秋の景色とイベント
Tamakiさんからバージニア州の秋の風景の写真が届きました。特大パンプキンにはびっくり。どれくらいの重さでしょうか。今週の番組収録は、2023年10月19日(木)正午頃。RyutaさんはTokyo、MugikoはKyotoからの出演です。そして、先週に続き(No.655)、U-CのWataruさんのトーク、後半をお届けします。イギリス出張の旅、ロンドンを経て(Part1)、いよいよ、LeedsでのGIScience 学会のお話になります (part 2 & 3)。
Homecoming Week
U-Cでは今週は、イリノイ大学の2023 Homecoming Week、連日イベントが続きました。HS 放送時間には、Homecoming Paradeがありました。そして、10月21日(土)2.30pmには、Memorial StadiumでFootball Game (vs. Wisconsin)開催です。
C-U Small Festival 2023! Zine Exhibitionも
来週末には、C-U Small Press Festival 2023@ Lincoln Square Mall, Oct. 28, 11 AM-4PM。関連イベントも始まっています。Art Coopでは、Zine Exhibitionが開催中です (Oct. 7-29)。行きたい!! -Mugi。
Part1, U=Cイベント情報、Wataruさんのロンドン旅 with Wataru
Twist Museum@ London
2週間前にIndianapolis Art Museum のゴッホ作品に没入できる空間の話が出ていましたね。ロンドンにも、Twist Museumという、幻想の世界に飛び込める美術館があります。60を超える大小さまざまな錯視作品が展示されていて、不思議な感覚に誘われます。-Wataru
*清水晶子「インスタ世代のための21世紀サイケデリック空間『トゥイスト・ミュージアム』」
Part2, GIS cience@Leeds、健康地理学のポスター発表 with Wataru
Part3, Population Approach 、社会、環境への働きかけ with Wataru
GIScience 2023 in Leeds, UK
さて、そもそもイギリスへ渡航した主目的は、 Leeds で行われた国際学会 GIScience 2023(https://giscience2023.github.io/)での研究発表でした。私がポスドクの仕事として取り組んでいるHealth GIS に関する研究で、クリニックへのアクセシビリティについてのポスター発表をしてきました*。-Wataru(以下も)
*Morioka, W., Lian, O., Lin, Q., & Kolak, M. (2023, September) Scaling up metrics for measuring spatial accessibility to opioid overdose treatment. GIScience 2023, Leeds, UK
麻薬性鎮痛薬依存症の治療施設への地理的近接性
内容について少し説明すると、「現在アメリカ全土で、オピオイドと呼ばれる麻薬性鎮痛薬の依存症者及びその過剰摂取による死亡者数の増加が社会問題化しています。その問題解決に地理的観点から貢献しようと、依存症者の治療施設への地理的近接性(アクセシビリティ)を測り、治療施設が不足している地域を地図上に可視化しました。」という研究です。イリノイ大学のスーパーコンピューターを使いながら、全米の国勢調査区を単位とし、人口密度も考慮して、自動車の運転時間に基づいて治療施設へのアクセシビリティを計算した結果、都市部・郊外・地方の地域間格差や、社会的脆弱性の程度を浮き彫りにすることが出来ました。今後は、実際の死亡率との関係、周辺環境との相関についても調べる予定です。
窪谷浩「米国でオピオイド中毒死者数が急増〜コロナ禍でオピオイド危機が再熱」ニッセイ基礎研究所, 2023年1月4日
Population Approachと環境改善、コミュニティ全体への働きかけ
歴史的に、健康医学の研究は、個人の健康決定要因(例:生活習慣)とその介入に焦点を当てて研究されてきましたが、近年 Population Approach と呼ばれる、社会的および物理的な環境(例:地域の治安や関連施設への地理的近接性)に焦点を当てコミュニティ全体に働きかけるタイプの研究が注目されています。
Ecological Approach, 地理的要素が健康に与える影響
個人と集団の両方といったあらゆる健康決定要因を包括的に扱う際には、 Ecological Approach と呼ぶこともあります。自宅周辺の生活環境といった地理的要素が、健康結果に影響を与える非医学的要因(Social Determinants Of Health: SDOH)になると指摘されており、地理学界隈でもSDOHが近年注目の研究テーマの一つになっています。このテーマは、私はポスドクになってから本格的に取り組み始めたもので、新鮮な気持ちで日々勉強しています。
著名な学者や同世代とも交流、学会はやっぱり対面が楽しい!
