No. 779, Feb. 27, 2026,「ゴミ出し事情・公共スペース」「地下鉄道と記憶と継承」「演劇と物語体験」

米国北東部は暴風雪、U-Cでは風が強い日も

今週の収録は、日本時間の2026年2月25日(水)午後1時半、RyutaさんはOsakaから、MugikoはKyotoから参加しました。収録日の前日はアメリカ北東部は暴風雪*、U-Cでも風は強かったようです。Stuartさんが、「風に吹き上げられる変な雲」の写真を送ってくれました。ありがとうございます!「風神」が隠れていそうです。

*CNN「米北東部で記録的な猛吹雪 NYなど5州で移動禁止令、緊急事態宣言続く」2026.02.24.   11:39JST

The Sky, Champaign, Feb. 25, 2026, by Stuart

Part1は、日本の「ゴミ出し事情」や、UCIMCの新しい会議室やU-Cの「公共スペース」について話題にしています。Part2では、IL Underground Railroadの巡回展と地域の記憶・記録、その伝え方について話題にし、これに関連して、Part3では、MugikoがKyotoで観た『土曜日の過ごしかた』(ニットキャップシアター)を紹介し、演劇と物語体験についてRyutaさんと話しています。

今週の音楽は3曲ともChris Vallillo、曲を含めた番組全体は、WRFUのShow Archive 2026-02-27-1800.mp3 (55MB)から聞くことができます。下記では番組のトークの音源と、日本語での説明を写真を添えてお届けします。

Part1, ゴミ収集, UCIMCに新しい集会所、U-Cの図書館等、公共スペース

それぞれの場所のゴミ出し事情

収録日はKyotoは雨降り、Mugikoはうっかり寝過ごして、朝の8時代のゴミ回収に間に合いませんでした。そんな話から地域によっても異なるゴミ出し事情についてのおしゃべりへ。地方自治体によって、ゴミの分別ルールも異なります。Ryutaさんが住んでいた静岡市では、焼却炉の性能がよく、プラスチック製品も燃えるゴミとして回収されるそうです。その代わり燃えないゴミの収集は月1回でした。地域によって事情がさまざまで、引っ越した際にもゴミ出しルールを習得するまでひと苦労しそうです。

U-Cのゴミの回収については、No. 398で話題にしています。なお、U-Cではゴミ回収は自治体ではなく、各世帯が契約した業者が行います。

UCIMC新会議室、IMCメンバー3時間まで無料!各スペース賃貸料値上げ

UCIMCの1階(建物正面入口から向かって左ドア奥)にUICMCの新しい会議室が公開されました。会員であれば3時間までは無料で利用できす。予約等、詳細はこちらへ。また、UICMCホール(ステージや展示など様々に利用可能)などの賃貸料が2026年3月2日から値上がりします(UCIMC Venue Rate Increase)。

UCIMC Room 102, Feb. 2026.

UCIMCの各団体・組織の運営、活動方法の共有

また、2026年3月2日(火)6-7pmには、UCIMC Working Group Meetingが行われます。UCIMCのワーキンググループやボランティアへ向けて、団体・組織の財政管理・運営、UCIMCの利用法、ファーマーズマーケットでの活動など、実務的、実践的な情報を共有をします。今回はオンライン参加も可能です。

Public Spaceとしての地域の図書館

UCIMCのホールや会議室の貸し出しは、一般の人々にとっても貴重です。というのはU-Cやアメリカ各地で、日本のようなコミュニティセンターや町内会の集会場などがありません。このため、地域のPublic Libraryが、営利目的でなければ無料で人々が集まる場所を提供しています。

住民による抗議集会にも

例えば、7年前のこと、2019年2月15日にトランプ大統領がメキシコ国境に壁を建設するために「国家非常事態宣言」を発令した際に、その直後の2月18日に、U-Cではこれに抗議する住民集会がChampaign Public Libraryの一室で行われ、会議の後、参加者は街に出てデモ行進を行いました(HS No. 414, Feb. 22,2019)。Mugikoは現地でその様子を見て、公共図書館がこうした住民の集まりに利用されていることに驚きました。地域の図書館によっても、あるいは時代によっても、その方針は一様でないかもしれません。-Mugi

Part2, Journey to Freedom, ILの地下鉄道「巡回展」とパフォーマンス

先週のHS(No. 778)では、RyutaさんがアメリカのUnderground Railroad(地下鉄道)の歴史について話しました。Journey to Freedom: Illinois’s Underground Railroad Traveling Exhibit が、Urbana Free Libraryで3月29日まで行われています。Abraham Lincoln National Heritage Areaが企画し、2024年から巡回展示が続いています。また、ホストとなった各Public Libraryによっては、Chris Vallilloのミュージカルパフォーマンス「Songs of the Illinois Freedom Road」や、その図書館独自の展示をしています。Urbana Free Libraryでは、Champaign County African American Heritage Trailとともに地域の地下鉄道に関連した資料を調査しています。

