人と場所と時間をつなぐ達人とローカルメディアfrom Jasonさんのお話 Sept.10, 2013

Jasonさんとの出会い〜UC-IMCのTatsuya Nakataniのライブで

2010年の冬の始まりの頃、Jasonさんが企画したTatsuya Nakatani Performance & Workshopをみにゆきました。米国在住の日本人パーカショニストの演奏と後半は観客とのコラボもありました。Nakataniさんは、大きなゴング(銅鑼)やシンバルを、ときには叩くのではなく弓引き、その音が身体に響き、私の歯が痛み始めたことを覚えています。

10数名の小さな集いでした。この時、知人の紹介で、Jasonさんがイリノイ大学のAsian Media Educational Serviceに勤務していることを知りました。2011年4月にHarukana Showを始めると、AMESが主催するAsian LENSや、AAS(The Association for Asian Studies)のFilm Expoについて、とくに彼が選んだ日本映画について話を伺うために、しばしばJasonさんを訪ねました。

AAS Film Expoパンフ&Asia LENS

AAS Film Expoパンフ&Asia LENS

日本関連のドキュメンタリー映画をU-Cで見る贅沢

Jasonさんが教えてくれる映画は、日本でも一般の人には知られていないドキュメンタリーが多く、制作者も日本人とは限りません。日本を対象としていても、日本発の映画とは視点や対象との接し方がどこか違う印象を受けます。映画の内容だけでなく、アートとしての映像や音にたいするJasonさんのこだわりを知ることもできるので、毎回、直接にお話を聞くのを楽しみにしていました(関連blog)。

そのJasonさんに、Harukana Showに出演してもらい、ラジオをとおしてお話を伺うことができました(Podcast No.128)。Ryutaさんによる英語でのインタビューと日本語への通訳は、相手のお話をじっくり聴いて要点をおさえ、それを日本語で簡潔かつ丁寧に伝えてくれるので、番組なかで私も、すっかりリスナーになって、日本からわくわくしてお話を聞き入っていました。

番組でも紹介があったように、今年の秋のAsian LENSの日本関連映画は、『Tokyo Waka: A City Poem』(John Haptas and Kristine Samuelson, 2012, 63 minutes)です。このタイトルからは、東京のカラスをめぐる映画(A poem about a city, its people, and 20,000 crows)とは、想像できませんでした。制作者のサイトはこちら、Youtubeに予告編もアップされています。

Asian LENSの上映会は、これまでは大学内での施設だけでなく、Urbana Free Libraryなど地域で公開されることもありました(今回は、Spurlock Museumのみのようです)。日本でもドキュメンタリー映画を見る機会は多くありませんが、ましてやアメリカの地域の図書館で、かなりマイナーなフィルムを観ることができるなんて、Urbana-Champaignに住むことの贅沢だなあと思います。

人と場所と時間をつなぎ、異なるジャンルをつむぐ

Jasonさんが扱う領域は、映像、音楽、ダンス、多様なアートと多岐にわたります。大学と地域や、異なるジャンル、多様な文化、世代をつなぐ仕掛けづくり、橋渡しをすること、それは、時間をつなぐチャレンジでもある、というJasonさんのお話が、私には印象に残りました。イリノイ大学を中心とした大学街であるUrbana-Champaingは、人が次々と移動していきます。常に新しい風も入り込んできますが、そこから生み出された空気や場所や活動を維持し次へと展開していくことは、容易ではありません。

たとえば、私が、この3年間に知り合ったWFFUのメンバーや、UC-IMCの技術支援グループのメンバーや、Zine Libraryの関係者も、就職して次々と引っ越してゆきました。私自身も、イリノイ大学での研究員としての1年間の滞在が終わると、日本へ戻りました。

その後も、イリノイと日本を往復しているうちに少しずつ見えてきたのは、Jasonさんをはじめとする、さまざまな「あいだ」をつなぐ、つむぐアクティビストたちの存在です。時には職業として、時には特定の団体のメンバーとして、時には無名の有志として、大学や地域の多様な活動に関わり、さまざまな人とのつながりと経験と知恵を蓄積し、次の場面に人とシェアしていく。

ローカルなメディアを組み合わせ使い続ける

そうした活動のツールの1つが、コミュニティメディアです。JasonさんもWEFTというしChampaignにある老舗(1980s~)のコミュニティラジオで10年以上、ラジオ番組を担当しています。コミュニティメディアといっても、Immigration Forumの活動をとおして紹介したように (こちらのblog)、コミュニティラジオ、やPublic TVや、フリーペーパー、Zine、さまざまな規模のワークショップやイベントなど、さまざまです。地域限定のメディアとインターネットを駆使し、地道に長く発信を続けながら人と人と情報をつないでいるんだなあ、と思います。

JasonさんのWEFT90.1FMの番組は、日曜日夜8時〜10時、Fanfare for The Speeding Bullet、詳しくは、こちら。Jasonさんが選んだ世界の音楽を、たっぷり楽しめます。(DJ since 2000!)

Harukana Showでのトークの最後に、WEFUでのラジオ番組を担当することで、そこでの音楽や出会いが、Jasonさんのさまざまな活動にどこかでリンクしていく、と話されていました。聞いていて嬉しくなりました。ひょっとして、Harukana Showも、Urbana-Champaignや、日本や世界とゆっくりと、どこかでつながっているかもしれません。

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