No.543, Aug.20, 2021,UIUCの秋学期に向けた感染対策 with Tatsuya

お盆後も、大雨と感染拡大が続く

日本は、お盆は終わりましたが、雨は続くし、COVID-19の新規陽性者数は、日々最多を更新しています。8月20日から緊急事態宣言が、茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡に新たなに発出されました。すでに宣言が発出されている沖縄、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪も、同じく、9月12日までの適用となります。まん延防止等重点も、新たに10県が適用され、すでに同措置が出されている6道県も、9月12日までの延長となります。

イリノイ大学秋学期が8月23日から始まります。キャンパスに学生が戻ってにぎやかかと思います(ILLINI UNION WELOCOME WEEK 2021)。昨年の8月は、UIUCの秋学期開始時期に、COVID-19感染が爆発的に拡大しました。今年は、どのような感染対策をされているのか。Tatsuyaさん(イリノイ大学原子力工学専攻助教)にお話を伺いました。Tatsuyaさんは、UIU JPN COVID-19 Town Hall(TH)を主催しています。

*次回のTH Zoom Meetingは、8月26日(木)6.45pm〜です。またTH Twitterに最新の情報を随時に掲載しています

トークの後半(ワクチン接種について)は、来週の番組でお届けします。トークの収録は、2021年8月15日、U-CからTatsuyaさん、ShizuokaからRyutaさん、KyotoからMugikoがオンラインで参加しました。Tatsuyaさんにトークの内容と最新の情報を加えていただきました。

Part1, C-U地区の感染拡大状況、UIUCの秋学期の感染対策

Part2, 大学からのサポートとCUPHDとの連携、個人のセーフティネット

C-U地区のCOVID-19感染拡大の状況

C-U地区では、特に独立記念日(7月4日)の連休後、COVID-19感染の拡大傾向が継続しています。Champaign郡内での1日あたりの新規陽性者数は、7月初旬には平均5名前後でしたが、8月20日現在、80名弱で推移しています。この内、UIUCキャンパス内での新規陽性者は1日あたり15名程度となっており、大半の感染者はキャンパス以外の地域で発生しています。また、新規感染者数の増大に比例し、Champaign郡内の入院患者数や死者数も増大傾向にあります。報道によると、Champaign郡内の新規感染者の約15%がワクチン接種完了者である一方、入院患者や死者のほぼ全てがワクチン未接種者となっています。(※8月20日時点で、Champaign郡内の全人口のうち51%がワクチン接種完了。)

屋内の公共スペースでのマスク着用

米国内全体でのデルタ変異株の拡大に伴い、7月27日、CDCがCOVID-19対策指針を改定し、ワクチン接種完了者に対しても、屋内の公共スペース(飲食店、公共施設など含む)でのマスク着用を勧告しました。現時点(2021年8月20日)では、このマスク着用勧告以外には、州や自治体による社会的感染対策の再強化は実施されていません。しかし、IL州内では、特にワクチン接種率が低い州南部の地域を中心に感染再拡大が加速しており、近い将来、Restore Illinois Planの感染対策がPhase 5からBridge Phaseまたはそれ以前に逆戻りする可能性も想定しておくべきと思います。

UIUCの状況、秋学期に向けた感染対策

UIUCのCOVID-19感染対策の方針は、2020年秋学期や2021年春学期から一貫しています。陽性者の迅速な検出のため、UIUC独自の唾液PCR検査技術を用いて、大学関係者(学生、教職員、訪問者)を対象とした定期的な全数PCR検査を行っています。検査陽性者へは、直ちに大学からEmailやテキストメッセージで連絡が届き、その時点から隔離を開始するよう指示されます。また、直近のPCR検査結果が、携帯アプリ等を用いた大学構内の入館者管理と自動的に紐づけられており、大学施設内でのクラスター発生を可能な限り抑止する狙いがあります。

なお、8月20日時点では、ワクチン接種完了者(※規定回数の接種完了から2週間経過後)は、大学のPCR検査プログラムへの参加は任意となっています。ワクチン未接種者は、学部生は1日おき、大学院生と教職員は週2回の検査が要求されています。なお、UIUCキャンパス内の屋内施設では、ワクチン接種の有無に拘わらず、全員がマスクを着用することが義務付けられています。これらの指針に違反した関係者に対しては、停学をはじめとする大学からの処罰の規定があります。

新学期開始前後に2つの感染拡大ピーク

過去2学期(2020年秋、2021年春)の経験に基づくと、新学期開始前後には、2つの感染拡大ピークが観察されています。1つ目は、外部からキャンパスに戻って来た学生・教職員の間での陽性者に伴うピークで、学期開始の数日前に観測される傾向にあります。2つ目は、キャンパス内部でのクラスター発生に伴うピークで、学期開始後5~10日目に観測される傾向にあります。キャンパス内での感染抑止の観点からは、特に2つ目のピークを防止することが重要で、UIUCの感染対策戦略は、キャンパス外から持ち込まれた感染ケースを、独自のPCR検査で可能な限り迅速に検出し、陽性者を周囲から確実に隔離することで、キャンパス内での二次感染を防ぐことに注力しています。

グラフは、各学期の開始日前後(開始14日前~28日後)のUIUCキャンパスのPCR検査陽性率(日ごと)の推移を示しています。青線が2020年秋学期、黒線が2021年春学期、赤線が今学期(2021年秋学期;8月19日まで)のデータです。今学期は、これまでのところ、明確な陽性率のピークは観測されていません。前述した、学期開始前の1つ目のピークの大きさが、その後の2つ目のピークの大きさに直接影響を与えることから、この後さらに3~4日間の検査データを注視する必要があります。なお、今学期の陽性率のベースラインが2020年秋や2021年春より高いのは、現在のUIUCの検査がワクチン接種未完了者のみを対象にしていることに起因すると推察されます。このため、陽性率の絶対値ではなく、増減傾向やピークなどの相対的変化に着目してデータを分析しています。Tatsuya

ライフラインの確保

Tatsuyaさんのお話では、大学関係者のあいだでは、Champaign Countyの平均より高い割合でワクチン接種が完了しているようです。しかし、地域ではデルタ株の感染が急速に拡大しているなかで、秋学期の授業の85%が対面で行われる予定だということに(オンデマンドの授業を並行して提供)、Mugikoは驚きました。自分がもし陽性と判明した場合、U-Cでの暮らしと学業をどのように続けていくことができるのか、トークではTatsuyaさんに、いろいろと質問をしています。イリノイ大学と地域のCUPHD(保健局)は連携して陽性者へ対応していくけれど、「もし陽性となった場合に、サポートしてくれる人を事前に決めておき、ライフラインを自分で確保しておくことが大事」というお話がありました。これは、どこにいても、切実な問題です。Mugi

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