定刻に始まりました!
WRFUスタジオからMugikoとTomさんが、Shizuoka(Japan)からRyutaさんが番組に参加しました。最近、機材の不具合が続きましが、本日は、定刻に始まりました!HSの番組を作っていると、“当たり前”なことが難しく、“普通”であることが素晴らしく思えます。
Part1, 米国の祝日は、一斉に休みになるとは、限らない
2月18日(2月の第3月曜日)は、Washington Birthday (Presidents’ Day)の祝日でした。アメリカ合衆国では、連邦政府が定めている祝日(Federal holidays、年間10日)と州政府ごとが定めている祝日(State holidays)とがあります。銀行や郵便局がお休みになっても、企業や大学がこうした祝日に一斉にお休みになる、とは限らないようです。Ryutaさんがライブラリアンとして米国で働いていた時の経験では、休日になる祝日は、年間の3、4回程度でした。*「砥石」と「研削・研磨」の総合情報サイト「アメリカの祝日カレンダー、2019年アメリカの祝日一覧」
Part2, トランプ大統領の「国家非常事態宣言」に抗して
2月15日にトランプ大統領がメキシコ国境に壁を建設するために「国家非常事態宣言」を発令しました。現実には非常事態でなくても大統領が発令したら非常事態だと認められてしまう(?)。理解 できないなあ。こうしたニュースに対して地方ではどんな動きがあるのだろう?*Peter Baker, “Trump Declares a National Emergency, and Provokes a Constitutional Clash”The New York Times, Feb.15, 2019
WCIAのローカルニュース
Harukana Showの機材担当のTomさんは、C-U Immigration ForumのPresidentです。2月15日(金)のHS終了後、TomさんはCUIFの代表者としてトランプ大統領の「非常事態宣言」に対する抗議文を作成。2月16日(土)には、WCIA(放送局)から取材依頼を受け、仕事が終わるとテレビ局へ直行し収録。数時間後の夜の地方ニュースで放送され、その1時間後には番組サイトにアップされていました。Tomさんに取材を依頼、取材、撮影したカジュアルな服装のスタッフが、番組ではピシッとスーツを着たレポーターになっていました。*Erick Payne”Local groups planning protest of national emergency“(WCIA.com, Feb.16, 11:16pm)
「大統領デー」の祝日に、地域の図書館で「非常事態宣言」への抗議集会
2月18日(月)午後3時から、The Bend the Arc U-Cなど複数の団体の呼びかけで、Champaign Public Libraryで、“Champaign-Urbana Presidents’ Day Protest National Emergency”の集会が開かれ、その後、屋外でデモ行進。Tomさんは、集会だけ参加し、自身が担当するC-U Immigration Forum のWRFU/Urbana Public TVの番組へ。「大統領デー」は慌ただしい祝日でした。
◎The Inaugural Symposium on Local Immigration Activism:2/28( 木) 8:20 am – 4:00 pm@University YMCA, 1001 S. Wright St., Champaign, by University YMCA, University of Illinois, Parkland College, and local community members.
