Blog: LondonからZineレポート(1)Stuart Hall Library, Invia&Housmans Bookshop, Sept.11, 2015

Stuart Hall Libraryを観てみたい。

2015年9月10日夜、ロンドンに到着。翌朝、ホテルからInstitute of International Visual Art (Invia)のStuart Hall LibraryのmanagerのNickさんにメール、1時間後には、「どうぞ、今日の午後、図書館に来てください」と返信が届きました。InviaのZine Collectionには、7月にGrassroots Media Zine#2を送っています。(Inviaのfacebookはこちら)。Stuart Hall LibraryにStuart Hallへのインタビューを掲載したGMZを置いてもらえるなんて、夢のような話です。どんなライブラリーなんだろう、まずは自分の目で確かめたく、East Londonへ出かけてゆきました(場所はこちら)。

ストリートアートに目を奪われ迷い路

Street Artsがあちこちに@Rivington St., London, Sept.11, 2015

Street Artsがあちこちに@Rivington St., London, Sept.11, 2015

地下鉄のLiverpool Streetから北上して徒歩15分で到着、のはずでしたが、Inviaの周囲には、こんなストリートアートがあちこちにあります。

Comedy Theatre @ Livington St., Sept.11, 2015, この界隈のStreet Artsに夢中になって、Rivington Placeを通りすぎてしまう

Comedy Theatre @ Livington St., Sept.11, 2015, この界隈のStreet Artsに夢中になって、Rivington Placeを通りすぎてしまう

楽しい、可笑しい、面白い、と夢中になって観ているうちに、Inviaを通り過ぎてしまいました。後戻り。

この目で見つめられると@Rivington St., Sept.11, 2015

この目で見つめられると、動けない@Rivington St., Sept.11, 2015

「Inviaってどこでしょう?」「そこだよ」。RINVTON PLACEと記された入口が、Rivington通りより少し奥にに入ったところにあるので、見逃してやすい。

RIVINTON PLACE—Art,debate, diversity

Rivington Place opened in October 2007 in the heart of Shoreditch, East London and is home to Iniva (Institute of International Visual Arts) and Autograph ABP’s dynamic artistic programmes. Rivington Place is the UK’s first permanent public space dedicated to diversity in the visual arts and the first new public gallery to be built in London since the Hayward Gallery opened 40 years earlier.(当websiteより)

Rivington Place run by Invia@ East London,Sept.11,2015

Rivington Place run by Invia@ East London,Sept.11,2015

受付で、Nickさんにアポをとっていることを告げて名前を記し、ロッカーに荷物を入れて2階へすすみます。

Rivington Place 階段@East London, Sept.11, 2015

Rivington Place 階段@East London, Sept.11, 2015

Stuart Hall Library

明るく、こじんまりとしたStuart Hall Libraryの閲覧室がそこにありました。

Named after the eminent cultural theorist, Professor Stuart Hall, the Stuart Hall Library focuses on contemporary African, Asian, Latin American and European Art, and the work of British artists from different cultural backgrounds.

Run by Iniva (Institute of International Visual Arts), the Library holds exhibition catalogues, monographs on critical and cultural theory and periodicals. You will also discover audio-visual material on DVD and CD, and a substantial collection of slides and ephemera.(当websiteより

Stuart Hall Library @ Rivington Place,Sept.11, 2015

Stuart Hall Library @ Rivington Place,Sept.11, 2015

図書館の入口正面にNickさんのデスクがあり、この図書館のパンフレットの横に、2014年に亡くなられたStuart HallのMEOMORIAL イベント(2014年11月29日)で配布された冊子も置かれていました。

Stuart Hall Library pamphlets etc.@Rivington Place, Sept.11, 2015

Stuart Hall Library pamphlets etc.@Rivington Place, Sept.11, 2015

ここでは、Zineも現代の表現手段の一つとして扱われ、収集されています。Nickさんのお話では、Stuart Hall Libraryでは数年前からZineを収集し始めたところで、コレクションの数としてはまだ多くない(開架の本棚のボックス10数個、Zineのタイトル順)とのことです。

Zine Collection box@Stuart Hall Library, Sept.11, 2015

Zine Collection box@Stuart Hall Library, Sept.11, 2015

本棚のboxを1つずつ窓側の机に運び、zineを手に取って開いて見ているあいだに、Nickさんは、ライブラリーの他の利用者が閲覧できるように、わざわざGMZを受付のテーブルに置いてくれました。気楽に手にとってもらえる、それがZineのよさです。

