No.482, June19, 2020, 地域を拠点に映像制作(2)with Shiozaki-san

U-Cは暑い!日本は移動の自粛要請が解除

今週も、Harukana Show、オンラインで事前収録をしてお届けしました。Urbana-Champaignは「暑い!」とTomさんが話していました。日本では、6月19日より都道府県境をまたぐ移動の自粛要請が全面解除されました。Kyotoでも、この数ヶ月は観光地もひっそりとしていましたが、これから少しずつ人が増えてくるかと思います。

塩崎監督、甲南大学のWeb授業で学生に語る

2週間前に、映画監督塩崎祥平さんのトークを、Harukana Showでお届けしました(HS Podcast No.480) その後、6月16日(火)に、甲南大学文学部「メディア文化論」に塩崎さんをゲストスピーカーとしてお招きし、「映画制作と地域社会」というテーマでお話をしていただきました。「メディア文化論」の受講生(190名)は事前にHS No.480を聞き、その感想を塩崎さんにお渡ししています。そこでの多数の質問に答えながら、塩崎さんは学生に語りかけています。

甲南大学×MEDIA ROCCO(Kobe)×WRFU(U-C, US)初コラボ企画

MugikoとTsujinoさんも、この授業の共同担当者です。そこでMEDIA ROCCOに技術協力をお願いし、多地点をオンラインでつないだ公開ライブ配信(詳細は、HS  No.476-1No.477-2)をしました。その収録音源の一部を、本日は、Harukana Showでもお届けしました。甲南大学「メディア文化論」とMEDIA ROCCOとHarukana Showの初コラボ企画です。

Part1, 地域映画へのこだわり、地元への愛着とテーマの普遍性

Part2, 地域の巻き込み方、社会への問いかけ、キャスティング、実績作り

Part3, 欧米と日本のFC、映画とツーリズム、「挫折」を物語にする

映画の権利は地域に残らない?

Siozakiさんは、以前は大手の映画会社でプロデューサーや助監督などとして働いていました。しかし、地方をロケ地にして映画撮影をした場合も、「ぶぁ〜とやってきて、だぁ〜と撮って、さぁ〜と帰っていき」、映画の権利は地域に残らないことの疑問を抱くようになりました。こうした状況は日本の映画産業の将来にとってもよくないのではないか。Shiozakiさんは、大手の会社を離れ、地域を拠点にした制作と共有の方法を模索し、この10年間に短編・長編、4本の映画制作をてがけました。

「地域映画」つくりの2つのパターン

「地域映画」制作には2つのパターンがあります。1つは、作家が地域に映画制作の企画を持ち込む。もう1つは、地域が何らかの目的で映画を発信の方法として選びプロを依頼する。Shiozakiさんの場合は、前者で自らが地域へアプローチし、資金調達から映画作りに参加してくれる人たちを探すところから始まります。

奈良:地元への愛着、本物の魅力

東京以外に無数の地域がありますが、Shiozakiさんの映画制作では、出身地の奈良県が舞台に選ばれています。自分が子供の頃から最もよく知り愛着もある場所です。『茜色の約束』では地元の産業である「金魚」を扱っていますが、子供の頃、金魚は用水路にもうじゃうじゃいて、金魚を「とって」いました。また、奈良には古代からの歴史があり、映画の舞台としても「本物」の魅力があります。

映画のテーマとしての普遍性

他方、『かぞくわり』は、最初から奈良県を舞台と考えていたわけではありません。日本の戦後の高度経済成長期と消費社会のなかで生まれたベッドタウンに、核家族化、高齢化が進み、現在では家族も地域社会のつながりも危うくなっている。こうした問題を映画として問いかけようとしたときに、奈良という歴史のある地域で現在進行形のこの問題をより深く考えることができるのではないかと考えました。

地域の巻き込み方

地域で映画を作るには、時間と「辛抱」が必要です。その映画の趣旨を理解して本気で仕事をしてくれる人や団体と一人ひとり、一つひとつと巡り会い関係を作っていかなければなりません。最初は、「映画」作りを夢みて多くの人が関心を持ってくれます。しかし、地域の魅力を発信するだけでなく、時には「地元」社会の現状への批判を含めたメッセージを発信する覚悟が必要です。その映画が社会に何を問いかけるのかまで物語として作り込んでいいくには、何年もの時間を要します。

キャスティング、「表現のプロ」としての役者

映画作品として、より多くの人に観ていただき考えてもらうためにも、観る側にきちんと伝えることができる「表現のプロ」としての役者のキャスティングも重要です。Shiozakiさんとしては、地域でオーデションを行い、より多くの地域の人々が出演してもらえる壮大な「地域映画」を作ることができればいいなという夢もあります。

地域映画の前例と実績をつくることが必要

日本の「地域映画」制作は、現状では、やってみようと動き出す人が少ない。資金集めを含め先行きが見えない不安定さのなかで一歩踏み出すことがなかなかできません。旗を振る人がいない。だからこそ、地域映画を実際に作り、前例と実績を積み重ねてゆくことが必要だとShiozakiさんは考えています。

欧米と日本のフィルムコミッション

欧米では、地域に拠点をおく独立したフィルムコミッション(FC)が存在し、地域映画の制作を強力にサポートとしている場合があります。たとえばドイツでは、FCが地域映画の多額の資金作りを担い、行政と連携し撮影許可などのマネージメントを行い、地域の逸材を見つけ出し、地域から発信する質の高い映画制作を支援しています。日本の場合は、地域映画制作を実質的に支援できるFCは、北九州フィルム・コミッションなど限られています。

ツーリズムとは一線を画した地域映画作り

映画とツーリズムについてよく話題にされます。映画の舞台となった場所を訪れその地の観光産業が活性化する、などということは、地域側と映画制作側が企画の段階からしっかりとした関係を作りができていないと、長期にわたるロケ・ツーリズムは生まれません。もし可能だとしても、NHKの朝ドラや大河ドラマくらいでしょうか。Shiozakiさんとしては、観光に還元されることを目的とした映画作りは考えていません。

「挫折」を物語にして自分の力に転換

学生から、「挫折したことがありますか」「どうやって挫折を乗り越えましたか」といった質問も多数いただきました。Shiozakiさんにとって映画制作は、挫折の連続、挫折しかないような日々です。それでも、「挫折を味わえるのは自分しかない」、そして「挫折をその他の力に転換できるのも自分しかいない」。

Shozakiさんの映画作りも、正しい一つの答えがあるわけではありません。ある問題にたいして、多数のアプローチを学び、無数の解釈の可能性を考え思考を柔軟に鍛えることができるのが学生時代。就活も、安定した収入など自分にとって「必要なもの」と、自分の関心や夢など「欲しいもの」との間を逡巡する。でも、怖がらないで進み、挫折も含めたプロセスを物語として自分にとりこんでゆければいいのでは、と思います。(まとめbyMugi)

■THE BLUE HERATS「夢の駅」■MTHE BLUE HERATS「終わらない歌」■グッドラックヘイワ「水風船」「卒業検定」

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