今回の国際学会及びその道中では、私と研究興味が近い研究者らと新たに知り合えて、さらに研究の議論が深く出来て、とても有意義でした。やはり、学会は対面の方が楽しいと再確認した次第です。今後も積極的に参加し交流を深めていきたいです。–Wataru
社会的・物理的環境からの健康へのアプローチ
Ryutaが以前住んでいたSt. Louisでは、バスターミナルなどで新鮮な野菜、果物を販売する取り組みが行われていたことがあります。これは、経済的に困窮している層が多く住んでいる地域を中心に、スーパーマーケットへのアクセスが悪いエリアが存在するため、そのことに起因する健康問題を解消しようというものでした。日々の食料自体はドラッグストアやコンビニエンスストアでも購入できますが、そうすると、どうしても加工食品、冷凍食品が中心の食生活になってしまいます。そのような人たちの通勤ルート上に「ファーマーズマーケット」を設置することで、食生活、ひいては健康状態の改善を図ろうという試みです。
似たような取り組みに、コミュニティ内の公共図書館で健康情報や健康リテラシー教育の機会を提供する、というものもあります。ただ、オピオイド禍のような医療問題になると、ボランティアベースで行える食生活面の支援や、図書館司書が行える活動を超えた医療者による支援が必要になるので、より高いレベルでの政策的介入が必要にもなりそうです。GISを活用した分析には、そのような介入を後押しする説得力がありそうな気がします。– Ryuta
GISシリーズでリンクする -Mugi
GISシリーズ No.11はいかがでしたか。シリーズの各回の内容は多彩ですが、相互に関連していて、たどっていくと面白いです。今回話題となったPopulation Approach(ある問題について当事者個人の決定要因にのみ焦点をあてるのではなく、社会的および物理的な環境から考えていく)は、GISシリーズ No.3 で、Wataruさんと、健康地理学を専門とするJoen-Youngさんが言及していたAgent-Based Model(「ヒトやモノをエージェントとみなし、その動きを概念モデル化、ルールを定め、コンピュータ上でシミュレーションすることで、地理空間事象を理解しようとする新しいアプローチ」-Wataru (HS No.460)とも関係しそう。- Mugi
GISシリーズ・No.429-2, June7, 2019, 「GISは暮らしの現場でこんなに活躍」 GISシリーズNo.1, with M. Wataru-san・No.451, November15, 2019, 「GIS で墓地ツアー、地図もメディア」GISシリーズ No.2, with M. Wataru-san・No.459, Jan.10, 2020, 「日本のアニメ、マンガ大好き」「健康地理学って?」GISシリーズ No.3 (前半), with Jeon-Young & M. Wataru・No.460 Jan.17 2020 Agent-Based Modelで感染症伝搬の時空間シミレーション, GIS シリーズ No.3(後半)with Jeon-Young and M. Wataru・No.465, Feb.21, 2020,「ランドスケープ・アーキテクチャーを本場で学ぶ」 GISシリーズ No.4(前半), with Yuta & M. Wataru・No.466, Feb.28, 2020, 「防災から減災へ、レジリエンス 、しなやかな回復力」GISシリーズ No.4(後半)with Yuta & M. Wataru・No.478, May22, 2020,GISシリーズNo.5(前半)COVID-19とレジリエンス、公園の可能性 with Yuta & M. Wataru・No.479, May29, 2020, GISシリーズNo.5(後半)COVID-19とレジリエンス、モビリティ with Yuta, M. Wataru, Ryuta・No.483,June26, 2020, GISシリーズ No.6-1,「都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ」 GISとの出会い with Ai-san・No.484,July3, 2020, GISシリーズ No.6-2,「都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ」 開発秘話 with Ai-san・No.485, July10, 2020, GISシリーズNo.6-3,「都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ」情報は誰のものかwith Ai-san, M. Wataru-san, Ryuta-san・No.507, Dec.11, 2020, GISシリーズNo.7、GIS Dayでポスターセッションwith M. Wataru・No.558-1,Dec.3, 2021, 記述することの政治性、 誰でも記述できる仕組みつくり with Kenya, GISシリーズNo.8-3・No.557, Nov.26, 2021, 地球の全てを記述できる、記述したい世界にする!「APLLO & Re:Earth」with Kenya_GISシリーズNo.8-2・No.556-2, Nov.19, 2021, 「世界一の地理学者になる!」 with Kenya, GISシリーズNo.8-1・No.586, June 17, 2022, Uni HighでGISワークショップ with Wataru-san, GIS シリーズ No.9(前半)・ No.588, July 1, 2022, 地域との交流、GIS活用 with GISシリーズ No.9 (後半)・No. 648, Aug. 25, 2023, PhD取得!GISとコロケーション with Wataru, GISシリーズ No.10
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