeにアップされているUPTV6の各番組のアクセス数もけっして多くはありません。U-C内の喫茶店やレストランなどいろいろなお店で無料配布されているPublic iも、娯楽性がまったくないので関心をもたなければ、なかなか手にとり、読むに至りません。それでも、いつも置いてあると、Public iというロゴが目に入ります。

しかし、こうしたハイパーローカルなメディアの面白さは、個人の発想や、活動の展開や状況にあわせて、自分の声や思いといった身体感覚を失わず、さまざまなツールを創造的に組み合わせうることだと思います。個人の声が、地域住民の直接の出会いのなかで活きてくる。Tomさんが、自分のラジオ番組を、思わぬ人が聴いていて、「そんなこと考えもしなかったよ」「知らなかった」「面白かったよ」と声をかけられることがあると話していました。

ちなみに、UC Immigration Forumの代表は、Tomさんです。「いつの間に代表になったの?」、「いつだったかな〜」、「RicardoさんのTV番組には出演しないの?」、「もうしたよ」、「いつ?」、「最近」。日本語番組のHaruakna Showでは寡黙なTomさんですが、いつか、移民問題について番組で話しを聞いてみたいと思います。

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