Mugi-chan Blog
”Become the Media”(メディアとなる)は、私には、未知の扉を開く呪文のようなものでした。
2010年10月の初めに、 UC-IMC(Urbana -Champaign Independent Media Center) に加入手続きをしました(IMCへの会員登録)。10月15日、IMCから歓迎のメールが届きました。そこに、IMCについて、こんなふうに説明が記されていました。
We would like to take this opportunity to tell you a little bit about the IMC. We are part of a global network of collectively-run media outlets for the creation of radical, accurate, and passionate truth-telling. We are a grassroots organization committed to using media to promote social and economic justice in the Urbana-Champaign area and beyond. At our core, we aim to empower people to become the media by providing democratic access to available technologies and information.
なんだか堅苦しい言葉のなかで、とくに意味が呑み込めなかったのが、赤で記した箇所です。「民主的に技術や情報にアクセスし利用できることによって、誰でもがメディアとなることがIMCの目的です」...ビカム・ザ・メディア?メディア、とはいったいどんなことなんだろう。情報を得るだけでなく、表現し、主張し、発信していく手段を獲得していく、という意味だろうか?
その半年前に私は、『フィールドワーク探求術〜気づきのプロセス、伝えるチカラ』(ミネルヴァ書房、2010年)を出版しました。本のなかで、「フィールドワークの面白さは、現場から情報をえるだけでなく、そこから学んだことを、フィールドワーカー自身が発信しながら、人と人、人と情報をつないでいく過程にあると私は思います」(p.iv)と記しました。
日本やバングラデシュ農村、ロンドンでのフィールドワークをとおして、何かと関わり、学ぶだけでなく、それを誰かに伝えようとするときの難しさをいつも感じてきました。だからこそ、“メディアになる”という言葉にひかれながらも、それを多くの人が求めているのだろうか?と疑問をもちました。傍観者じゃなくて、主体になれ、とプレッシャーをかけられているような気がしてきました。いずれにせよ、この言葉の意味は、自分がメディアとなって、はじめて分かるののかもしれません。
とりあえずは、WRFUの月2回のミィーティング、IMCの運営委員会、資金集めや、IMC10周年&WRFU5周年記念のイベントや、その他、機会があれば、IMCに足を運びました。通っていれば、IMCのことも、ラジオ番組をどんなふうに作っていくのかについても、具体的に分かってくるだろうと思っていました。しかし、それは、勝手な思い違いでした。たどるべきコースが用意されているのではありません。まずは、自分が何をしたいのかを明確にする。それにたいして、関係者や周囲は、役立つ情報や、必要な手続き、方法があれば、教えてくれます。
しかし、「何をしたいのか」がはっきりしたり、言葉にできるのは、基本的な情報や体験があってのことです。WRFUやIMC、イリノイ大学やアメリカで、何が、当たり前のことかさえ分からず、言葉さえ不自由な状態で、好奇心はあっても、そこから先に動くことができない。人々がどれほどフレンドリーで親切でも、見えない、伝えられない壁がたくさんあるような気がしました。
2011/08/17
“become the media”〜誰でもがメディアになれる?
Mugiko Nishiakwa
Champaignのダウンタウンの駐車場、2011年8月11日