No.568-1, Feb.11 PACA, 環境保護運動とSalvage、アメリカのDIYカルチャーとジェンダーwith Tom-san

PACAの活動をとおしてアメリカ社会にふれる

PACA(Preservation and Conservation Association)についてのTomさんのお話の続きです(前回はNo.567-2へ)。主な話題は、PACAのSalvageの活動とその背景にある環境保護運動、そしてアメリカのDIYカルチャーについてです。1月に26日にChampaingのTomさんと日本のShizuoからRyutaさん、KyotoからMugikoの3人がオンラインで収録しました。各PartでのTomさんとの英語のトークをRyutaさんが日本語でもわかりやすく解説しています。こちらは、2月10日収録しました。また、Podcastの文章をTomさんが英語でまとめ、Ryutaさんが日本語でさらに詳しくトークの内容を説明しています。

Part1, 環境保護運動とPACAのSalvage

In this episode, the hosts and guest continue their discussion about the efforts of the Preservation and Conservation Association. They begin by talking about the history of salvaging still usable architectural elements as part of the overall preservation process. Thomas briefly mentions the connection between salvaging and recycling and describes how the environmental movements that first gained international attention in the late 60s and early 70s led to an increasing awareness of the importance of reuse, and that this need is very much a part of the thinking of the PACA volunteers as they approach a structure that cannot be saved.

Part2, 解体される建物から回収した建材のリサイクル、教育プロセス

Thomas mentions that PACA doesn’t simply take things that they think they can sell, they also try to save anything that they feel someone may have a use for as long as they believe it will be possible to get the items to them, and he talks about how they regularly work with other organizations in the community to find new uses for discarded items. Mugiko mentions a previous guest who also utilizes salvaged materials and she and Thomas briefly discuss how reuse is itself a form of preservation as older items continue to provide useful services for new owners and in new situations.

Part3, アメリカのDIYカルチャーと「強い一人前の男性像」

Tom also tells about how he became interested in preservation and history in general, and this leads the discussion in the direction of people being interested in DIY or ‘Do It Yourself projects. Host Ryuta-san wonders if the average PACA customer is a ‘DIY-er’ and Tom says yes and goes on to talk a little about the prevalence of the DIY ethic in American culture. His hypothesis is that because of the relatively young age of the country and its closeness to its pioneering roots, there is a lingering sense that people should be ‘self-reliant’, and that this creates a common sense that one should know how to fix and make things as part of their general life skills. He also credits the post-war celebration of traditional notions of masculinity with there being a certain level of a DIY attitude associated with ‘manliness’. As times have changed these attitudes have become more egalitarian, and now there are nearly as many women interested in learning these types of skills as there are men.-Tom

Salvage-解体される直前の沈黙の時間

写真は、McKinley Fitness Center(旧YMCA, Champaign)のSalvageの様子です(2018 年12月17日)。Mugikoも参加しました。バスケットボールが転がっているがらんとした体育館や着替えのためのロッカー室があり、確かにフィットネスセンター。階段を上がっていくと、窓から光が差し込んで、手すりや柱が美しく剥き出しになって、建物の古い骨格が見えます。解体される前の静かな時間に忍び込んだ感じがします。PACAのニュースレターには、かつてそこにあった建物をめぐるさまざまな物語が記されています。*この建物の歴史は、Brian Adams, ”The David Phillippe Mansion” PRESERVATION MATTERS, Vol.35, No.3, 2015, pp.1-2に掲載されています。-Mugi

サルベージとは

サルベージ (salvage) は、PACAの活動においては、取り壊しが決まった建物の解体現場に行き、建材、家具などの回収を行うことです。歴史的に重要な部分などは地域のhistorical society (歴史協会) に展示のために寄贈したり、すぐに再使用可能な家具や衣類は、そのような物品の販売や再使用を行っている他のNPOに寄付したりすることもあるそうですが、基本的には、「持ち帰れるものは何でも持ち帰る」という姿勢のようです。PACA自体もサルベージで回収したものを販売する店舗を持っていて、そこでの売り上げが活動費に充当されます。

