HS No. 735, April 25, 2025, Illinois Marathon, KYOTOGRAPHIE/グローカルなアート実践

春のU-Cを走る、Kyotoを写真でグローカルにつなぐ

日本各地も新緑が美しい季節です。U-Cではイリノイマラソン中。今週は、いろいろな春のイベントについて話しています。収録は日本時間2025年4月23日(水)午後、RyutaさんはTokyoから、MugikoはKyotoから参加しました。

Part1では、U-Cのイリノイマラソン、OsakaのEXPO2025の京都国際マンガミュージアムの企画展示について、Part2&Part3では、Tateishiさんからの熱いメッセージ、京都国際写真祭について紹介しています。

Part1, イリノイマラソン、大阪・関西万博でのマンガミュージアム企画

Illinois Marathon 2025

HSの放送後4月25日(金)7.30pmに5K Run/ Walk 始まりました。4月26日(土)は早朝からたくさんのプログラム、スケジュールの詳細はこちらへ。この日の交通規制にもご注意ください。

ROGER EBERTS’S FILM FESTIVAL

Champaign 在住のTomさんが、「今日は、人出が多かった。イリノイマラソンだけでなく、ROGER EBERT’S FILM FESTIVALのTシャツを着ている人も見かけたよ」、と話していました。Champaign のVirginia Theaterで開催中(April 23-26)です。

大阪・関西万博での京都国際マンガミュージアム企画展示

2025年5月に2つの企画展示が行われます。「2025年大阪・関西万博出展等 関連情報のお知らせ

◼️文化「物語の可能性」「サブカルチャーから鉄道や宇宙へと、次世代のカルチャーへのイマジネーションがひろがる展示」:2025年5月5日(月)~5月11日(日)@EXPO2025 大阪・関西万博 関西パビリオン内(京都ゾーン)

◼️「マンガで考える 人権問題:マンガ家が語る10のストーリー」展 :2025年5月1日(木)〜5月8日(木)@ EXPO2025 大阪・関西万博 国連パビリオン内(エンパワーリングゾーン)

Part2, 京都国際写真祭:KYOTOGRAPHIEとは

KYOTOGRAPHIE :International Photography Festival 2025

京都国際写真祭が4月12 日から5月11日まで市内各地を会場に開催中です。こちらのサイトを見るだけでも、アーティスト、主催者、たくさんのスタッフ、参加者との協働、ユニークな場所と多彩な作品のエネルギーと「思い」が溢れ伝わってきます。「私たちについて」の冒頭には次のように記されています。

「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」は、世界屈指の文化都市・京都を舞台に開催される、日本でも数少ない国際的な写真祭です。一千年の長きにわたって伝統を守りながら、その一方で先端文化の発信地でもあり続けてきた京都。その京都がもっとも美しいといわれる春に開催されます。日本および海外の重要作品や貴重な写真コレクションを、趣のある歴史的建造物やモダンな近現代建築の空間に展開し、ときに伝統工芸職人や最先端テクノロジーとのコラボレーションも実現するなど、京都ならではの特徴ある写真祭を目指します。

2011年の東日本大震災を受け、日本と海外の情報交換の稀薄さを私たちは目の当たりにしました。それはおのずと双方の情報を対等に受信発信する、文化的プラットフォームの必要性への確信となりました。日本はカメラやプリントの技術において世界を先導しているにもかかわらず、表現媒体としての「写真」はまだまだ評価されていません。私たちはここに着目し、「写真」の可能性を見据えるべく国際的フェスティバルをたちあげ、この世界が注目する伝統と革新の街「京都」で実現することを誓いました。

KYOTOGRAPHIEと並行して、「KG+」(これから活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘と支援を目的とした公募型アートフェスティバル)が、KYOTOPHONIE(KYOTOGRAPHIEの精神に基づく国際的なボーダレルミュージックフェスティバル)も開催中です。市内各地の街角にふっとこんな黄色旗を見かけます。-Mugi

