No. 756-2, Sept. 19, 2025, GISシリーズNo. 13-2, GISの学際性、地図と社会的公正 with Wataru

今週の番組の後半(Part2 & 3)では、GISシリーズ No.13-2をお届けします。先週までのお話は、HS No. 755をご覧ください。Wataruさんとのトークは、9月7日に収録しました。

Part2, ベルギーでの学際的な夏期研修、都市は誰のためにあるのか

Part3,カナダの国際地図学会から、社会的公正を重視したGIS研究

今回のお話の内容をWataruさんが文章にまとめてくださいました。写真もありがとうございます!

Summer Institute in Urban Studies @ ブリュッセル, ベルギー, July 2025, Wataru

都市論の夏期研修 in ブリュッセル

これまでの Harukana Show の GISシリーズでもお話ししてきたように、GISは幅広い分野で活用されており、私自身もその学際性を活かして多様な分野の研究者と積極的に交流しています。今年7月には、ベルギー・ブリュッセルで開催された「Summer Institute in Urban Studies 2025」 に参加しました。

これは、世界各地から選抜された大学院生や若手研究者・教員25名を対象とした6日間の集中プログラムで、現代の都市問題について、国際的に著名な研究者を交えて英語で批判的に議論するものです。

芸術の丘にて @ ブリュッセル・ベルギー, July 2025, Wataru

プログラムでは、気候変動の影響を周縁化された住民の視点から研究する人類学者や、スマートシティ推進中の町で住民参加を促すコミュニティ研究者の話など、刺激的な発表を数多く聞くことができました。そうした議論を通じて、これらの取り組みにGISをどのように応用できるのかを考える貴重な機会となりました。

参加者は分野もアプローチも実に多様でしたが、社会的不正義の是正や社会的包摂を重視する姿勢は共通しており、都市は誰のためにあるのかという問いを自分の研究でもより強く意識すべきと感じました。

ストロイエ in コペンハーゲン, デンマーク, July 2025. Wataru

また研修の前後にはデンマークとオランダも訪れ、ウォーカブル・バイカブルシティ(徒歩や自転車で暮らせる街づくり)の事例を見学しつつ観光も楽しみました。都市空間の在り方を現地で体感できたことも、大きな学びにつながりました。-Wataru

中央駅前の運河 in アムステルダム, オランダ, July 2025, Wataru

国際地図学会 in バンクーバー

8月には、カナダのバンクーバーで開催された国際地図学会に参加しました。カナダには、ファースト・ネーションズやイヌイットといった多くの先住民が今も暮らしています。しかしその歴史をたどると、植民地化の過程で土地や生活の基盤を奪われ、その影響は資本主義の下で形を変えながら現在も続いています。学会では、そうした歴史や現実に抗うように、先住民の権利を主張し、守っていくために地図やGISを活用した事例の研究発表が数多く行われていて、カナダでの開催ならではだと感じました。

私たちは、地図というと、国家や公共団体が作成する客観的で中立的なもの、というイメージを持ちがちです。しかし実際には、地図はメディアであり、作り手の立場や意図が反映されたものです。データの収集方法や可視化の仕方、制作者の立場や視点によって意味づけが変わることを、学会を通じてまざまざと感じました。ベルギーでの経験も相まって、この地図は、誰の声を反映させ、誰の存在を見落としているのか。その問いかけが社会的公正を重視したGIS研究につながると、思いを強くしました。

世界の主観的イメージの別例として、会場には各国の子どもたちが描いた手描きの地図も展示されており、非常に印象的でした。好きなものや関心が高いエリアについては大きく詳しく描きがちなど、それぞれの世界観や想像力が地図という形で表現されているようすは、空間的思考の観点からも大変興味深いものでした(こちら)。-Wataru

先住民が制作した標柱(イヌクシュク) in バンクーバー, カナダ, Aug. 2025, Wataru

GISの手法と草の根の活動-Mugi

Wataruさんの言葉、「この地図は、誰の声を反映させ、誰の存在を見落としているのか」が強く印象に残りました。地図が社会問題を可視化したり、問題解決にむけの情報を提示、共有するプラットフォームにもなりうることを、さまざまな事例をとおして知りました。今週の番組前半( No. 756-1)のWelcoming WeekについてRyutaさんと話しながら、GISの「手法」がより身近に使えるようになったら、さまざまなボーダーをこえて草の根の活動が接続し、運動と人と情報をしなやかにつなぐツールになりうるかもしれないと思いました。

「地図は生きている」-Mugi

Ryutaさんがコメントされたように、現在ではスマホの地図アプリの表示も目的に応じて切り替えることができます。また、従来の観光地図とは異なる多様な情報が、地図に記載されていたりします。Mugikoが住むKyotoには海外からの観光客がたくさん来られます。多くの人がスマホを見ながら歩いています。そこにある風景とスマホの画面に提示される地図や情報があわさって、一人ひとりの場所の記憶に入り込んでいくのかもしれません。いろいろな意味で、「地図は生きている」。-Mugi

先住民が制作した標柱(トーテムポール)in バンクーバー, カナダ, Aug. 2025,  Wataru

◼️VAUNDY「怪獣の花唄」◼️Saori Hayami「その声が地図になる(TV EDIT)」◼️Alexandros「ワタリドリ

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