「解体」から学ぶ

活動費の財源として、また、リユース、リサイクルの意識が高まるにつれてPACAの活動の大きな部分を占めるようになってきたサルベージですが、Tomさんは、それだけではなく、サルベージからは多くのことを学ぶことができるとも言います。建物の構造、過去に手作業が主体だった時代に家や家具がどのように作られていたのか、その建物が、どのような家族に、どのように使われていたのか……。「解体」は、ある建造物をこの世界から消す作業ですが、そこから得られるものもたくさんあるようです。

再利用とDIYの精神

PACAの回収品販売事業は、家や家具を自分で直そうと考える、DIY (Do It Yourself) の精神を持つ人たちが地域にいるからこそ成り立つ事業とも言えるかもしれません。Tomさんによると、DIYで工作や修理をするときでも全国チェーンのホームセンターのような場所で新品の材料を購入する人がおそらく大半、ということですが、それでも、アメリカの各都市には、再利用品、廃材などを販売する古物商、ジャンクショップが少なくとも1軒はあることが多い、ということです。新品、再利用品を含め、こういった場所では、例えば家のドアやバスタブのような、日本ではあまり個人では購入しなさそうな建材も扱っていたりします。アメリカ社会におけるDIY

日本に比べると、アメリカでは「DIY」がカバーする範囲がより広く、また、より盛んに行われているように見えます。Tomさんの推測では、これにはいくつか理由があり、ひとつには、アメリカが歴史の浅い国だからではないか、ということです。開拓地などでいろいろなものを自力で一から作っていた時代がまだ遠い昔のことではないので、自分の力で何かを作り、修理できることが「大人」である証のようなものと考えられているのかもしれない、ということでした。

また、DIYには強くジェンダー化された側面もあり、特に「男性性」と強い結びつきがありそうです。田舎に限らず、都市部でも、使うか、使わないかはともかくとして、自分の住む家に何かが起きたときに、自分の力で修理できるよう道具を準備しておく。そういった「力仕事ができる」男性像が大戦期、戦後期を通じて広まり、根強く残っているのではないか、というのがTomさんの予想です。

TomさんとDIY

Tomさんは、ご両親が1930年代の大恐慌 (Great Depression) を経験した世代ということもあり、「直せるものは自分で直して使い続ける」という精神とスキルを教わって育ったそうです。以前から家の保全やDIYによるリノベーションにも興味を持ち、手がけていて、PACAの仕事をするようになったのも、個人でそのような活動をしていたことがきっかけだったということでした。次回は、Tomさん自身のDIY経験についてももう少し詳しく話を聞きます。-Ryuta

古い煉瓦のリサイクル

McKinley Fitness Centerの敷地には、古い煉瓦がたくさん使われていました。建物が解体された後に、一箇所に煉瓦が山積みされ、誰でも好きなだけ持っていってくださいと告知されました。聞きつけた人たちが毎日やってきて、好きな煉瓦を持って帰り、山がだんだん小さくなりました。PACAのメンバーも、煉瓦の回収に出かけました。

リサイクル・リユースの仕組みを作り

Tomさんのトークを聞いて、「いつのまにか日本のほうが使い捨て社会になったんだ」という感想をリスナーからいただきました。U-Cにいると、各家で不要になった日用品を売るガレージセールやヤードセールをよく見かけます。教会などに集められた服や雑貨のバザールや中古品を売るお店もいくつもあります。どんな田舎町にもアンティークショップという名のセカンドハンドショップがあります(そこでよくMade in Japanの輸出陶磁器を見かけます. HS No.217 & No.218)。ただ、PACAのような古い建物から回収した建材をリサイクルする活動は、地方では数少ない、とTomさんは話していました。

自分にとって無用に思えるものも、誰かにとっては有用で必要なものもあります。リサイクル・リユースの仕組みを作り、ものと人とアイディアと情報もつなげていく。そんなPACAのWarehouseのお話を来週お届けします。Mugi■Los Fabulosos Cadillacs 「Matador」■Bittersweet Symphony「The Verve

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