月曜日の朝、大阪北部地震、震度6弱
今週は、日本時間の6月18日月曜日午前7時58分に大阪府北部を震源地とする震度6弱の地震があり、大混乱の1週間の始まりでした。Mugikoが住むKyotoでも、ドシンと突き上げるように揺れました。通勤・通学の時間帯で関西のJR、私鉄がストップしました。「住宅被害が近畿4府県で計3416棟」「死者は大阪府で5人。22日午後6時現在の負傷者は7府県で406人」(産経WEST, 2018.6.22.20:34)。11万戸以上のガスが止まり復旧作業に追われています(大阪ガス・都市ガスの復旧状況第13報6月22日確定値)。
地震や交通に関する情報が多言語ではなかなか伝わらず、海外から観光に来られた方のなかには、途方にくれた方もおられたのではないかと思います。「災害時の外国人観光客ケア不十分 大阪地震で課題」日本経済新聞2018/6/20
Part1, 大阪、京都で大きな揺れ、大阪北部地震、「ミニ・シアター」は和製英語?
本日のHarukana Showのテーマは、日本の「ミニシアター」、単館系の比較的席数が少ない映画館です。アメリカでも独立系の映画館はありますが、Mini Theaterという表現はアメリカでは聞いたことがないなあとRyutaさんは話していました。番組では、神戸市元町商店街にあるミニシアター「元町映画館」で広報・企画を担当している宮本裕也(Hiroya)さんをお迎えしました。甲南大学の学生たちを前にした公開録音でしたが、Harukana Show初出演のHiroyaさんは楽しく熱いトークを展開、学生たちも聴き入っていました。
Part2, 元町映画館とは?映画を通して人をつなぐ場所
Part3, Hiroyaさんストリー、一般企業から転職して元町映画館へ、現場と信頼関係
元町映画館について教えてください
神戸市内あるミニシアター「元町映画館」
兵庫県神戸市にある66席のミニシアター。それが「元町映画館」です。当館は2010年に誕生し、今年8周年を迎えます。当館は、日本に多く存在するシネマコンプレックス(シネコン)とは違い、独自の作品のラインナップを持っています。
もとパチンコ屋、100円ショップの2階建ビルを映画館へ
実はもともとは映画館ではなかったのです。もとはなんと100円ショップ、その前はパチンコ屋だったそうです。その2階建てのビルを映画好きなオーナーが買い取り「いつか映画館にできたらいいね」ということが当館の始まりです。その願いは神戸に住む映画好きの人たちに広まり、自ら出資者を募り、費用を集めました。費用が集まると今度は内装工事、映画館としてスクリーンや映写機、座席。足りない備品は自分たちで手作りしました。黒いカーテン、ペンキ塗りなど自分たちでできることは、ボランティアのおかげもあり進んでいきました。元オーナーは、「この劇場は本当に完成したのが奇跡」とおっしゃっていました。
苦難のはじまり
やっとの想いでできた映画館でしたが、運営当初はスタッフが寝泊まりしながら、交代で営業していたそうです。映画業界で働いていた人は当時おらず、知らないことは東京の配給会社に説明を受けるなど、日々勉強の毎日だったそうです。スタッフも映画好きが集まっていましたが、好きと営業するはやっぱり別物。非常に苦労したとお聞きしました。
35mmフィルム映写機の存在
映画館ができた当初は上映素材が徐々にデジタル中心に移行していた時期でした。元町映画館には35mmフィルム映写機が2台あります。オープン時に「フィルム上映で映画を観たい人もいる。フィルムしか出せない映画の良さもある」という声があったからだそうです。フィルム上映は全国的にも非常に少なくなっていますが、これがあるのも元町映画館の魅力の一つです。
映画上映だけでなく、映画をとおして人が集まる場所として
当館は映画を上映するだけではなく様々なイベントも実施しています。映画に合わせて大学の先生や関連団体をお呼びしてトークイベントを実施したり、近隣の店舗に映画に合わせたオリジナルメニューをご用意していただくなど、映画によって様々です。そうすることで映画好きだけでなく、違った分野で活躍する人々の交流の場所としても映画館は存在しています。
全国のミニシアターも場所によって様々です。名画座もあれば、最新の映画を上映、バリアフリーに特化した劇場など、どんなミニシアターがあるのか、調べるだけでも楽しいです。by Hiroya
HiroyaさんとHarukana Showのご縁は、7月に元町映画館で上映される『ラジオ・コバニ』にです。この映画についての企画を通して、Hiroyaさんが甲南大学に勤務するMugikoを訪ねてくださいました。
『ラジオ・コバニ』はどんな映画ですか?
