No.533, June11, 2021, リスク分析、リスクコミュニケーションの観点から見たIL州のCOVID-19対応 with Tatsuya

イリノイ州は、Phase5へ移行

U-Cは、今週は、最高気温が30℃を越す日が続いてます。IL州は、本日6月11日より、Restore Illinois PlanのPhase5へ移行しました(後述)。本日は、Tatsuyaさんの連続トーク(No.531 & No.532)の3回目です。IL州やChampaign CountyでのCOVID-19政策について、リスク分析、リスクコミュニケーションという観点から、日本との違いも含めて印象に残ることをお話していただき、Podcastの文章にもまとめていただきました(Part2&Part3)。

SKU「自分語り」企画

Part1では、先週も話題にしたSKU (Students of Konan Univeristy) の「自分語り」企画、今週は2つ紹介しました。240の企画にRyutaさんが目をとおしたRyutaさんの第一印象は、「Youtuberっぽい語り企画がいくつかありますね」。「ユーチューバーっぽいとは?」、PodcastでRyutaさんが語っています。

Part1, IL州、Phase5へ。SKU「自分語り」企画

日米の歯についての考え方

「アメリカでは、白い歯と綺麗に整った歯並びは、良い就職への必須アイテムと言われています。日本では歯を隠して笑うことが美しいという文化なので、アメリカほど歯についての意識をしません」「コロナウイルスのパンデミックが始まり、私たちはマスクを着けて生活をするようになり、口元が見える機会が減ったので、日本でも歯列矯正の需要が高まっている」(SKU「自分語り」企画より一部抜粋)。日米の歯をめぐる文化的、社会的、制度的違いに展開する話題。自分の見せ方、証明写真の撮り方など、「歯と人生」を改めて考えさせられます。(Mugi)

コロナ禍で増えている大人の歯列矯正治療 注目は着脱できる『マウスピース矯正』YAHOO!ニュース。3/27(土)

知ってる?「写真洗浄」の大切さ

「写真洗浄とは、地震や水害によって汚れてしまった写真やアルバムを被災者の方々から預り、1枚1枚丁寧に洗浄、保存し、また持ち主の方へお返しするというボランティア活動のことである。返還の際、郵送することもあるが、実際に現地を訪問し、その地域のお子さんと遊んだり、ご年配の方と雑談することもあるそうだ。」「なぜ、携帯カメラを用いたデジタル化の進んだ現代にプリントされた紙写真に重きを置き、活動しているのか。その活動にかける思いを実際にボランティアに参加した経験をもとに語る」(SKU「自分語り」企画より一部抜粋)。

*被災支援ボランティア団体お互いさまプロジェクト「神戸写真洗浄

被災資料(史料)の洗浄、復元などは、図書館、博物館、美術館などにも共通する課題です。この業界でも、かつては資料復元の技法はほぼ口伝で伝えられ、館を超えた地域、国際ネットワークで共有されることはあまりなかったそうですが、イタリア(たしか)で水害が起こり、多数の美術品が水没したときに多くの国から技術者が集まり、復元に協力したことで、互いに教え合う、助け合う文化が生まれた、と聞いたことがあります。(比較的最近のことです。)日本でも、震災や、近年の台風被害などで注目を集めるようになった分野かもしれないですね。(Ryuta)

■平山カンタロウ「キミと歯のうた」■夏川りみ「涙そうそう

IL州のCOVID-19対応の効果的な進捗状況の背景

with Tatsuya

Part2, 最悪の事態の想定したプランニング、モデリングと政策、伝え方

Part3,想定より長期化したパンデミック、オープンデータ、サイエンス

パンデミック対応計画の策定と机上訓練の教訓

IL州およびC-U地区のCOVID-19パンデミック対応が、周辺地域と比較して効果的に進捗している要因として、パンデミック発生前から行われていた実践的計画とそれに基づく準備が挙げられます。例えば、C-U地区のCOVID-19ワクチン接種はIL州内でも特にスムーズに進捗しましたが、これは前回のPodcast(No.532)でも取り上げたように、2010年頃にCUPHDが主導して実施した、新型インフルエンザのパンデミック対応計画の策定と机上演習の教訓が、今回のCOVID-19に応用できた事が大きく寄与していると思います。

IL州知事のコミュニケーション戦略:データ提示、モデリング、自身の言葉

パンデミック下でのIL州知事のコミュニケーション戦略も特筆すべきと思います。州知事は、2020年3月9日に公衆衛生上の大規模災害を宣言して以降、毎日決まった時間にIDPH(州公衆衛生局)の専門家と共に記者会見を行い、州内の状況と今後の見通しを実際のデータやモデリングの結果を基に示し、社会的感染対策の基本方針を一貫して自身の言葉で説明し続けてきました。この点は、州民からの信用を獲得・維持し、社会的対策の有効性を高める上で重要だったと感じます。