Part3, TateishiさんからのKG案内、おすすめ

KYOTOGRAPHIEについては、昨年はTateishiさんがボランティアスタッフとして参加され、その経験について話していただきました(HS No. 699)。今年は、現在開催中の京都国際写真祭の様子をTateishiさんのブログとHSへのメッセージから紹介します。

KYOTOGRAPHIE2025がはじまりましたよーTateishi

4月12日から5月11日にかけて、今年も京都市街のあちらこちらを舞台に展開される京都国際写真祭「KYOTOGRAPHIE」がはじまった。そして開幕して2日目を経てさっそくこのブログを書いている。

一般客としてKYOTOGRAPHIEを楽しませていただいた。インフォメーションセンターとして無料で入れる八竹庵(旧川崎家住宅)に出向いたのだが、さすがに初日の朝だけあってたくさんのお客さんでごった返しており、….(中略)この旧川崎家住宅の内部そのものも建物として見事なもので、ウネウネとゆるやかに波打つガラスごしに眺める庭の様子なんかも、ここでしか味わえない。

そしてこの会場では展示も行われており、パレスチナ系アメリカ人写真家アダム・ルハナによる作品がこれも無料で観賞できる(こちら)。いわゆる戦争状態の環境下についての写真というよりは、日常を暮らすありのままの様子をとらえることを目指した作品群であり、「何があっても日々を淡々と送ること」がそのなかに大きな抵抗の力をふくんでいる、ということが示されているかのようである。

インフォメーションセンターだけあって物販や、過去のカタログや写真集の展示販売なども充実しており、今年のプログラム全体を楽しもうという方はそれぞれの展示会場のメイン作家の写真集でそれとなく「予習」もできるので、スタートは八竹庵に足を運ぶのがおすすめである。Tateishi, HOW*GTR 2025.04.13

古い町屋スペースと「パレスチナ」からの写真と問いかけ

TateishiさんのHOWEを読み、Mugikoはまずは八竹庵(旧川崎家住宅)に立ち寄りました。この大正時代の町屋は、KYOTOGRAPHIEのInformation Centerであり、各部屋には作品も展示されています。2階ではパレスチナ系アメリカ人写真家アダム・ルハナの作品が、町屋の庭から差し込む光をうけて息づいています。パレスチナの人々の暮らしを撮影した瞬間と古い町屋の時空間がつながって、それを見ている「わたしたち」はどこへむかおうとしているのかと、心がざわつきます。-Mugi

Tateishiさんが今回、特におすすめなのが、京都新聞社ビル会場です。

「今年の京都新聞社ビル会場もぜったい来たほうがいいぞ!!」-Tateishi

翌日は一日ずっとボランティアとして、大好きな京都新聞社ビルの会場にいた。たまたまとはいえこの現場から今年のスタッフ業務をスタートさせることができて嬉しいし、一年ぶりにこの場所に戻ってこられて、やはりこの会場は特別だなと実感している。Tateishi, HOW*GTR 2025.04.13

Tateishiさんからはブログの続きとして、さらに詳しいメッセージが届きました(4月22日)。ありがとうございます!

写真家「JR」の「クロニカル京都」@JR京都駅北東

京都新聞社ビル会場では、フランスの写真家「JR」の過去のプロジェクトの紹介と、今回京都を舞台に行ったプロジェクトの関連展示が行われています。「クロニクル京都」というメイン作品は、今回JR京都駅の北東の大きい壁に展示されていて、京都に住む500人ちかい人々の写真をコラージュした作品です(これはキョウトグラフィーが終わったあともしばらく展示される予定とのことです。JR京都駅にJRさんの作品という、ちょっと名前がまぎわらしいですが)。何かの折に京都駅に行かれた際は、ぜひ烏丸口のちょっと東側のエリアに立ち寄っていただければ、JRさんの巨大な作品が観られます。京都新聞社ビルの会場では、その壁画に使われたたくさんの人々の写真があらためて紹介されていたり、そのモチーフを使った展示が展開されています。

