Part3,京都精華大学のZINE TALK04とZINE交換会
ZINEは今や日本ではポピュラーな媒体?
昨年もHS(No. 741)に出演していただいたYu(伊藤遊)さんから、京都精華大学のZINE TALK04(2026年7月31日)の開催について案内をいただきました。このイベントはすでに4回目を数えるそうです。この7月には、Kyotoのこもれび書店で開催されていた「こもれび夏のzine 2026」(7月10日〜21日)に足を運んだばかりでしたが(No. 799-2)、精華大学でのイベントでも、たくさんのZineに出会うことができました。「ZINE」は、日本では今やポピュラーな媒体なのでしょうか?

京都精華大学情報館でのZINE TALK-04案内
この「ZINE TALK04」のご案内には、次のように記されています。
昨年度から始まったZINE TALK・・・今回の「ZINE TALK 04」では、2019年にblueprint社から発売された『リズムから考えるJ-POP史』で日本のポピュラー音楽批評に大きな一石を投じたimdkm(イミヂクモ)さんをお迎えして、音楽評論家にとってZINEというメディアが持つ意味とか、ブログやSNSによる情報発信の限界とZINEが生み出す共鳴の可能性、さらには地方を拠点に批評活動するようになって気がついた地元のレコード店や書店のネットワークの大切さ、そこに置いてある、そこでしか手に入らないZINEの面白さなどについて伺います。
「ZINE交換会」も併催
トークイベントに先立つ7月30日と31日には、同会場で「ZINE交換会」も開催されました。情報館「出展者募集の案内」には、こう説明されています。
大手の書籍流通経路にのらない、非営利指向で個人的なこだわりに突き動かされた小規模な独立系出版物、「ZINE」。京都精華大学情報館では、昨年度からZINEやリトルプレスの収集に力を入れ、ZINE交換会を開催してきました。今年度も情報館2Fのコミュニティスペースにて、ZINEの展示・交換会を実施します。それに伴い、交換会の出展者を募集いたします。ZINEの特徴を活かし、いわゆる「文フリ(文学フリマ)」や「ZINEフェス」のような形で実施します。大学図書館で実施するということで出展料は無料です。その代わり、出展するZINEを各一冊、情報館のZINEコレクションに納本していただく、というのが出展の基本条件です。
独立系出版物としてのZINE、Grey Literatureという図書館での分類
これらの2つの案内を読むと、日本でもZINE Cultureが根づき、静かに広がっている印象を受けます。また、この大学図書館でのZINE交換会への参加は無料ですが、図書館のZINE COLLECTIONに納「本」すること、と記されています。そうかあ、Zineは図書館では「本」として扱われるんだ。
Ryutaさんの説明では、図書館では商業的な流通ルートに乗らない独立系、個人出版物は「Grey Literature」に分類されるそうです。既存の出版システムの枠組みからはみ出した個人出版物を、日本の図書館で今後どのように分類、保存し、位置づけていくのか、これは興味深いテーマです。大学図書館の関係者の方にもいつかお話を伺ってみたいと思いました。
ZINE COLLECTIONの「推しZine」たち
情報館3階には、収集されたZINE COLLECTIONの本棚があり、Zinesが見やすく、手に取りやすい形で展示されていました。製本され背表紙のある手のひらサイズで、さりげなく洗練されたデザインやレイアウトの作品も多く、作った人のこだわりと見つけた人たちの愛情も伝わってくる「推しZine」たちでした。

学生たちの個性的な作品、不器用さも魅力
また、トークイベントと交換会の会場となった情報館2Fのコミュニティスペースの丸テーブルには、芸術学部1回生の授業で受講生たちが制作したZine作品も展示されていました。作り手たちが与えられた課題(『移す』)に即して、それぞれの発想を表現した世界にひとつしかないZineたち。サイズや紙の「綴じ方」もいろいろで、不器用なところも正直に見えるのが魅力的です。
Grassroots Media Zine#3とKanaさんが繋げてくれたご縁
イベント会場のテーブルには、精華大学の情報館館長であるメディア表現学部の安田昌弘先生が以前、担当されていた授業やゼミなどで学生たちが作った冊子も置かれていました。Yasudaさんと少しお話して、HSのMugikoとTomさんが作ったGrassroots Media Zine #1-3をお渡したところ、Yasudaさんが、GMZ#3(2016)を持っていると言われて驚きました。実は、HSのKanaさんがこの大学でYasudaさんの活動に関わっていたことがあり、KanaさんがYasudaさんにGMZ#3を渡してくださったようです。KanaさんとZineが繋げてくれたご縁を、偶然にも知ることができました。Zineが結ぶご縁は、忘れた頃にそっとやってくる。

imdkmさんの静かに熱いZINE TALK
ZINE TALK04はさらに濃い時間でした。imdkmさんはプロのライターですが、出版社の企画を通さず自分が作りたいものを自分で作る自由なスタイルのZine制作に目覚め、Zineを作り販売されています。全国各地で規模の大きな「ZINE フェス」が開催されていることはニュースなどで知っていましたが、実際の参加者の話を聞くのはMugikoにとっては初めてでした。ZINEを取り巻く流通市場の広がりの一端をimdkmさんのお話を通して垣間見ることになりました。
ローカルにじわっと息づくZineと繋がり
imdkmさんのお話のなかで特に心に残ったのは、それぞれのローカルな地域社会にもZineがじわっと存在していることです。その地域に住まう、関わる人たちが自分の人生や暮らしやこだわりを表現したZineが、街のレコードショップや書店などに置かれ息づいている。そこから、時には、ゆっくりとした関係性を紡がれていく。そんな草の根のZine Cultureに、imdkmさんご自身も関わりながら楽しんでいるお話が印象的でした。
Zineの有り様は、やっぱり「いろいろやなあ」
ZINE TALK04は、imdkmさんのお話と参加者たちの熱い視線を感じる2時間でした。Zineなるもの有り様は、その時々でさまざまな傾向はあるけれど、Zineたちは、やはり「いろいろやなあ(本当に多様だなあ)」と改めて思いました。商業出版物のように体裁が整えられた自己出版物もあれば、世界に数部しかない作品や自分の来た道を思いを綴った手紙のようなものもある。
さまざまなZineをつなぐ人々
Mugikoがロンドンやイリノイで書店やレコードショップやライブラリーで見たり、HSで話を伺ったのは、Zineの作り手というより、さまざまZineをつなぐ人々の営みや思いでした。紙と筆記用具があればZineが作れるよ、コピー機とホッチキスで印刷し綴じることもできて、誰かに手渡しできる。みんなで話しながらやれば、楽しく、意外と簡単だよ。そんなふうに声かけできるワークショップを開催したり、Zineを販売、交換できる身近な場所を作ったり、公共図書館で地域のZineを集めたアーカイブを作って地元の人々の足跡を残していったり。ZINE TALK-04に参加して、コミュニケーションツールとしてのZineについて、HSでいろいろな場所を繋いで、またおしゃべりしていきたいなと思いました。-Mugi

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