No.564-2, Jan.14, 2022, 「自分サイズのもの作り」鍛金物語 with Ren-san

京都の町屋をリノベーション、不思議な工房

Mugikoの自宅から徒歩6分、そこは、昔、八百屋さんでした(その向かいは揚げたてのコロッケを売っている肉屋さんでした)。子供の頃から知っている建物の内装を、誰かが少しずつリノベーションしている様子。何ができるのだろう、前を通るたびに楽しみしていました。昨年3月に初めて、工房兼ギャラリーが1週間だけ開きました。白い壁に天井の丸太、長く使っていたようなさまざまな木の家具、そこに、さまざまな作品がわらかい光の中におかれていました。そして、天井から釣り下げられたクジラのランプが泳いでいました。それが、中根嶺(Ren)さんの仕事場でした(HPはこちら)。展示会をしていない時は、カーテンがとじられ、なかからカンカンカンという音がします。Renさんは鍛金の作家さんです。-Mugi

Harukana Showでは、2021年も、もの作りと空間と人とのつながりについて、映画、絵画、うちわ、和紙など、いろいろなジャンルの方にお話を伺ってきました。DIY(Do It Yourself)は、番組を始めた時からのHarukana Showのテーマのひとつです。Renさんとのトークは、1月7日にオンラインで収録しました。KyotoからRenさん、Mugiko、ShizuokaからRyutaさんが参加しました。第1回の本日は、Renさん自身の道つくり、第2回は作品つくり、そして第3回は場所つくり、についてです。本日のPodcastのPart1は、No.564-1に掲載しています。-Mugi

Part2, Renさんの自己紹介、「金工」とは?

Part3, 山育ち、街に出る。美術系高校から東京へ、自分サイズのもの作りの道へ

Renさんにまとめの文章も書いていただきました。

自己紹介:「鍛金」の技法を使って暮らしに寄り添うモノ作り

2014年にRenとして独立、2020年に京都の左京区にDIYで構えた工房に移り主に非鉄貴金属と呼ばれる真鍮や銅、金や銀を使ってカトラリー(食卓用のナイフ、スプーン、フォークなど)や照明器具などの生活道具やオブジェ、装身具など作っています。肩書きとしては「金工」ですが金工と言うのは総称でその中には大きく分けると3つあり、金属を彫って加工する技術は「彫金」、溶かした金属を型に流し込み形成する技法は「鋳金」、金属を叩いて形を変えていくのは「鍛金」と呼ばれており、僕は主に鍛金という技法を使って暮らしに寄り添うようなモノ作りができればと思いながら手を動かしています。

(Renさんの実家の写真、Podcastの一番下も)

山奥育ち、勉強嫌い、街に出たく京都の美術系高校へ進学

滋賀県の山奥で父は陶芸、母は染織を仕事にしているような環境で育ちました。そういった環境だったからか自然とモノを作ることには興味があり、勉強嫌いや街に出たい気持ちも後押しして京都の美術系の高校に進学し彫刻科を専攻。

東京で舞台設営のアルバイトから一人サイズのもの作りへ

卒業後は東京でフラフラする日々。大きなモノづくりにも興味があって舞台設営のアルバイトもしてみましたが出来上がるものが大きいぶん達成感はあるものの、関わっている人数も多いので自分はほんの一部でしかないような気がしてしまい、僕には自分一人で持ち上げられるくらいのサイズのモノ作りが性に合っていることに気がつきました。

日本の伝統的な技法や素材を使う会社で金属に出会う

そんな時にたまたま日本の伝統的な技法や素材をコンセプトにモノづくりをする会社の求人をみつけて応募し、結果的にブライダルリングのデザインや制作(鍛金)をする部門に配属となります。金工についての技術はもちろんですが、モノの付加価値についてや接客についてなど本当に多くのことを学ばせて頂くことができました。

「どうやったら、どこからが、プロで職人なんですか?」

流れの中でたまたま触ることになった金属、もともと自ら選んだ訳ではなかったのですが最初に全然思うように加工できず悔しかったのがバネとなってのめり込むことになりました。今から思い返すと数年間無我夢中で手を動かしていたなと思います。少しずつ作ることにも慣れ余裕が出てきた頃に、お客さんから、「どうやったら、どこからが、プロで職人なんですか?」という質問が…

自分でデザインし、作り、値段をつけ、お客さんに届けたい

金属を触るようになってまだ数年でありながら自分が作る指輪に大きな価値がつき、選んで下さる方がいる。そのブランドの看板の下で働かせて頂くことに有り難さを感じる反面、きっとこの看板がなければそうはならないとも思い、デザインし、作り、値段をつけ、お客さんに届ける、その1から10までを自分でどこまでできるかやってみたいという気持ちがフツフツと沸くようになりました。

先輩と一緒に京都西陣の町屋兼ギャラリーで独立、24歳

それからしばらくして、陶芸をやっている先輩から京都の西陣にある町屋を使って工房兼ギャラリーを作るから独立する気があるなら一緒にどう?と誘って頂いたのがきっかとなり、当時まだ24歳でしたが思い切って独立することとなります。(来週につづく)-Ren

■はっぴいえんど「しんしんしん」■高田蓮「仕事さがし」■折坂悠太「

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