No. 683-2, Aptil 26, 『日本時間ーハワイ(戦前)編』ついに発行!Hiraharaさんとのご縁

『日本時間』ハワイ編、ついに発行

今週のHSの後半では、平原哲也『日本時間 JAPAN HOUR -日系社会向けのラジオ番組―ハワイ(戦前)編』(2024年4月20日発行)を紹介しました。

Part2, 「日本時間」とは?Hirahara さんとの不思議なご縁

コロナ明けでハワイへ資料探し

4月上旬、Hiraharaさんから『日本時間』についての嬉しいお知らせが届きました。

昨年はコロナ明けでハワイへ資料探しに出かけて、その成果を盛り込んでようやくハワイ編をまとめることが出来ました。海岸でゆったりするのもよいのですが、図書館での資料探しもわくわくします。ただ、冷房が効きすぎているのが難点です。-Hirahara

「日本時間」プロジェクト

Hiraharaさんが編集・発行されてきた「日本時間」とは、日本人移民社会に向けた各地の日本語ラジオ番組の足跡をたどり、文献資料や取材をとおしてえた記録を残すプロジェクトです。詳しくは日本時間のHPの「日本時間とは」をご覧ください。これまで、「ブラジル編(A HORA JAPONESA)」(2010)、「中南米諸国編(LA HORA JAPONESA)」(2012)、「ペルー編(LA HORA JAPONESA)」(2019)、「北米諸国編(JAPAN HOUR)」(2021)が発行され、そして2024年3月に「ハワイ(戦前)編(JAPAN HOUR)」(2024)がついに出来上がりました。

「送りっ放し」のラジオ番組の歴史を辿る

1920年代に各地で日本語によるラジオ番組が開始されましたが、当時の情報を集めるのは容易ではありません。Hiraharaさんは、HPに次にように記されています。

邦字新聞については学者による研究も進められていますが、「送りっ放し」のラジオ番組についてはまとまった資料がほとんどありません。そこで、邦字新聞を中心とした文献調査、関係者へのインタビューおよび番組聴取を通じて、現地のラジオ放送局から放送された日本語および関連番組の歴史、すなわち日本語放送史をとりまとめるプロジェクトとして「日本時間」がスタートしました。-Hirahara

ラジオ放送が始まった当時、音声記録が残されているわけではなく、「日本時間」プロジェクトの資料収集の旅がいかに大変なことか、また、それを個人ですすめられることの難しさと面白さがあったのではないかと思います。-Mugi

HiraharaさんとHSとの「有難い」ご縁

Harukana Showと日本時間とのご縁は、番組でもこれまで紹介してきました。2014年のある日、RyutaさんがHSで紹介するために、『国会国立図書館月報』(633号 2013.12, p.19)に、平原哲也「日本時間ー日経社会向けのラジオ番組」のPDFを送ってくれました。この記事を読んで、思い出しました。Harukana Showが始まった年の「月刊短波」2011年12月号に、この超マイナーな日本語番組を紹介する記事が掲載されました。その作者が平原哲也さんでした。Mugikoは「日本時間」を入手し、Hiraharaさんに連絡をとってHSへの出演をお願いしました。その後、Hiraharaさんは「日本時間」プロジェクトを継続され、HSとも10年にわたるご縁が続いています。

No. 180, Sept.5, 2014 『日本時間』、ラジオとネットがつなぐ縁 No.202, Feb.06, 2015, 海外からの短波放送を「つなげる」 with Hirahara-san、● No.203, Feb.13, 2015, World Radio Dayにラジオの歴史トークwith Hirahara-sanNo.438, Aug.9, 2019, Part3,平原哲也『日本時間:日系社会向けのラジオ番組ペルー編』

Part3, ハワイ編に濃縮された日本時間、オンラインでの資料閲覧


ハワイ編
を手に取って驚くのは、圧倒的な重量感です。全462頁にぎっしりと資料が詰まっています。

本書ではハワイで行われていた次のようなラジオ番組を「日本語放送史」としてまとめました。「日本語番組」「日系人向けの英語番組」「日本音楽番組」。また、上記に加えて、以下についても記述されています。「ハワイの放送小史 :戦前のハワイにおける放送局」「無線局別のラジオ放送の歴史」「在留外国人向け番組:ハワイの移民社会を構成する中国人、フィリピン人、ポルトガル人、プエルトリコ人向け番組」。-Hirahara

ラジオをとおし見る多文化社会、グローカルな政治

ハワイ諸島は、さまざまな移民による多文化社会でもあります。「日本時間」をとおしてハワイならではの社会の特色とともに、ラジオという媒体をめぐる1920年代以降の海軍、宗教、商業、メディアなどの関係者諸団体の覇権争いや戦争を含むグローカルな政治、思想状況も垣間見ることができます。

邦字新聞へのオンラインでの閲覧、日本からの調査がしやすく

また、ハワイ編においては、調査法の変化しています。最近までハワイの邦字新聞へのアクセスが限られていましたが、現在はインターネットでの閲覧も可能となり、「日本在住者として時間と費用の点で非常に高かった基礎資料の調査に対するハードルが一気に下がった」と「はじめに」(平原2024,  p.ⅰ)に記されています。オンラインでの調査、日本の大学図書館での資料閲覧、そしてハワイ現地での調査と取材を組み合わせて、これだけの貴重な資料を一冊にまとめています。HiraharaさんにはぜひまたHSに出演をしていただき、「日本時間」プロジェクトの経緯や調査法の変化についてもお話を伺いたいです。-Mugi

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