『ラジオ・コバニ』(監督:ラベー・ドスキー/2016/オランダ/69分/Radio Kobani)
内戦が続くシリアを舞台にある女子大生が自らラジオ局を立ち上げた。がれきの残るシリアで復興を目指すシリアの街コバニに住む人々の声をラジオで発信する女子大生の姿を3年間を追ったドキュメンタリーです。
ラジオの重要性だけでなく、自ら発信することの大切さ、そこに生きる人々の存在を強く訴える姿は映画館スタッフとしても感じるものがありました。元町映画館では、7月7日〜20日上映します。
Hiroyaさんが元町映画館に勤務されるきっかけは?
まさか映画館に勤務することになるとは
2014年の10月から元町映画館のスタッフとして勤務していますが、正直、今、自分が映画館で働いていることは不思議に感じています。大学生の自分に今の状況を伝えるとおそらくびっくりするでしょう。映画は子どものころから観ていました。ただ映画館というよりはテレビの影響が強いです。なんとなくテレビで放送していた映画を観るのが楽しみでした。高校になってからはテレビだけでなくレンタルショップなどでソフトの背表紙だけで観る映画を選ぶのも楽しんでいました。
大学では心理学を専門、ヒッチコック監督作品を研究
大学では心理学を専門に勉強していました。ミニシアターとして元町映画館を知ったのもこの頃です。友人に誘われて足を運びました。この頃はミニシアターという言葉も知りませんでした。そして大学のゼミでは映画監督のアルフレッド・ヒッチコック監督の作品について研究し、ゼミの先生は映画好きということもあり今でも交流があります。
就活ではマスコミ業界を狙うが挫折
そして大学3年から始まる就活では漠然とマスコミ業界に行きたいと考えていました。ただ映画業界に行くつもりはなく、受けていたのは新聞社などのメディア業界。実はテレビのADの仕事も受けて、東京に行く気はあったのですが、ここで私ビビってしまったんですね。そう、東京という街にビビっていたのです。一人暮らしできないんじゃないかと。ここが人生の一つのターニングポイントだったと思います。
結局は一般企業に就職しました。ただ働きながらも趣味は自宅で映画を観ることでした。そしてその仕事をしながらも「このままで良いのか」という想いが高まっていました。
出逢いは本当に突然、配給・宣伝ワークショップへ
出逢いは本当に突然でした。元町映画館へ初めて一緒に行った友人が京都の河原町で行われていた「俳優ワークショップ」に参加していました。その友人から「俳優コースもあるけど、配給・宣伝ワークショップもあるみたいやで」という一言でした。この一言で私の今があると言っても過言ではありません。気がつけば2週に一度、京都に通っていました。仕事をしながら、映画の宣伝や配給の仕組み、実際に映画業界で働いている人々にインタビューするなど実践的なワークショップなど様々でした。
映画館は人が集まる場所として日々変化
それがきっかけで今も、元町映画館で働いています。業界に長いこといたわけでもないので素人の宣伝案や映画に対する考え方になりますが、その分、常識に囚われない考えで映画を、映画館を盛り上げることを考えています。映画館はこれからも映画だけでなく、人が集まる場所として日々変化すると思います。それをぜひ楽しんでいただきたいです。by Hiroya
Part4, コメントbyRyuta、U-Cイベント情報、Art Theaterでジブリ映画
Ryutaさんのお話では、アメリカの映画館の場合は、かつてそれぞれの町にあった映画館の建物を利用して、インデペンデントな商業映画館やNPOやアート系などいろいろな映画館になっている場合が多いようです。ChampaignにあるArt TheaterはCo-opの映画館です。またUrbana-Champaignの場合には、イリノイ大学の AEMS(Asian Educational Media Service)が、大学でアジアのドキュメンタリー映画を定期的に上映しています(AsiaLENS)。
Kobeの「元町映画館」もKyotoの「出町座」も商店街の中にあり、またChampaignのダウンタウンにあるArt Theaterも、それぞれの場所と関わりながら映画をとおして人と場所と情報をつなぎ、ミニシアター/インデペンデントな映画館だからできる活動を展開しているなあと思います。Mugiko
U-Cイベント情報
◎Kiki’s Delivery Service(魔女の宅急便)@Art Theater, 7/7(土)7/8(日):11:30am
次回の放送時間の変更
6月29日(金)のHarukana Showはお休みとなり、7月2日(月)9pmから元町映画館&SKU(Students of Konan University)コラボ企画、夏のHarukana Show Specialをラジオから生放送でお届けします。日本時間では、7月3日(火)11amからのストリーム配信となります。学生たちが番組を企画し、Hiroyaさんを再びゲストに迎えお話を伺っていきます。通常の7月6日(金)にも再放送いたします。
■藤浩一「レッツ・ゴー !ライダーキック!」■高橋洋子「残酷な天使のテーゼ」