No. 716, Dec. 13, 2024, スペインで学会発表、ボルチモアでGeography Bowl with Wataru, GISシリーズ No. 12-2

寒くてもほっこりと

慌てただしい年末、それぞれの場所で無事にお過ごしですか。今週のChampaignは、最高気温が氷点下の日もあり、本格的に寒くなってきました。Part1では、そんな季節の話から、Yoshiさんから届いた猫の写真をめぐってペットの話題へ。ほっこり温まってください。

後半は、先週(No. 715)に続いて、WataruさんとのGISシリーズ No. 12-2。Part2は、スペインでの学会出張と「シカゴの車両基地再開発」の話題です。Part3では、Wataruさんが学生たちを引率してボルチモアで開催されたアメリカ地理学会地方大会に参加、さて、Geography Bowlとは何でしょう。お楽しみください。

Part1, freezing rainには注意。Yoshi家の猫さんたち。あったかペット話

今週の収録は、日本時間の2024年12月12日(木)午後2時、RyutaさんはTokyoから、MugikoはKyotoからの参加しました。この時のChampaignの気温は、−7℃と表示されていました。この寒さ、週末には少し緩み、雨の予想です。freezing rain(地面に付着した雨水が冷却され着氷する)にはご注意を。透明な氷に気づかずに、滑って転びやすいです。また、イリノイの気候では、オールシーズンタイヤを使うので、冬、タイヤを替えたりチェーンを巻くことはあまりないそうです(道路も傷むので)。

猫たちとにぎやかな日々

今年の6月頃から、わが家に子猫が2匹やって来ました。生後2ヶ月くらいだったでしょうか。12月現在で8ヶ月くらいです。先住猫は2匹ですので、いまは4匹飼っていますが、先住の一匹はロフトにいて、ふだん人間が暮らすフロアになかなか降りてきません。そういうわけで、3匹が同じ空間にいることが多いです。子猫は好奇心旺盛でよく動くので、日々にぎやかです。-Yoshi

Yoshiさん、今回も素敵な写真をありがとうございます。Ryutaさんの実家でも、Ryutaさんが高校生の時からお母さんが小型犬を飼っていたことがあり、20年生きたそうです。大学生のRyutaさんが、家族が出かけた後も寝ていると布団に入ってきて暖かくて、さらに一緒に眠ってしまって、つい、うっかり、朝寝坊することも。Mugikoも子供の頃、犬を飼っていましたが室内ではなく、屋外。小さな庭に犬小屋があって首輪に鎖をつけていました。最近、そと犬を見かけなくなったような気がします。

Part2, スペインでへ学会発表、 「シカゴ車両基地再開発と社会正義」

スペインへ学会出張

教えることに忙殺の今学期でしたが、11月に、何とか時間を確保して、二つの学会に参加してきました。1つ目は、Urban Transitions 2024 という人々の健康や幸せ(ウェルビーイング)に重きを置いた都市政策に関する学会で、スペインのシッチェスで行われました。

シカゴの鉄道車両基地の再開発と社会正義

そこで、私は、シカゴの鉄道車両基地の再開発と社会正義に関する発表をしました。内容を簡潔に述べると、アメリカでは、20世紀後半から現在にかけて、鉄道から自動車社会への意向に伴い、鉄道インフラ(車両基地)の閉鎖と用途変換が起きました。変換は主に二通りで、商業地や公園といった鉄道と全く関係の無いもの(日本の最新の例だとグラングリーン大阪)か、貨物用の複合ヤードです。後者の変換が起きると、周辺住民は騒音や大気汚染により苦しむことになり、不利益が生じます。

マイノリティ、低所得者層の地域、貨物用複合ヤードへの変換、環境悪化

米国シカゴを対象に変換の空間分布と周辺住民の社会経済属性を調べた結果、少数派の人種や民族、低所得者層が周辺に多く住む車両基地が、複合ヤードに転換されがちで、格差・不正義が悪化する事態となっていることがわかりました。都市開発と聞くとワクワクしますが、こうした不平等は無くさなければなりません

多分野の研究者・実務家との議論、地中海の絶景、料理も楽しみつつ

普段アメリカ国内で地理学の研究に従事する私にとって、このヨーロッパでの都市開発系の国際学会は、普段会わない分野や国の研究者・実務家と議論をする貴重な機会でした。地中海の絶景と美味しいパエリア・タパス料理を楽しみつつ話せたのも、学会前後に、バルセロナにあるガウディのサグラダファミリア教会ほか、いくつか名所を観光できたのも楽しかったです。-Wataru

Part3,米国地理学会地方大会、Geography Bowl で我が大学が優勝

ボルチモアで地方大会

もう一つは、メリーランド州内のボルチモアで開催された、アメリカ地理学会の地方大会(Middle Atlantic Division of American Association of Geographers)です。アメリカ地理学会は、私を含むアメリカにいる地理学者の間では最も大きな研究コミュニティの1つです。毎年春に全国(ないし世界)向けの研究発表大会が行われており、それに向けた前哨戦という形で、いくつかの地区にわかれた地方大会が例年秋に開かれています。

Wataruさんが運転、学生6人を引率

これに、学生6人を引率する形で参加してきました。会場の大学には、ソールズベリーから車で2時間。ソールズベリー大学が所有するバンを借りて、私が運転して連れて行きました。途中雪もちらつき、大変だった~。参加学生は、研究発表の聴講や、ランチなども楽しみましたが、メインの参加目的は、学会の最後におこなわれる大学対抗学生クイズ大会でした。

Geography Bowl-地理に関するクイズ大会

この大会は Geography Bowl と呼ばれており、早押し問題や、チームで相談しながらの並び替え・書き出し問題が出されます。全て地理に関する問題ですが、そもそも地理学が学際的なので、環境、気象、地誌、地形、地質など幅広い知識が問われます。問題を作成するのは各大学の教員で、いずれ自分にもその役目が来るのか、どんな問題をつくろうか…などと考えながら、私はクイズを聞いてました。

トレーニングの甲斐あり、ソールズベリー大学が優勝!

結果は、我が ソールズベリー大学が優勝!直前に二度ほど過去問をもとに、一緒にトレーニングした甲斐がありました。正答数上位の数名は、来年3月のデトロイトでのアメリカ地理学会全国大会内で開催されるGeography Bowl にも招待されます。私は、元々1人で研究発表しに、デトロイトへ行く予定でしたが、それも学生を引き連れての楽しい旅になりそうです。-Wataru

NIMBY(Not In My Backyard)

車両基地開発問題についてのトークの中で、NIMBY(Not In My Backyard)ということばが出てきました。GIS研究をとおしてより明確に見えてきた「現状」を、そこから何をどう考えて動くのか、深く問われるなあと思いました。GISトークは、社会や世界や環境とそこにいる私との関係をいろいろな角度から、毎回、気づかされます。Geography Bowl の全国大会も楽しみ。Wataruさん、今回もトークと文章と写真をありがとうございました。-Mugi

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■紫今「ギンモクセイ」■PEOPLE1「YOUNG TOWN」■TOMOO「夜明けの君へ

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