Part3, True/False Film Festで『やさしくなあに』上映、伊勢真一監督からの手紙
Mugikoの大学時代からの友人のNaokoさんから、数日前にメールをいただきました。
「おひさしぶりです!元気ですか?伊勢真一監督の最新作『えんとこの歌 寝たきり歌人・遠藤滋』完成上映会を2月3日に開いたばかりです。その前に2017年に完成した『やさしくなあに〜奈緒ちゃんと家族の35年〜』が、昨年、台湾の映画祭で上映されたのがきっかけで、今年はずいぶん海外の映画祭に招待されています。そのうちのひとつが、ミズーリ州コロンビアで開かれる<True/False Film Fest>。2月28日〜3月3日まで開かれます。『やさしくなあに』(Home, Sweet Home)は、3月1日7pm-(The Picture House)、2日9.30am-(The Picture House)、3日7.30pm-(Forest Theater) に上映されます。by Naoko-san
NaokoさんとIseさんからは、HSが始まった2011年から何度かメッセージをいただいています。(HS Podacst No.12-1, Jne17, 2011, No.104, March22, 2013) 。今回は、True/False映画祭に来られるIseさんから長いお手紙をいただきました。ありがとうございます。
伊勢監督からの手紙〜「やさしさって何だろう?」
大変ご無沙汰しています。……と言っても、まだ5年前なんだね。今度、True/Fales映画祭で上映される自作『Home, Sweet Home』は、何たって35年間の記録だからね……なんてエバってたんだけど、私の場合は、しっかりした信念があって35年間撮り続けたわけではなく、ただ、のんびり屋だから仕事が遅いだけなんだけど。気がついたら、35年撮り続けていた、ということです。
でも、何事も早いことが大事にされる現代社会にとって、遅いことだって大切なんだぞ、と言いたい気持ちもある。ただただ慌ただしく、今の今のことばかりにとらわれアクセクせず、10年後、100年後、1000年後の視点で今を見たら、ちょっと違って今が見えてくるんじゃないか……ってね。ドキュメンタリーにそういう視点も必要なんじゃないかなあ。
昨年から今年にかけて、『Home, Sweet Home』は、台湾、韓国、フィンランドと海外の映画祭での上映が続き、今回のアメリカ・ミズーリ州の後も、3月にはルーマニア、ロンドンで上映が決まっている。日本での上映よりも海外での方が、観客の反応がいいように感じるのは、日本の社会がシンプルさ、ピュアさを失ってきているからかなあ、と考えたりします。ナナメにしか物事を見ようとしない人が、とても多くなったように思います。評論することはみんな得意だけどね。これは、アメリカ社会も同様なのでしょうか?
『Home, Sweet Home』は、私の姉の家族を35年間にわたって記録した映画です。姉の長女「奈緒ちゃん」は、てんかんと知的なハンデを持って生まれ、医者から「3~4歳までしか生きられないだろう」と言われたのですが、医者の予想を見事に裏切り、今年で45歳になりました。元気一杯生きています。この映画は、「奈緒ちゃん」を育み、「奈緒ちゃん」に育まれる家族の35年間を記録した、日本では(世界でも?)前代未聞のホームムービーです。
日本版では、「奈緒ちゃん」の口ぐせ、「やさしくなあに」をそのまま映画のタイトルにしました。「奈緒ちゃん」が「やさしさって何だろう?」って、日本中のみんなに問いかけているような気がして……。英語版は「やさしくなあに」では伝わりにくいかと思って、『Home, Sweet Home』としました。世界的に知られているメロディー『Home, Sweet Home』は、映画の中で奈緒ちゃんのお母さんが口ずさんでいるで。
でも、映画全体が問いかけるのは、「やさしさって何だろう……?」に違いありません。ホームムービーのようにみえて、ケンカが大嫌いな「奈緒ちゃん」が、世界中に「やさしさって何だろう……?」と問いかけている社会派映画なのかもしれません。
3月1日から3日間、『Home, Sweet Home』は毎日1回、True/Fales映画祭で上映され、私も会場に行き、スピーチをするつもりです。はるばる日本から映画と一緒に旅をして、誰も来ないと淋しいので、一人でも二人でもいいから観に来てほしい。そして、「やさしさって何だろう?」というメッセージに耳を傾けてくれたらうれしい。「奈緒ちゃん」の口ぐせ、「やさしくなあに」が世界中に広がるきかっけになればいいな……。byかんとく伊勢真一
A Letter from Dir. Shinichi Ise , Feb.21, 2019
*translated by Ryuta, Reading by Tom
My film “Home, Sweet Home” that will be shown at the True/False Film Festival is a product of my 35 years of work – though I probably should not boast about it, because it’s not that I had a clear vision or anything that I kept shooting it for that long. It just took time. Perhaps I just like to take time whatever I do. Things just added up – to 35 years.
But part of me probably also wanted to say that taking time – being slow – is important in this fast-paced society. Not just focusing on the now, worrying about what’s current, but looking at them as if you looked back at them in 10 years, 100 years, or even 1000 years from today – perhaps things look different. Maybe. And that kind of point of view could be something we can make use of in documentary filmmaking.
