No. 714, Nov. 29, 2024, メリーランド大学で研究に邁進、でも都市の暮らしも恋しい with Aki-san

感謝祭のお休みにAkiさんとトーク

Thanksgiving & Black Fridayのホリデーはいかがお過ごしでしたか。U-Cは、最低気温が氷点下の日もあり、いよいよ冬です。第714回のHSの収録は、日本時間の2024年11月27日(水)、MarylandからAki(松本章伸)さんをお迎えし、Ryutaさん(Shizuoka)とMugiko(Kyoto)と3人で話しました。Part1ではAkiさんの暮らしと研究紹介、Part2ではWashington DCでのネットワーク作り、Part3では大統領選挙前後の様子などを話題にしました。Akiさんから現地の様子を伝えるたくさんの写真も届きました。ありがとうございます。

メリーランド大学のキャンパス内で紅葉と共に(2024年10月22日Aki撮影)

Part1, University of Maryland, College Parkは田舎?研究に邁進

自己紹介-テレビドキュメンタリー番組ディレクター&メディア史研究者

15年間日本のテレビドキュメンタリー番組の制作アドバイザー兼ディレクターをしています。また去年からアメリカの大学にて、客員研究員として東アジアのラジオ、テレビ、新興メディアの研究をしています。これまで自分が、当たり前のように日本において番組制作に取り組んできた経験値を、一度距離を置いて疑い、歴史的に改めて検証する作業に取り組んでいます。-Aki

メリーランド大学_キャンパス内に車両道路と路面電車の線路が走る(2024年11月1日Aki撮影)

「占領期日本のCIE図書館とCIEラジオ課」

Akiさんには、渡米前の2023年5月にHSに出演し研究テーマについて話していただきました(HS No. 635)。第2次世界大戦後の占領期の日本でGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)によって、全国の主要都市に図書館や、ラジオ放送の制作・指導を行うラジオ課も設置されました。メディアや教育をとおして、日本の民主化政策と大衆のある意味での管理・操作をすすめようとしました。そこで浸透した番組制作の方針や手法が、その後、日本や韓国などのアジアにどのような影響を及ぼしてきたのか。Akiさんは、日米とアジアのグローバルなメディア史を、ドキュメントと証言から読みとこうとしています。

メリーランド大学のキャンパス_冬晴れの一コマ(2024年11月16日Aki撮影-)

大学図書館のプランゲ文庫とD Cの公立公文書館へ通う日々

メリーランド大学図書館のSpecial Collections and University Archiveには、プランゲ文庫(Gordon W. Prange Collection)があります(Special Collections: Postwar Japan)。Prange(1910-1980)は、GHQの参謀第2部で戦史室長をつとめていました。そこで検閲した資料を米国に持ち帰り、勤務しいてたメリーランド大学に運び入れました。検閲の跡が残る新聞や書籍などの原資料もあり、Akiさんの研究にとってはもっとも重要なアーカイブのひとつです。また、アメリカ国立公文書館(National Archives and Records Administration, Washington DC)へも、自転車で15分ほどでも行くことができます。調査に集中しアーキビストとしか話さないという日もあります。

メリーランド大学キャンパス(上)&大学周辺(下)の自然 撮影 Aki

リスとキツネとリスが歓迎、しかし、ファンシーなレストランはない。

Akiさんにとっては最高の研究環境ではありますが、暮らしにおいては、少々物足りない。リスやキツネやシカが迎えてくれる自然は豊かですが、ダウンタウンと呼ばれるところでもファンシーなレストランがありません。グルメなAkiさんにとっては残念です。もっぱら自炊生活です。住まいから徒歩15分ほどのところにオーガニック食品店があり、また週に1回、キャンパス内でも小規模ですがファーマズマーケットが開かれます。

メリーランド大学のキャンパスで週に一回開かれるファーマーズマーケット_店舗数は10店舗に満たない(2024年10月23日Aki撮影)

昼食はお手製のお弁当をメリーランド大学内のキャンパスの庭で(2024年11月5日Aki撮影)

Part2, 週末はDCへ、積極的にネットワーク作り、実務経験を強みに

週末は都市へ、様々な人と出会う

週末にはWashington DCに出かけ、都市を感じ、積極的に研究会などに参加しています。Akiさんは、テレビのドキュメンタリー制作に長く携わってきましたが、実は内向的(なんだそうです)。自分から初対面の人に話しかけるのは苦手ですが、DCには周辺に大学も多く、さまざまな領域や方法論をもつ研究者に出会う機会がより多くあります。

米国国立公文書館での調査の一コマ_(2024年8月30日Aki撮影)

実務経験15年の自分だから見えてくることも

Akiさんは、テレビ関連の仕事をへてから研究を始めたので、同世代の研究者よりも研究歴が短いことがコンプレックスになっていました。しかし、アメリカの大学院で学ぶ人々は、出身も履歴も実に多様です。Akiさんにとってはそれが大きな刺激になり、自分が歩んできた道がこれからの研究の強みになる、と前向きに考えるようになりました。

カレッジバスケットボールの試合_キャンパス内のスタジアムにて(2024年11月27日Aki撮影)

Part3, 大統領選挙前後の熱狂と沈黙、ブラックフライデーにフライパン

アメリカの経済、政治の不安

ワシントンD.C.でのハリス候補の演説を聞くために目的地へ向かう人の波(2024年10月29日Aki撮影)

ハリス候補への熱烈な支持

アメリカ滞在はしかし、Akiさんにとって決して安定したものではありません。円安は、生活を直接に圧迫します。これからの政治状況については不安が募ります。大統領選挙前は、人々は時には熱く政治について語っていました。投票日の前週にAkiさんは、ハリス候補の演説を見にDCへ行きました。演説の何時間も前にDCに到着しましたが駅をでてから人並みが途絶えることはなく、あまりにも人が多く、会場周辺の複数のセキュリティチェックの場所にさえ辿り着けませんでした。

ワシントンD.C.で開催されたハリス候補の演説に集まった人(2024年10月29日Aki撮影)

熱狂から沈黙へ

会場となる公園に入ることはできませんでしたが、近くの高台にのぼり、スクリーンに映し出されたハリスの演説を見ました。そこでも多くの支援者が集まり熱く語り合っていました。しかし、選挙後は、Akiさんが出会う人たちは誰もが沈黙したままです。政治についてもこれからのアメリカについても、語ろうとしません。TVなどのニュースも、バイデン現大統領とトランプ次期大統領が対談したといった事実を淡々と報道するだけで、それに対するコメントは述べません。Akiさんは、この「沈黙」の深い意味をアメリカ滞在をとおして考えていくことになりそうです。

メリーランド大学のキャンパス_仕事後に眺める夕日(2024年10月12日Aki撮影)

ブラックフライデーにはフライパン

アメリカでは、これからもさまざまな試練はあるかもしれませんが、Akiさんはまずは、自分で料理を楽しむことにしています。感謝祭には、鶏肉をしょうゆとみりんと生姜につけて焼き友人を招きたいと準備中。ブラックフライデーにはステンレスのフライパンを購入するつもりです。来週、HSに出演する予定のWataruさんには、自宅に人を招くときのコツなど教えてもらえればとAkiさんは話していました。研究とともに料理の腕も心身も鍛え走り続けるAkiさんのお話、これからも楽しみです。-まとめ by Mugi

毎週5キロのランニングイベントに参加(2024年8月24日College-ParkRunボランティアグループ撮影)

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