No.586, June 17, 2022, Uni HighでGISワークショップ with Wataru-san, GIS シリーズ No.9(前半)

猛暑が続くChampaign、日本は本格的な梅雨入り

今週は、中国、近畿、東海、北陸地方も梅雨入りしました。日本の梅雨の、心身にまとわりつくような“ネトッ”としたを湿気について、比較的ドライな気候のアメリカ中西部のリスナーにラジオでお伝えするのはなかなか難しい。U-Cは、今週は、最高気温が37℃まであがりました。熱中症にも気をつけてお過ごしください。

Part1, 日本の梅雨、Champaignの猛暑、COVID-19感染状況

本日のメイントークは、イリノイ大学の地理学部大学院博士課程のWataruさんです。半年ぶりのGISシリーズ、第9回です。2022年2月にWataruさんがUrbanaの高校で実施したGISワークショップについて、お話を伺いました。Champaign在住のWataruさんとのトークの収録は2022年7月11日、番組全体の収録は7月16日、RyutaさんはShizuoka, MugikoはKyotoから参加しました。

アメリカの高校でGISワークショップ!with Wataru

Uni High(University Laboratory High Scholl、イリノイ大学附属高校、今年10月で設立100年)では、毎年president’s day(2月の第3月曜日)の週の4日間、学外からさまざまな領域の講師を招いて、ユニークな授業を行っています(Agola Day)。アメリカの高校は「地理」は必修科目ではありませんが、Wataruさんは、デジタル地図を活用して地元の歴史を身近に探究するGISワークショップを実践しました。高校生たちからどんな反応があったのでしょうか。Wataruさんにまとめの文章も書いていただきました。

Part2, Uni HighでGISワークショップ、経度の測り方、GPSの仕組み

Part3, デジタル資料とGISで地元の歴史を探究

Uni High Agora Days での GIS ワークショップ

 今年の2月に、Uni Highの高校生に90分×4日間、GIS・地理を教える機会を得ました。これは、Agora Days(大学教員や地域の人が高校生向けの講座を開く年中行事)の一環で、私にとっては、アメリカに来て以来、対面で教える初めての経験でした。8人の生徒が参加し、短い講義と演習を受けてもらいました。受講者のみなさんは、講義では、「経度の測り方」や「GPSの仕組み」を学び、演習では Re:Earth(Kenyaさんらが開発中の最先端オープンソース WebGIS プラットフォーム)を使って、シャンペーン・アーバナの簡単な歴史を説明する対話型のWeb地図を作りました。

経度の測り方

 講義の内容を掻い摘んで説明します。18世紀に安全な航海を実現すべく、時のイギリス政府が、経度を正確に測る方法を開発した人に褒賞金を出すと宣言。当時、緯度は北極星が見える角度で計測可能でしたが、経度は精度の高い方法がありませんでした。多くの人が試行錯誤する中、時計職人のハリソンさんが正確な懐中時計を作り、時差を用いた計測法を開発し、イギリスを海洋国家に押し上げました。測定方法を簡潔に述べると、出港時に、懐中時計をその場所の時間で合わせ、航海中は、南中時点(正午)と時計の時刻との時差から、経度を計算しました(下図参照)。このハリソンさんの功績をたたえて、イギリスのグリニッジ天文台を通る経線が 0度(本初子午線)と国際的に決められました。

GPSの仕組み

 スマートフォンの現在地検索で、すっかりおなじみのGPSですが、その仕組みを知る人は意外と少ないかもしれません。それは、スマートフォン等の受信機が、地球を周回する人工衛星3基以上からの電波を受信し、人工衛星との距離を測ることで、地球上での位置が分かります(下図参照)。アメリカの軍事技術として20世紀後半に誕生し、今では、カーナビ・スマートフォンを始め、ウェアラブル端末やドローンなどにも受信機が搭載されており、民間の様々な分野でGPSを利用したサービスが提供されています。

デジタル史料×GISで地元の歴史を探究

 そのような地理空間情報の術を生かしながら地元の歴史を学び発信しようと、演習では、対話型のWeb地図を作ってもらいました。シャンペーン・アーバナの図書館、博物館(Urbana Free Library, Champaign County History Museum)のデジタルアーカイブから、生徒が興味に合わせて地域の歴史に関連する古写真をダウンロード。その古写真が撮影された場所を調べ、デジタル地球儀上に説明と共に表示するwebサイトを作りました。劇場や映画館の昔の様子や、かつては、C-Uにも路面電車が走っていたり、大通りが歩行者天国だったりした過去を知り、生徒も驚いた様子でした。最終日には、web地図を使ってお互いにプレゼンも行い、地元の街についての理解を深め合いました。参加した生徒さん達からは「とても楽しいクラスで、GIS にも興味を持った」という嬉しい感想を貰えました。大学で地理学を専攻する人が増えたらいいなぁ~。(来週に続く)-Wataru

本日のトークを聞いてこんなメッセージが届きました。

楽しい授業でした。そういえばNHK高校講座『地理総合』の第2回に「GISについて」を説明していました。ありがとうございます。来週も楽しみにしています。-Michiyo

日本では今年度(令和4年度)に入学する高校生から、「地理総合」が必修科目となりました。教育と社会のさまざまな現場においてGISについてもどのように伝え、活用していくか、日本においても喫緊の課題です。Wataruさんのアメリカの高校でのGISワークショップも、貴重な教育実践事例ですね。ーMugi

*中川寛子「地味な『地理』が高校の必修科目になったなぜ 4月から登場する『地理総合』で学ぶこと」東洋経済ONLINE, 2022/03/28/18:00

■Linda Scott「I’ve Told Every Little Star」■Chicago「Saturday in the Park

Champaign CountyのCOVID-19感染状況

この数週間、陽性者数は高止まりの状態でしたが、6月17日にはCUPHDのデータでは、突然に3分の1ほどの減少していました。よい傾向が続きますように。

Confirmed Champaign County COVID-19 Cases, 10.06 AM, June 17, 2022, CUPHD

Champaignから花のメッセージ

WRFUのスタッフに番組音源とツバメの写真を送ったら返信に花の写真がたくさん添付されていました!ありがとうございます。Mugi

カテゴリー: Harukana Show-Podcast パーマリンク

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