Grassroots Media Zine#1&2@Stuart Hall Library, Sept.11, 2015

Grassroots Media Zine#1&2@Stuart Hall Library, Sept.11, 2015

Zineをめぐる縁

Nickさんが、この日、Inbiaに来ていたHamja Ahsanさん(Artist/Independent curator)を紹介してくれました。若い世代のZine Cultureの担い手の一人、Other Asias(a transnational artists & writers platform that challenges contemporary navigations of “Asia” and the-world-at large via a collaborative curatorial practice)や、Exibition DIY JUSTICE(記事はこちら)、DIY CULTURESに関わり、仲間とOOMK Zineを発行しています。何と、ラジオ(Rado Pakistan)にも関わっているそうです。

今日(9月25日)のHarukana Showのトーク(Podcast No.235)でもふれたように、Tateishiさんは、2005年にロンドンを初めて訪れた時にたまたま、第1回London Zine Symposiumに出会い、Zineが世界的な広がりをもつ文化なのだと知り、その熱気におおいに刺激を受けました。そのZine Symposiumは、2011年まで開催され、その後、2013年から毎年DIY CULTURESという名前でZine Fairがロンドンで開催されています。Hamjaさんは、このZine Fairに携わっています。

Harukana Showで、TateishiさんからZineやDIYについてたくさんのお話を伺ってきた、その延長に、Hamjaさんとの出会いもあるような気がします。NickさんがつないでくれたZineをめぐる有り難いご縁です。Hamjaさんには、GMZ#2とHarukana Showのフライヤーをお渡しし、少しお話を伺いました。

アートと政治と自己表現

イリノイやロンドンで手にとってみたZineのなかには、個人の政治的な主張、表現を伝えるものをよく見かけます。Hamjaさんに、「日本では、Zineはクラフト的なものつくり/表現として若い人に広がっていたり、あるいはZineと呼ばれないけれどコミック・マーケットが盛んだったりしますが、それと政治的な活動とは重なりにくい気がします、イギリスではどうでしょう?」と尋ねてみました。Hamjaさんからは、「いわゆるotakuとpoliticsがまったく別のものとしてではなく、DIY CULTURESでも、重なりながら展開していると思います」という答えが返ってきました。Hamjaさんの口から即座に、otakuという単語が出てきたのは印象的でした。

Housmans BookshopのGMZは?

Stuart Hall Libraryからの帰り道、Housmans Bookshopに立ち寄りました。1945年から営業している老舗の本屋であり、平和運動の拠点にもなっています。ここでは、一般の書籍の他に、さまざまなZineを置いています。

Housmans Bookshop @ London, Sept.11, 2015

Housmans Bookshop @ London, Sept.11, 2015

Housmansは、GMZを扱う(現在のところ世界で)唯一の本屋さんです。7月にHousmansに送った10冊のGMZ#2はどうなっているでしょう。本当に、Zineコーナーにあるだろうか。

Housmans Bookshop @ London, Sept.11, 2015

Housmans Bookshop @ London, Sept.11, 2015

ZINESの箱のなかにGMZを発見!この棚のUKのZineは、A5サイズ。アメリカのレータサイズ2つ折のGMZは、他のZineより、ちょっと細長くのっぽです。Zineを送るときに、メールで対応してくれたHousmansのJimさんに会うことができました。

Zines@Housmans Bookshop @ London, Sept.11, 2015

Zines@Housmans Bookshop @ London, Sept.11, 2015

「GMZ、もし数が少なくなっているようでしたら、補充しますが」というと、Jimさんは、「ちょっと待ってね、残部を見てみるから」、と数えてくれました。「まだ5冊あるから、今はいいです。次の号ができたらまた送ってください。」そうかあ、10冊のうち5冊は、ロンドンで誰かの手に渡ったのかあ、不思議なものです

GMZ#3ではHousmans Bookshopも話の舞台

Mugikoが初めてHousmansを訪問したのは、2009年8月のことです。ここで開催されたトークイベントを聞きにきました。テーマは、1966年のNotting Hillの「London Free School」の活動について、話者はTom Vague(この人は、1970年代から80年代にかけてのパンクのFun Zine, Vagueの制作者でもあります)でした。実は、次号のGMZは、LFSの主宰者の一人であり、1960年代のロンドンのCounter Cultureのさまざまなシーンを作ってきたJohn “Hoppy” Hopkins(1937-2015)へのインタビューを中心にまとめています。このHousmansでも、1966年にLFSの集会を開いています。そんな話を掲載する次号のGMZを、話の舞台の1つとなるHousmansの書棚に置かせてもらう、これもまた楽しみな試みです。

GMZを携えたロンドンのZineをめぐる旅、次は、London College of CommunicationのZine Collectionについてです。ロンドンからZineレポート(2)へ。

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