No.217, May22, 2015, 日本の輸出陶磁器ー海の向こうのアメリカ(前半)with Michiyo-san

「ただいま」「おかえりなさい」

Tomさんが住むアメリカのChampaignもRyutaさんが住むSt.LouisもMugikoがいるKyotoも初夏の陽射しの日もあれば、気温が低い日もあって、体調を崩しやすい季節です。

アメリカの大学は夏休み、Alexさんからも「学期が無事に終わって先週の日曜日韓国に着きました。久しぶりに家族と会ってとってもうれしいですね」とメールが届きました。韓国では、日本語の「ただいま」という表現があるのかな。今日は、5年ぶりに日本に一時帰国したTamakiさんが、Tokyoから生放送に参加しました。「おかえりなさい」。

ドクダミ/十薬の花@Kyoto, May22, 2015

ドクダミ/十薬の花@Kyoto, May22, 2015

Podcastは3部構成

後半のトークは日本のNagoyaにお住まいのMichiyoさんに、1910年から1950年代にかけての日本のアメリカに向けた輸出陶磁器のお話を伺いました。

HS Podcast No.217-1, May22, 2015:U-Cイベント情報

HS Podcast No.217-2, May22, 2015:アメリカへの輸出陶磁器産業with Michiyo-san

HS Podcast No.217-2, May22, 2015:TokyoにいるTamakiさんとつながりました!(5年ぶりの日本、街にゴミもなくクリーン、満員電車、以前と違いクールビズ)

U-C イベント情報

◎Tea Ceremony @ Japan Houseのtea ceremony:6月4日(木)、20 (土)、25 (木)。電話だけでなく、オンラインでも予約ができるようになったとのことです。詳しくはこちら

Allerton Park Irish Fest:6月5日(金)5:30-9pm(屋外、食事持ち込み可)Suggested Entry Donation: $5/person $10/Family

イリノイで出会った"Made in Japan"(一部ドイツ製)@Kyoto, May17,2015

イリノイで出会った”Made in Japan”(一部ドイツ製)@Kyoto, May17,2015

アメリカのアンティークショップに大量のMade in Japan

アメリカのAntique Shopには、Made in Japanの陶磁器をよく見かけます。美術品としての骨董もありますが、その多くは、庶民が入手できる安価な生活品としての食器や人形や玩具です。1920年代のビスクドールや、第二次世界大戦後の占領期(Made in Occupied Japan)の食器やフランス風の置き人形から、戦後の1960年代までのものが多くあります。20世紀前半に生産された安価でヨーロッパ風のMade in JapanがアメリカのAntique Shopに大量にあるのはなぜだろう。その背景を、Michiyoさんにお話を伺いました。

日本の輸出陶磁器—Michiyoさんの祖父の場合(前半)

Michiyo-san@Kyoto, May17, 2015

Michiyo-san@Kyoto, May17, 2015

名古屋市東部に輸出専用の陶磁器工場

Michiyoさん(1941年生まれ)の母方の祖父は、京都に本店がある松風という陶器会社の名古屋支店に就職し、大正期に独立し名古屋市で輸出陶磁器の工場を昭和30年代まで営んでいました。1907年(明治40年)に名古屋港が開港した後は、海外への輸送が盛んになり、祖父の会社と同じような輸出陶器の工場が名古屋市の東部にいくつもありました。日本でも最も古くから陶器を生産してきた「瀬戸焼き」の産地である愛知県瀬戸市からも、輸出専用の陶磁器を生産するために名古屋市内に工場がつくられました。

Michiyoさんの祖父の工場産"Japan"@Nagoya, April, 2015

Michiyoさんの祖父の工場産”Japan”

輸出先の多くがアメリカであり、その他に、ブラジルやアルゼンチンなどの南米にも輸出されていたようです。第一次世界大戦勃発後は、ドイツにおける陶磁器の生産、輸出が難しくなり、アメリカからの注文も増え、この時期、日本の輸出陶磁器産業が大きく発展したのです。(先週、Kewpieトークのなかで話題になったように、第一次世界大戦中には日本でセルロイド人形や玩具も多く生産され、その輸出量は世界でも最も多くなりました。HS Podcast No.216)。

占領期(1945-52)に輸出(Made in Occupied Japan)。 St. Joseph(IL)の Antique Shop から(ついているお値段の半額でした)

Made in Occupied Japan。 St. Joseph(IL)の Antique Shop から

Michiyoさんの祖父の会社では、毎年、アメリカから買い付けにやってきたバイヤーの注文を受け、ヨーロッパ産の陶磁器を見本に、当時のアメリカ人が好む食器や人形などのノベルティ(装飾陶器)を大量に生産していました。第二次世界大戦のあいだに在庫の多くは失われましたが、その一部がMichiyoさんの母の実家がある岐阜に残されていました。戦後、祖父が亡くなったあとは、ヨーロッパ産の高品質の陶磁器(見本)や、実際に工場で作った輸出用の陶磁器の一部も、長いあいだMichiyoさんのお母さんの手元に残されたままになっていました。(トーク前半)

左の3つ(呼び鈴)は、東欧産(?)、BloomingtonのAntique Showから。

左の3つ(呼び鈴)は、東欧産(?)、BloomingtonのAntique Showから。

後半のトークはMichiyoさんの子供時代の陶磁器の思い出などを語っています。来週をお楽しみに。

Occupied Japanのノベルティfrom Antique Shop@IL

Occupied Japanのノベルティfrom Antique Shop@IL

一定の技術力と安い労働力をそなえた日本、新しい中産階級が生まれ消費社会が増大するアメリカ、20世紀の始まりの両国は、距離的には離れていてもひとつの海でつながった互いにとって重要な「場所」であったのだなあと思います。イリノイのローカルなアンティークショップにある大量の陶磁器に記された「Made in Japan」とは、日米の分かたちがたい関係の無数の足跡に見えてきました。Mugi

1920s Salt &Pepper "Japan" from Antique Shop@Champaign

1920s Salt &Pepper “Japan” from Antique Shop@Champaign

■羊毛とおはな「ただいま、おかえり」■井上陽水「5月の別れ」■齋藤和義「アメリカ」

MADE IN OCCUPIED JAPAN, 異なるサイズのお皿やカップが何10セットも from Antique Shop@Champaign

MADE IN OCCUPIED JAPAN, 異なるサイズのお皿やカップが何10セットも from Antique Shop@Champaign

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