No. 795-2, June 19, 2026, 「衣」も自給自足、多様な染め技法と一点物の作品 with Shiho-san (3)

Kyotoのシサム工房でのShihoさんとの出会い

2025年12月、Kyotoのシサム工房本店で、「草木染naco- nature color」の展示・販売が行われていました。ふらりと立ち寄り、そこで初めてShihoさんにお会いしました。多彩な色と独自のデザインの衣服や小物たち、そしてShihoさんのお話に魅了されました。それから3ヶ月後、今度はKyotoのシサム工房裏通り店でShihoさんと再会し、HSへの出演をお願いしました。

5月25日にOkayamaからShihoさん、OsakaからRyutaさん、KyotoからMugikoがオンラインで2時間にわたってトークを収録しました。HS No. 792では、Okayamaでの自給自足のDIYな暮らしについて、No. 793では、東日本大震災と原発事故からの避難、Okayamaへの移住の経緯、そして今回は、Shihoさんとお連れ合いのAkioさんの草木染めを軸とした染めと作品制作についてお話をお届けします。曲入りの番組全体は、WRFU Show Recording Archive:2026-06-19-1800.mp3 (55MB)からお聞きください。

Part2, 「衣」の自給自足を目指して:草木染めを軸に他の技法を実践

Part3, Akioさんと二人三脚、体験と技法を共有する「教室」

Okayamaでも、食に関しては自給自足している人は多くいるけれど、「衣」は少ない。そこで、自分たちが着たい服を自分たちで作ろうという考えで、身につけるものも制作するようになりました。夫のAkioさんが主に布を染める工程を、Shihoさんがデザイン、制作と販売を担当しています。

自然の恵みを生かした染色

Shihoさんたちが原発事故の影響から避難するときに縁あってOkayamaに立ち寄ったときに、陽が差し込み様々な植物が育つ雑木林があることに注目しました。こうした土地なら様々な植物を用いて、Ibaragiでしてきたような染めの営みを続けることができる。そう考えたことが、Okayamaへの移住を決める一つの要素となりました(No. 793)。

綿や麻の植物繊維には「イオン化」処理

草木染めにはさまざまな植物、昆虫も染料となります。春のタンポポやヨモギ、桜などのバラ科の木の枝、アボカドの皮、キク科の植物など、暮らしに身近な自然の素材が幅広く使われます。またコチニールというサボテンにつく虫もピンク色の染料になります。綿や麻といった植物性繊維は豆汁(ごじる)につけてタンパク質を付着する下地処理をします。Shihoさんたちはこの方法ではなく、金属イオンを用いて発色と定着を行う「イオン化」という方法を行なっています。

型にとらわれない幅広い技法とShihoさんのものづくりの原点

Shihoさんは草木染めだけでなく、藍、柿渋、ベンガラなどを用いた染めも行っています。それぞれ染まる仕組みが異なります。例えば、藍染めは酸化と還元、ベンガラ染めは土を微粒子にして定着させます。また、フェルトや織り、編みなども幅広く手がけています。このような物づくりの原点は、Shihoさんが20歳の時の旅で、「既製品ではなく、その辺にある自然の草で友人への贈り物を手作りしたい」と思った経験にあります。

役割分担と独自の色彩感覚による一点ものづくり

Shihoさんの作品作りは、Akioさんとの二人三脚で行われています。大きな鍋を使った力仕事である染めや、布を糸で縫ったりゴムで縛ったりして模様をつける「絞り染め」は夫が担当し、Shihoさんはミシンでの縫製、デザイン、仕上げ、そして営業を担当します。実はAkioさんは色弱であり、赤と緑が同じに見えるなど独自の色彩感覚を持っていて、Shihoさんが思いつかないようなユニークな色合わせが生まれることもあります。

Shihoさんたちが染める布の長さは2〜3メートルほどです。このため、複数の衣服を一度に裁断することはできず、縫う箇所によってミシンの裏糸を変えるなどの途方もない手間と時間をかけて1点ものの作品を生み出しています。

ダーニングや味噌作りなどのワークショップ、体験と価値の共有の場

Shihoさんは月に1回、近所のWake-cho(和気町)やKato-shi(兵庫県加東市)で教室を開催しています。そこでは、イギリス発祥の布の補修方法である「ダーニング」や糸紡ぎ、ダンボールを使った織物などを教えています。こうしたワークショップの目的は、参加者自身が糸紡ぎなどのプロセスを身をもって体験することで、「手作りの作品がどれほどの時間を要し高い価値が含まれているのか」を深く理解してもらうことにあります。この他に毎年2月には、麹から作る「味噌作り」のワークショップもしています。

Shihoさんの10年来の夢は、「本物の生きた羊を飼うこと」です。すでに教室の生徒さんの中には羊を飼い始めた方がおられ、子を産み4頭まで増え、そこから毛糸をとっているそうです。Shihoさんの夢も、近い将来実現するかな。-MugiShihoさんのトークを聞いて、ふっと思い出しました。ずいぶん前にLondonで見つけたこの可愛いキノコは、衣服の破れた部分を繕う時に使うダーニングマッシュルームだったんだ、と。母へのお土産でした。今でも窓の横に糸とともに置かれています。Shihoさんたちの手作りの作品は、使う人にとっても修理しながら使い続けたくなる暖かい魅力があります。-Mugi

◼️星野源「Week End」◼️青葉市子「うたのけはい」◼️ハナレグミ, クラムボン & Nathalie Wise「サヨナラCOLOR (feat. 忌野清志郎)

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