政治的な安定性、行政命令の遵守、医療資源への過度の負荷回避

また、IL州の場合には、政治的な安定性(民主党支持層が州人口の絶対多数を占め、少数派の共和党支持層も中道寄りである点)も社会的感染対策の有効性を高めることに寄与したと思います。民主党が主導権を握る州政府や自治体が発出する行政命令を、州の人口の多くが受け入れ遵守したことで、感染ピーク時に強化された社会的対策の効果を高めることができました。これは結果的に、医療資源への過度の負荷の回避、そしていざワクチンが流通し始めた時期(2020年12月)にワクチン配布・接種のための十分な医療資源確保に成功しました。ーTatsuya

IL州のRestore Illinois PlanのPhase5の概要

UIUC JPN COVID-19 TOWN HALLのポータルサイトの掲載されたTatsuyaさんによるphase5の概要の一部を掲載させていただきます。

Phase 5の概要は下記の通りです。詳細はこちらのリンク(IDPH ウェブサイト)をご覧ください。

2020年3月より設けられていた、Restore Illinois PlanのPhase/Tier毎に定められている各種施設の定員制限は全面的に解除。Phase 5移行後は、全ての種類の施設で、パンデミック前と同様、定員の100%での営業が可能。

ワクチン接種を完了している人*は、屋内外を問わず、マスク着用や社会的距離の維持は不要。但し、CDCガイダンスやIL州ガイドラインは、個々の事業者や店舗の判断で、利用者全員に対して(ワクチン接種の有無に拘わらず)マスク着用を要求することを妨げていません。このため、外出時は常にマスクを携帯することをお勧めします。

*Pfizer/Modernaの2回目接種から2週間経過後、またはJ&J接種から2週間経過後。

ワクチン接種を完了していない人は、CDCガイダンスに従い、屋外活動の一部および屋内活動の全てでマスク着用、社会的距離(6フィート)の確保が求められる。ワクチン接種の有無に拘わらず、(1) 医療施設、(2) 公共交通機関、(3) “congregate facility”(学校、保育園、介護施設など)ではマスク着用が求められる。

リスクコミュニケーションと行動変容

3回にわたるTatsuyaさんとRyutaさんとのトークは、日本から聞いても、この1年余りをふりかえって考える機会となりました。Mugikoの感想を書きます。

現在進行形の事態をデータ化(可視化)し、今後の経緯をモデリングして予測し、政府の判断と方針を、指導者が伝わる言葉で説明を重ねていく。IL州の方法は、ある意味で、とても合理的でわかりやすいという印象を受けます。それでも、パンデミックに迅速に対応してきたChampaign Countyでさえ、20万人あまりの人口のうちこれまでの累計で2万人以上の陽性者が確認されています。行政のリスクコミュニケーションと地方自治体などの危機対応と、人々の行動のあいだが、どのようにつながっているのだろうか、Tatsuyaさんにまたお話を伺いたいです。

政府が公開するデータとアーカイブ化

RyutaさんがPart3の最後でコメントされていた、「政権が変われば、環境問題などについての政府が提示するオープンデータも変わりうる」こと、それに対して政治的立場を超えて、データをアーカイブ化する動きがあるというお話も印象的でした。科学やその利用は、人の思想や政治から逃れられないけれど、それを注視する多様な立場やネットワークが存在し、大きな政治に抗する力として時には機能するのかなと思いました。

Activists Work To Preserve Government Environmental Data
Lakeshore Public Radio (Indiana) – MAR 11, 2017

危機管理の政治

また日本は、最悪の事態を想定した研究やモデリングを提示することを政府が忌避する傾向にあるというトークを聞いて、リスナーからこんな感想をいただきました。「日本では大きな問題についても小さな問題についても、起きてほしくない本当の危機は起きないことにしてきたんですよね」。起きてほしくない本当の危機は起きないことにしたり、逆に、それが起きることが前提であるかのようにして極端な防御策を推進する政治もあるなと思います。Mugi

「オープンサイエンス」は、「科学的知見の内容を誰もが検証できるようにする」ことを目的のひとつに含む取り組みですが、科学的知見をオープンに検証可能にする、ということは、それらを元にした政策決定もオープンに検証可能になる、ということでもあるかもしれないですね。(Ryuta)

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