Last year and into this year, “Home, Sweet Home” went abroad to film festivals in such places as Taiwan, South Korea and Finland, and it will go to Romania and London in March after Columbia, Missouri (U.S.). I always felt overseas audiences reacted to the film a lot more than the Japanese audience – I feel it as though the Japanese society had lost some of its straightforwardness. More and more people looking at things from an angle – I think – although everyone is getting better at critiquing someone or something. How is it in the United States? Is it similar?
“Home, Sweet Home” is a film that follows my sister’s family – it is a record of a family over the period of 35 years. Nao, my sister’s first daughter, was born mentally challenged and with epilepsy. Doctors told them she would not live past three or four. Nao defied their diagnosis, however, and has just turned 45 this year. She is in good health and full of energy. So this is a film that documented the family that raised – and grew up with – Nao, a kind of a “home video” that spans 35 years. First in Japan – and perhaps first of its kind in the world.
The Japanese title for the film is “Yasashiku Nâni” (“What is it to be nice?”) which is Nao’s favorite phrase. I felt as though Nao was asking what it would mean to be nice to everyone in Japan through the film. We changed the title to “Home, Sweet Home” for the English edition. “Home, Sweet Home” is a song known throughout the world. And Nao’s mother does sing it in the movie.
As much as we loved the phrase “yasashiku nâni”, we thought it would not translate well as the title. But I believe the message we tried to tell with the film will translate, and it still is: what it means to be nice. Nao hates fights. So as much as the film looks home-video-ish, perhaps it has an aspect of being a social criticism. It asks, through Nao, what it means to be kind, to act with civility.
“Home, Sweet Home” will be screened once daily from March 1 to March 3 at the True/False Festival. I will be at the venue and will be giving a talk. I hope someone will show up – I’m hoping at least one or two folks. It’s just – I would feel awkward standing in front of an empty floor after a long trip from Japan. So, I hope someone will come to see the film, and think – well, what does it mean, to be nice? And I hope someone in the world pick up Nao’s favorite phrase: “yasashiku nâni.”
Shinichi Ise, Director
Translated by Ryuta
「やさしさって何だろう?」のアメリカ現代社会への問いかけ by Ryuta
監督の手紙をあらためて読みなおしていてふと思ったのは、先週の『僕の帰る場所』の話題のときにもちょっと出ましたが、最近は、いろいろな「家族のありかた」が取り上げられることが多くなっているような気もします。伊勢監督は手紙の中で、日本社会が「シンプルさ」を失っているのではないか、と書かれていますが、この映画のような作品(監督の言葉でいうと「ホームムービー」のような映画)にリアクションがあるのは、社会が複雑に(simpleの逆の、complexに)なっているから、なのかもしれないなと思いました。(もちろん、何をもって「シンプルさを失っている」と言うのか、ということではあるんですが)
アメリカが現政権になってから、大統領やその周辺に「”civility”がない」と言われることがよくあり、そのせいで社会からも”civility”が失われているのではないか、という論調も聞きます。「他人をきちんと尊重して扱っているか」というほどの意味だとは思いますが、「『やさしさって何だろう?』というメッセージ」を持つ映画は、アメリカではまた違った響きかたをするのかもしれないな、と思いました。by Ryuta
「遅いこと」の贅沢 by Mugi
Iseさんからの手紙に、「遅いことだって大切なんだぞ」という言葉ありました。遅いことは、私の体験では、すごく贅沢なことだなあと思います。それだけ長く、たくさんの人と関わりシェアし支えられてきたということだから。Iseさんは、奈緒ちゃんと家族の時間を35年間撮影され、その間に4つの作品を生み出してこられました。途中を「形」にして伝えていくことこそが、ドキュメンタリーなのかなと思います。『やさしくなあに』をT/F Film Festの会場で観ること、そこでお会いできることをとても楽しみにしています。Mugi
■Coco「幸せの小道」■高田漣feat. UA 「パレード」■Eric Clapton「Goodnight Irene」