*David Joshua Ison Sianghio “Urbana Free Library reveals history close to home.“Daily Illini, Feb 16, 2026

生きた口伝の個の物語を地域や時代とつなぐ

こうした展示は「過去」の歴史を伝えるだけでなく、現在に生きる人々の記憶や記録を引き出す試みでもあります。ある時代において反社会的な地下の活動の足跡は公には残りにくいものですが、それだけでなく、Ryutaさんがコメントされたように、当時の人々の間でそもそも何かを「書き」残す習慣が薄く、口伝(口承)によって家族、一族の物語として語り継がれていたり、音楽にいろいろなエピソードの断片が入り込んでいる場合もあります。そうした生き継がれてきたそれぞれのファミリーの物語が、展示を見ることで地域や時代の背景とリンクし、歴史の新たな側面が浮き彫りになる可能性もあります。

実際に最近でも、NYのthe Marchant’s House Museumの箪笥の下にある隠れ通路がUnderground Railroadの活動の一端であった可能性がたかいことがわかってきた、と報じられています*。

*浅田奈穂「たんすの下は地下通路に繋がっていた?「謎の空間」と「秘密結社」とのつながりが明らかに(アメリカ)」HUFFPOST, 2026年2月23日11時6分JST, Jeana Fermi, “How a 200-year-old Underground Railroad stop was just discovered in New York City.” abc News, February 14, 2026 8.03AM, Michelle Charlesworth “Part of Underground Railroad found in closet of New York City museum. ” abc Eyewitness News, February 15, 2026, Cheryl Wills ” Safe house linked to Underground Railroad discovered in Manhattan.” Spectrum News 1, February 10, 2026.

人々の暮らしの記憶を今に語りかけるChris Ballilloのパフォーマンス

地下鉄道の展示に関してMugikoが興味を持ったのは、Chris Vallilloさんというシンガーソングライターの活動です。イリノイ州の地域や歴史的な出来事やリンカーン大統領にまつわるエピソードを曲にして、人々の暮らしの中にある感性や哀愁や廃れそうな過去を慈しみ、お互いの顔が見えるような場で演奏し、ユーモアも忘れず人々に語りかけ共有する、そんな活動を長年続けています。今週のHSでは次の3曲を選びました。

◼️ Chris Vallillo「Hoosen Jonny」(エイブラハム・リンカーンが弁護士時代、巡回裁判の移動の際の夜の宴会などでもリクエストした曲だそうです)from『 Abraham Lincoln In Song』◼️ Chris Vallillo「Follow the Drinking Gourd」(the Drinking Gourdは北斗七星のことで、逃亡の目印をさしています)from『 Oh Freedom! Songs of the Civil Rights Movement』◼️ Chris Vallillo「Forgottonia」(イリノイ州西部の架空の地名、開発から取り残され忘れられた地域  forgotten + -iaをという意味)from 『Forgottonia』

Part3,ニットキャップシアター『土曜日の過ごしかた』とホホホ座のご縁

Mugikoは、2026年2月21日(土)、ロームシアター京都にニットキャップシアター第47回公演『土曜日の過ごしかた』を観にゆきました。とても面白く、2月27日〜3月1日の東京公演に間に合うように、先週のHSのPodcast に情報を掲載しました(No. 778)。今週も、この公演についてRyutaさんとトークをしたのは、Underground Railroadの展示やパフォーマンスの取り組みと似ているところがあると思ったからです。

『土曜日の過ごしかた』フライヤー https://knitcap.jp/doyoubi/

『土曜日の過ごしかた』−1930年代の「暗い時代」を生き抜く

この演劇では、昭和11(1936)年〜12(1937)年にかけて京都で発行されていた『土曜日』というミニ新聞について描いています。発行人の斎藤雷太郎が主人公で、『土曜日』が置かれた喫茶店が舞台になっています。「大陸での戦争が激しくなるなか、新聞『土曜日』は、映画、ファッション、政治、海外情報など様々な話題を京都の人々に提供し続け、たくさんの人に読まれました。しかし昭和12年11月、警察の力により新聞『土曜日』は潰されてしまいます」(フライヤーより)。

