No.619, Feb. 3, 2023, COVID-19対策の「適応」段階とコミュニティの環境醸成 with Tatsuya

春を待ちながら、Tatsuyaさんのトーク後半と、リラックス曲

今週は、アメリカのGroundhog Dayと日本の節分の話題(Part1)から始まりました。そして、先週(No.618)に続き、UIUCの原子力工学部助教のTatsuyaさんのトークの後半をお届けしました(Part 2 & Part 3)。COVID-19ありきの社会を前提とした時に、国や州による政策の相違や文化、価値観の違い、コミュニティ、個人レベルでの信頼と調整、イリノイ大学のコロナ禍におけるビジネスモデルなど、多岐にわたる話題にふれています。

ChampaignのTatsuyaさんとのトークは日本時間の1月22日、今週の番組収録は、2月2日(木)、ShizuokaからRyutaさん、KyotoからMugikoが参加しました。選曲はKanaさんです。「曲調や曲名、歌手名がなんとなくゆる〜い、というテーマで選びました。厳しい冬なので、気持ちだけでもすこし緩めて過ごしていきたいですね。(リラックスで免疫力もUP!のはず)Kana

■imase 「でもね、たまには」 ■ミツメ 「ふやけた友達」 ■ Lucky Kilimanjaro 「Burning Friday Night

Part1, Groundhog Dayと節分祭

2月2日、北米ではGroundhog Day、まだ春遠し?

2月2日は、アメリカではGroundhog Day(ウッドチャックで春の訪れを占う)。アメリカで最も有名なペンシルベニア州パンクサトーニーの「Phil」君は、今年はどんな様子だったのでしょうか。Tatsuyaさんに尋ねてみました。

今年は後ろを振り返ったらしいので、もうしばらく寒い日が続きそうですね。と言いたいところなんですが、NOAAによるとPhilの予測精度は40%らしいので、実は外れるケースの方が多いみたいです。今年は偏西風の蛇行が原因で中西部の天候が不安定なので、この先も寒暖の変動が大きそうです。3月中旬頃までは急な低温や冬の嵐の可能性も十分あると思いますTatsuya

2月3日、日本では節分

そして、2月4日が立春。旧暦の新年、春の始まりです。Mugikoが住む京都各地の寺院や神社では、節分行事が行われていました。今年はCOVID-19対策の規制を緩和して通常通りのかたちで開催したところも多かったようです。

Part2, コロナ対策の適応段階とリスクコミュニケーション,UIUCの戦略

Part3, 州による政策と住民の意向、軋轢、コミュニティ内の信頼と調整

今週のトークもTatsuyaさんにわかりやすくまとめていただきました。前回のトーク(No.618)とあわせてご覧ください。

COVID-19対策の「適応」過程、ハード面の構築とソフト面の環境整備

COVID-19対策の段階を“リスク管理・緩和”から”適応”へ移行する上で、(前回紹介した)個人レベルでの行動に加え、コミュニティ全体の環境醸成も大切です。重症化リスクの高い患者に重点を置いた検査体制の構築や、変異株の出現を早期に検出できる系統的なモニタリング網の整備など、ハード面で充実すべき対策も多くあります。一方、今回の収録では、より複雑な課題として、個々人がCOVID-19ありきの社会に“適応”する過程をサポートするためのソフト面での環境整備(制度,相互理解,文化,etc.)についてお話ししました。

UIUC:個別状況に応じた意思決定・行動しやすい環境づくり

制度面で言えば、例えばUIUCでは、COVID-19に関連する理由で学生が不平等な扱いを受けないよう、成績評価方法のアイデアや講義をハイブリッドで提供するための技術的アドバイスなど、教員向けに多様なガイダンスが準備されています。また、博士課程の予備審査・最終審査で、健康上の不安を持つ出席者がいる場合にオンライン開催を認めるなど、パンデミック前に比べて大学の制度・規則の柔軟性が増し、個別の状況に応じた意思決定・行動を行いやすい環境づくりが進められてきました。

コロナ禍におけるビジネスモデル、大学の評判、信頼強化、多様な学生獲得

UIUCでは、これらのCOVID-19対策が、単に感染対策の助けとしてだけでなく、大学の新たなビジネスモデルの一部として確立されてきた側面もあります。一例として、2022年の留学生数が1万人を超え、過去最高を記録したというニュースがありました。その背景には、政権交代の影響やCOVID-19に伴う入国制限の緩和などの他要因もあったと思います。しかし同時に、UIUCが進めてきたCOVID-19対応(例:革新的検査システムの導入、オンライン学位プログラムの拡張)が大学の評判・信頼の強化、そしてより多様な学生の獲得に繋がった結果だと感じます。

*Illinois International News, UIUC sees record-breaking international student fall enrollment numbers. JAN 17, 2023 2:00 PM

国・州毎の対策の相違、リスク管理の観点から受容できない制約の存在

今回の収録では、国・州毎のCOVID-19対策の相違点をどう理解するべきかについても話が及びました。

前提として、数ある対策の選択肢の中で、例えば医療資源を著しく逼迫し他の医療サービスが受けられなくなる、有効なワクチン・治療法がない状況で多数の感染者を出すなど、リスク管理の観点から絶対に受容できない制約は存在します。

社会状況や文化・価値観への考慮、差異を生み出す根本的な要因への理解

一方、受容可能なリスクの範囲を守りながら“適応”の段階へ移行する途中過程をどう選択するかは、結局のところ、意思決定を行う立場の人たちが、各国・地域の社会状況や文化・価値観を考慮し決めていかなければならない問題だと思います。国・地域毎の感染対策を比較する際、一方の対策を他方の対策と異なる事だけを以って批判したり、逆に他国・地域のやり方を何となく真似するのではなく、まずは対策の相違点を生み出した根本要因の理解を試みることが必要なのではないかと感じます。-Tatsuya

Champaign County COVID-19 Cases, Updated on Feb.3, 2023, 7.58 AM, CUPHD

ウイズコロナの時代のレトリック -Mugi

COVID-19感染拡大からおよそ3年、刻々と変わる状況のなかで、Tatsuyaさんからその時々のお話を伺うことで、イリノイ州やChampaign、あるいはイリノイ大学の状況や方針について具体的に知ることができるだけでなく、また、日本を含む他の地域、国の状況についての「見方」を学ぶ貴重な機会になっています。データによる「現状」把握と分析、政策を決定する際のロジックは、日本ではなかなクリアには提示されない気がします。

Tatsuyaさんが今回のトークの最後にふれられた各国・地域の社会状況や文化・価値観を考慮した意思決定については、「多様性」を尊重しながらも、最終的には何かに重点において政治的判断をせざるをえないとしたら、ウイズコロナの時代(「適応」という段階)においては、より多くの人々を説得させる「レトリック」がこれまで以上に必要になるのだろうと思いました。-Mugi

 

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