No.618, Jan. 27, 2023, リスク管理から適応へーCOVID-19との持続的共存へ with Tatsuya

日本は大寒波

日本は大寒波の影響で各地で氷点下の低温となり、積雪や路面凍結による交通への影響が続きました。Mugikoは、Kyotoで久しぶりに氷柱(つらら)を見ました。Champaignも今週は雪が降っているようですね。まさしく「大寒」での番組収録(1月26日)、RyutaさんはShizuokaから、MugikoはKyotoから参加しました。

Part1, 日本は10年に一度の大寒波、全国低温、公共交通も混乱

本日のゲストは、Tatsuyaさん(UIUCの原子力工学部助教)です。1年ぶりの出演です(前回: No. 562-2, No.563-2)。ご専門のリスク分析の立場から、この3年間のパンデミック対策の変遷とUIUCの春学期の方針についてお話を伺いました。Tatsuyaさんとのトークは、日本時間の1月22日に収録、今週と来週の2回に分けてお届けします。まとめの文章も、Tatsuyaさんに書いていただきました。ありがとうございます。

Part2, UIUCの春学期のCOVID-19対策の転換 with Tatsuya

Part3, イリノイ州、UIUCのパンデミック対策の変遷ー適応へ with Tatsuya

Part4, コメント、日本の場合は? with Ryuta

COVID-19感染防止の社会的規制の大幅緩和

2020年初頭にCOVID-19のパンデミックが始まってから、ほぼ丸3年が経過しました。最近では、世界的にCOVID-19感染防止目的の社会的規制(マスク着用要求,海外渡航制限,イベント・店舗の人数制限など)が大く緩和され、多くの側面で2020年以前の状況に回復しつつあります。

危機管理、リスク管理・緩和から適応(adaption)の段階へ

リスク分析学の立場から見ると、最近のこの傾向は、COVID-19への対応が初期の“危機管理”や2021~2022年の“リスク管理・緩和”の段階から、COVID-19と持続的に共存するための“適応(adaption)”の段階に移行しつつある状況と捉えられます。社会全体として感染拡大とその影響を制御するためのツール(ワクチン,治療薬,検査キットなど)とコンテクスト(過半数が感染を経験したことによる自然免疫,COVID-19に対する理解の共有)が整いつつある中、この先数十年間を見据え、COVID-19ありきの中で如何に社会活動を最適化するかを議論・実践するフェーズに至りました

COVID-19 Testinga Data, UIUC, January 26, 2023

UIUCの春学期の方針ーワクチン接種義務やPCR検査要求の廃止

イリノイ州やC-U地区の自治体、UIUCの感染対策も、この”適応”を目指した形態に変遷してきました。例えば、UIUCでは、今学期から教職員・学生に対するワクチン接種の原則義務付けと未接種者に対するPCR検査の要求を廃止しました。コミュニティ全体としてCOVID-19に“適応”したあり方を目指す中で、大学や保健当局など公的権力による介入を最小限化する一方、検査キットの無償提供や対策ガイドラインの策定など、COVID-19により影響を受けた人たちに十分なリソースを提供し、各自がそれぞれの状況に応じて行動・対策を取れる環境作りに注力するものです。

Champaign County COVID-19 Cases, Updated on Jan. 27, 2023, 1.34PM, CUPHD

個人レベルでの状況判断と適切なアクション

“リスク管理・緩和”から”適応”に移行する上で、個人レベルでの状況判断とそれに応じたアクションが重要性を増します。具体的には、例えば: 

  • 体調不良の場合、可能な限り外出せず、COVID-19検査(PCR, 簡易検査キットいずれでもOK)を早期に受ける。検査結果が出るまでは自宅で待機。
  • 検査で陽性となった場合、各自治体や大学が公表しているガイドラインに従い、自主隔離と健康状態の観察を行う。 検査で陰性となった場合でも、症状が解消するまで屋内ではマスクを着用する。
  • 濃厚接触者となった場合、5日間程度は屋内ではマスクを着用する。重症化リスクが高い家族・友人や不特定多数の人が集まる屋内施設などは訪問しない。 

など、基本的な感染対策を徹底することで、コミュニティ内での急速な感染拡大の防止や医療資源への負荷低減に大きく貢献できます。-Tatsuya

参考資料:UIUCのCOVID-19感染時の対応マニュアル  TESTING POSITIVE FOR COVID-19 ISOLATION 

Adaptionの主体は誰か

Tatsuyaさんのお話を伺ったとき、adaptionを日本の文脈ではどのように解釈するのか、Mugikoは戸惑いました。COVID-19と持続的に共存するために「適応」する、その主体は誰なのか。基本的にはそれが、一人ひとりの個人だとしたら、何かを 判断する拠り所となるガイドラインや、適切なアクションをとるためのリソース(たとえば、検査キット、医療的診断、医薬品、非常時の医療や支援の窓口)が暮らしの中でどこまで整えられアクセス可能なのか。そうした情報が、社会のなかでどのように共有されているのか、リスクコミュニケーションの問題が、次回のテーマです。ーMugiko

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