雷太郎は、当時の松竹下加茂撮影所に所属する大部屋俳優で、他の執筆者のように高等教育を受けた人々とは異なる経歴でしたが、理論や抽象的なことばよりも、どうしたら人々にわかりやすく伝え、暮らしの中で様々な問題を考えることができるのかを工夫して新聞を編集していました。演劇の登場人物には、自転車で京都を駆け巡る雷太郎や『土曜日』の発行の関わる人々、喫茶店の家族や、地下活動家やそれを匿う人や、特高刑事が登場したり、そこでの人間模様と共に時代に影が色濃くあらわれます。

ニットキャップシアター公演2026-02-21

流され浮かび辿り着き伝えつなぐ感覚

斉藤雷太郎役の西村貴治さんの演技からも、時代の重みの中にあっても、飄々と自分のスタンスをもち、どんな時代にもそれぞれの場所で生き抜く知恵と人との関わり方があるよと言われているみたいでした。Mugikoは勝手に「そうやなあ」と思いました。時代の重みに沈んで終わのではなく、時には流され浮かび次に辿り着きそこからまたつなぐ、そんなやり方もあるんやなあ、と。そしてRyutaさんの、「芝居は生身の人間が目の前で演じることによって、観る人に直接に何かが伝わり、ときには自分事と感じる」というコメントも印象的でした。

「京都物語プロジェクト」、地元との共同と創作

『土曜日の過ごし方』は、ニットキャップシアターが2023年から始めた「京都物語プロジェクト」の活動から展開しています。これは、ある地域を題材に、そこに関わる人々を取材したり資料を集め、地元の人々の協力を得て物語を共に作る活動です。Kyotoを舞台にしているので、Mugikoにとっては、いろいろな場所やお店の名前も、なんだかご近所さんに思えます。

この「物語プロジェクト」は、イリノイ州の地下鉄道をめぐるリサーチやChris Vallilloの活動とも重なるところがありそうです。プロジェクトが次にどんな作品を生み出すのか楽しみです。Ryutaさんが、そういえば、Urbanaには古い鉄道の駅に位置するStation Theatreがあり、Ryutaさんも何回か芝居を観に行ったそうです。-Mugi

ホホホ座の山下さんからの紹介、不思議なご縁のつながりのつながり

この演劇については、Mugikoは近所の「ホホホ座」という本屋の店長、山下賢二さんに教えてもらいました。2026年1月12日、Mugikoがふらりと本屋に立ち寄り、フライヤーを見ている時に、山下さんがわざわざ声をかけてくださったのです。

前日の1月11日にロームシアター10周年イベントの一つ「新聞『土曜日』を読む・みる・語る」に山下さんが参加し、そこで共に登壇された井上史さんが、「西川祐子さん(故人、Mugikoの母)とその著作*について話しておられたよ」と。その次の日に、祐子さんの娘のMugikoが突然にホホホ座に現れた、というわけです。実は、井上史さんからも1月に出版された著作**をMugiko宛に送られてきたところでした。

山下さんから、2月に『土曜日の過ごしかた』の公演があると伺い、Mugikoは楽しみに足を運びました。お芝居の後のトークショーに山下さんと井上さん、演出の橋本匡市さん(万博設計)、脚本のごまのはえさんも登壇されました。お芝居とトークイベントの後で、Mugikoは井上史さんと直接にたくさんお話をすることができました。水面下で関係はしていたご縁が、ホホホ座という場所と山下さんと『土曜日の過ごしかた』のおかげで、リアルにリンクしました。

*西川祐子著『古都の占領:生活史からみる京都 1945-1952』平凡社 2017 **井上史著『頼もしき隣人 能勢克男 反ファシズム統一戦線派のあしあと』ヘウレーカ2026。能勢克男は『土曜日』の執筆者の一人。井上史さんは、中村勝著『キネマ/新聞/カフェー:大部屋俳優・斉藤雷太郎と『土曜日』の時代』ヘウレーカ2019の編集もされており、この本の制作に西川祐子も関わっていました。

人と場所と活動をつなぐフライヤーというメディア

山下さんが、演劇の後のトークイベントで、喫茶店に置かれた新聞『土曜日』のように、ホホホ座にもたくさんのフライヤーが置かれているという話をされました。Mugikoはフライヤーを手にとるのが好きです。昨年12月21日に、かもがわカフェに「大文字寄席」を見に行ったのも、その日にホホホ座に立ち寄りたまたま寄席のちらしを見つけたからです(HS No. 772)。HSではZineについてよく話題にしますが、「ちらし」もそれを扱う場所と人と地域のつながりに触れる面白い媒体だなあ、と改めて思いました。そして人をつなぐアクターとしての山下さんに、心から感謝しております。-Mugiko

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