UPLINKでのドキュメンタリー映画「顔たち、ところどころ」

あと、烏丸御池の映画館UPLINK京都では、このJRさんの展示に関連して「顔たち、ところどころ」という2017年のドキュメンタリー映画が期間限定公開されています。
JRさんと、当時87歳の映画監督アニエス・ヴァルダさんが、二人でフランスのあちこちを旅しながら、そこで出会う人々にまつわるアート作品をつくっていくという記録映画です。

そのほか、休みの合間に少し立ち寄った他の会場について・・・

「The Anonymous Project presents Being There」@「しまだいギャラリー」

烏丸御池駅ちかくの「しまだいギャラリー」では、リー・シュルマン & オマー・ヴィクター・ディオプ「The Anonymous Project presents Being There」という展示が行われ、白人中心主義的な昔のアメリカの家庭的な写真のなかに、黒人の不在を問いかけるべく、あえて黒人である自分自身を画面に映り込ませるとどうなるかという、写真をつかったアート作品が展開されています。会場をめぐるなかで出会うアンティーク家具も印象的だったり、最後の最後でメイキング映像がひっそり流されていたりしていて、写真合成技術ってここまでリアルにできるのか・・・と思いました。ちなみに同じ会場では長年京都で発行されてきた雑誌KYOTOJOURNALの関連展示も行われています。

「Small World」の毒のあるユーモア@三条木屋町TIME’S

三条木屋町のTIME’Sで行われている、マーティン・パーの展示「Small World」もおもしろかったです。「観光地に殺到する観光客」を撮影するシリーズが展示されており、いかにも英国人的な、皮肉とユーモアが感じられます。オーバーツーリズムへの問題提起、という真面目な解釈も可能でしょうが、私は純粋に「毒のあるユーモア」として楽しんでおりました。今回の展覧会にあわせて、パー氏本人が春の京都を訪れて、花見のシーズンに集う観光客をとらえた写真がスライドショーで上映されているのですが、流れているBGMの雰囲気も含めて、これも私は苦笑いをこらえながら観ていました。と同時に「他人のことを笑っているけど、自分も普段は、こんな感じで観光地にいっているよなぁ」と、ちょっと我が身を振りかえさせられる、そういう展示です。

「骨の髄」英国のフットボールの原型の祭りなど@くろちく万蔵ビル

甲斐啓二郎「骨の髄」は、くろちく万蔵ビルで行われており八竹庵のすぐ近くになるのですが、英国のフットボールの原型ともいえるお祭りだったり、日本の火祭りの様子だったり、とにかく男の人が入り乱れて祭りを行う様子が迫力ある画角で捉えられています。最後の最後で映像作品として流れており、これも大迫力でした。あまり時間がなかったので早足で観なければならなかったのが今さら後悔しているのですが、同じ建物の最上階でやっていた、協賛企業のコラボレーション企画として行われたさまざまな写真家による助成プロジェクトの作品紹介も、興味深い展示が多かったです。

そんなわけでして、他にもさまざまな展示会場があり、メインだけでなく、関連イベントとして「KG+」という展示会場も含めると、一ヶ月あっても周り切れそうにない規模で行われているので、適宜自分の気になる場所へ足を運んで、写真を楽しめるイベントとなっております。また会期が終わってから、お話できればと思います!ーTateishi

Tateishiさん、詳しい紹介をありがとうございます。「英国のフットボールの原型」についてのRyutaさんの解説(Podcast Part3の13分過ぎ)にも、なるほど、そうだったのか。

HSの音楽入りの番組全体は、WRFUのHSのShow Archiveから聴くことができます。4月25日放送分はこちらです。-Mugi

カテゴリー: Harukana Show-Podcast パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です