No. 715, Dec. 6, 2024, 新天地でGIS教育、カルトグラム、ゲリマンダー問題 with Wataru, GISシリーズ No.12-1

WataruさんがMDから元気に出演!

WataruさんがIL(イリノイ州)からMD(メリーランド州)へ引っ越してから初のHS出演(前回:No. 693)。そして1年ぶりのGISシリーズです(No. 656)。収録は、日本時間2024年12月4日22:45から2時間近く、今週と来週の2回にわけてトークをお届けします。

まずは、Wataruさんの近況を伺いました(Part1)。教員生活をスタートしたWataruさん、「時事ネタ」もからめてGISをわかりやすく教えています。例えば、選挙と「カルトグラム」(Part2)、そしてゲリマンダー問題(Part3)です。Wataruさんにトークの要約も書いていただきました。写真、図表と合わせてご覧ください。

Wataruさんのトークに続いて、Tamakisさんから届いたThanksgivingのご馳走の写真を掲載しています。アメリカの家庭の味(?)をお楽しみください。

友人を自宅での食事に招くときのコツ

食の話題といえば、先週AkiさんからWataruさんへの質問(No. 714)。自炊を始めたAkiさんが、人を食事に招くときのコツは?WataruさんがUIUCの大学院生だったときには、Wataruさんがお料理をしてしばしば友人を招いていました。調理については、食物アレルギーやヴィーガンなど、素材に関する配慮は必要です。また、材料費の分担や皿洗いをお願いするなどしていたそうです(Part1)。なるほど、負担の分担は、招く人も来る人も相互にとって気持ちが楽だし、日常の中での持続可能なお付き合いのコツですね。-Mugi

Part1, Wataruさん、今、どこで、何してる?5ヶ月ぶりの出演!

Part2,教員生活スタート!GISを教える、時事ネタからめてカルトグラム

Part3, ゲリマンダー問題とは?メリーランド州にも

新天地での教員生活がスタート -Wataru

今年の8月より、アメリカのメリーランド州ソールズベリー大学で Assistant Professor として働きはじめました。ソールズベリーは、デルマーバ半島の中心にあり、先週のAkiさんと同じ州ではありますが、Akiさんの住むカレッジパークからは、車で南東に2時間ほどかかり、より田舎です。というか、カレッジパークは田舎ではないと思うのですが…(笑)。のどかな場所で、ここ数日の最低気温は氷点下と寒いもののアーバナシャンペーンよりは暖かく、親切な同僚や、やる気に満ちた学生に囲まれ楽しく過ごしています。

GISを教える

改めて説明すると、私の専門は、Geographic Information Science (GIS:地理情報科学)で、空間属性(位置や場所、形状ほか)を含むあらゆる情報についての取得、分析、伝達方法を研究する学問です。難しく聞こえますが、平たく言えば「地図をコンピュータでどう扱うか」が主な対象で、グーグルマップが良い例です。ソールズべリー大学で私が所属するのは、Department of Geography & Geosciences, School of Science & Technology (日本語で訳せば、理工学部、地理・地球科学科ですかね)で、GIS教育に関しては全米トップクラス、関連科目も充実しています。そのようなありがたい環境下で、私は今期、GIScience(3年生向けの入門)とGISプログラミング(4年生向けの応用)を教えています。-Wataru

時事ネタに絡めて

ほとんどの情報が空間属性を含んでいるので、GISはたくさんの話題と関連して教えることができます。例えば、先日アメリカでは大統領選がおこなわれました。結果もさることながら、GISを研究・教育する者としては、結果の伝え方も気になるところでした。

多くのメディアで、州ごとに勝者の所属する政党色で色分けされた地図が使われていますが、これは、州の面積は各州が持つ票数とは一致しない(人口比率とは異なる)ので、人口密度が低いのに面積が大きな州での勝者がとても有利に見えてしまい、誤解を与えかねません。そのようなミスリードを減らすため、統計データ(米国大統領選では、地域別の票数や人口)に基づいて、敢えて歪めたり伸び縮みさせたりした地図を作って情報を伝達することがあります。これはカルトグラムと呼ばれ、実態を分かりやすく伝える一つの手段です。-Wataru

ゲリマンダー問題

また、選挙×GISに関連する話題だと、ゲリマンダー問題というのもあります。これは、政治的意図をはらんだ小選挙区(主に連邦議会下院)の区割り問題で、自政党に都合の良いように選挙区の区割りを不自然に操作することを指します。ゲリマンダーの語源は、19世紀はじめに、当時のマサチューセッツ州知事 ゲリー氏が、自党に有利なように選挙区を区割りし、その形が、サラマンダー(伝説上のトカゲ)に似ていたことに由来しています。No.484で話した可変地区単位問題の選挙版とも言えて、選挙区の区割り次第で結果が異なってしまうことを巧みに利用している、悪名高き問題です(下図参照)。メリーランド州にも変な形をした選挙区があり、授業で話題にして、盛り上がりました。

パーセンテージは赤側の支持者の割合。Dのように、選挙区の区割り次第で、全体では少数派なのに、3区のうち2区の勝者が赤側の候補になる。-Wataru

GISをとおして「えええっ!」「あれ!?」-Mugi

地図の使い方一つで「情勢」の伝え方が真逆になる、ということは、テレビ局など伝える側の「意図」(あえてどの様式の地図を使うか)が反映されている、場合もあるわけですね。「可変地区単位問題」も、4年前にGISシリーズNo. 6-2で言及されたCOVID-19の無免疫者の空間単位での感染率の分布表示の問題と、今回のゲリマンダー問題とが、同じ図(原理)から考えられることに、びっくり。可変地区単位問題(Modifiable Area Unit Problem:スケール[単位]やゾーニング[分割の仕方]次第で、見た目や統計分析の結果が異なる)という視点から、世の中で表示されているデータを見直すと、「あれ?」と疑問に思うことが増えそう。

GISが人々の意識操作に使われうるし、そうした政治性を読み解くツールにもなりうる。結果としての地図だけでなく、それが作成されるプロセスとしての地図を見てゆく必要があるなあと思いました。-Mugi

2024年のThanksgivingのご馳走 -Tamaki

Tamakiさんから、今年も感謝祭のご馳走の写真が届きました。その年によって、テーブルに並んでいるお料理が少しずつ違います。2024年版、Tamakiさんの解説付きです。

義実家恒例のThanksgivingの料理のご紹介-Tamaki

今年はクランベリーをフルーツゼリー(左中)に使ったのでパンプキンブレッド(右上)でした、義母お手製の母方祖母レシピ。ポテトサラダ(左上)は父方祖母レシピ、生玉ねぎを沢山入れて潰さないタイプのマヨネーズ味。

メインのローストターキー(左下)は少人数用に胸肉(腹部)6.5ポンド(約3kg)中に既製品のスタッフィングをレシピ通りに玉ねぎセロリを追加して詰めて3時間ロースト。グレービーソースはターキーの付属品の濃縮タイプ、レシピ通りに焼いたターキーから出たエキスも加えて温めたもの、結構塩辛くて誰も食べないのに一応飾りで。

焼き野菜(右下)は日本風の何かをリクエストされて作ったもので、南瓜・紫芋・薩摩芋を蒸してバター・ブラウンシュガー・シナモンを乗せてターキーの隣で一緒にオーブン焼きした一品。こちらのオレンジ色の柔らかくて甘くないスイートポテトよりもほくほく系に仕上がるアジアの材料が購入できる環境に感謝。-Tamaki

■秦基博「」■井上陽水「MAP」■Maroon 5「Girls Like You ft. Cardi B)

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