AAS2022のFilm Expoで伊勢真一監督『いまはむかし』上映されます!
2022年AAS(Association for Asian Studies Annual Conference)はHawaiiで3月22日から27日まで開催され、Film Expoで『いまはむかし』(2011)が、3月25日(金) 4:20pmに上映される予定です。Film Expoは、イリノイ大学(UIUC)のAsian Educational Media Service(AEMS, CEPAS)が企画・運営しています。Film Expo2022のプログラムはまだ公開されていませんので、おってHarukana Showでも情報を共有します。
伊勢監督の映画はこれまでHSでも紹介し、番組に出演していただいています(No.414, No.423, No.424-2)。今回は、伊勢監督と、co-produce(海外渉外担当)の堀江優美子さんから、この映画についてのメッセージをいただきました。
*いせフィルムの映画についての詳細は、ise film’s movie、カントクのつぶやき、『いまはむかし』を応援しよう、上映情報、などをご覧ください。予告編はこちら。
*道面雅量「『いまはむかし』伊勢真一監督 映画人の父を探して 戦時の国策 ジャワで担う」中国新聞 2022年1月24日
Part2, Expo Filmで「いまはむかし」上映!伊勢監督からのメッセージ
Part3, 「ブンガワン・ソロ」、今、この映画をとおして考えること
伊勢真一さんから番組へいただいたメッセージです(全文はPodcast Part 2に収録)。
この映画「いまはむかし」が今、私たちに何を語りかけるのか-Shinich Ise
ドキュメンタリー映画を自主制作、自主上映で創っている伊勢真一です。
最新作「いまは昔〜父、ジャワ、幻のフィルム〜」が、この度、Assoiciation for Asian Studies Annual ConferenceのFilm Expoと呼ばれている映画上映に招かれ、私も参加することになりました。アメリカを中心に、世界のアジア研究者が集う学会の場での上映で、30本程の映画が選ばれているようです。今から80年程前、戦時中のジャワ(インドネシア)で私の父が大東亜共栄圏を管理するための国策映画を創っていた歴史をひもとくドキュメンタリー映画に、この学会の方々が関心を持ってくれたのです。(中略)
映画人だった自分の父親が戦時中にかかわっていたプロパガンダ映画の行方を30年以上にわたって追い、オランダ、ハーグでその「幻のフィルム」を発見する、というドキュメンタリー。その製作には、私の長男と長女も加わり、親子三代で日本が犯したアジアでの戦争のことを問う・・・という「いま」につながる物語です。
日本では、戦争のことはどうしても被害者としての歴史として語られ、アジアの人々への加害者としての側面が語られることが少ない。負の遺産として、父たちが製作したプロパガンダ映画を紹介し、考えることに取り組んだ「いまはむかし」は、昨年11月のオランダ・アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭の3部門でノミネートされ、「とても勇気のある映画だ・・・」と高い評価を得ました。
当時の敵国、アメリカで、この映画がどのように語られ方をするのかに、強い興味を持って、今回の上映に足を運ぶことにした。学会の開催地は、太平洋戦争が始まったされる地、ハワイである。ヨーロッパで戦争がはじまた今、この時点で、この映画「いまはむかし」が私たちに何を語りかけるのか・・・、「いまはむかし、むかしはいま」。2022年3月5日(土)東京・渋谷の事務所にて, かんとく 伊勢真一

『いまはむかし』の海外渉外担当(co-produce)の堀江優美子さんに、Mugikoから次のようにメッセージを送りました。
今、この映画を上映するにあたって
Q:Yumikoさんは、『いまはむかし』のパンフレットにも文章を寄せられていますね。この映画 を、(ウクライナ侵攻が続く今日において)、日本や世界に紹介することにつ いて、Yumikoさんはどのような思いをいだいておられますか。監督より若い世代のYumikoさんからメッセージをいただければ、こ の映画について、より広く伝わりやすいと思います。-Mugiko
Yumikoさんからは、ながい返信が届きました(詳細は、Podcast Part3へ)。ここではMugikoがYumikoさんからいただいた文章の内容を短くまとめます。
歴史は後から作られる、戦争の渦中においてどんな判断ができるだろうか-Yumiko
ウクライナ侵攻について考えてみた時に、意外にもこれまでの自分と違う姿を思い描いていました。わたしは、平和を望んできたし今もそうですが、もし、攻撃されたら武器を手にとるだろうと思いました。人間は差し迫った状況にならないと分からないことがたくさんあるのだと改めて思いました。
映画のパンフレットに寄せた文章に書いたように思いますが、歴史とは後付けの知識が多いので、安全な状態からいくらでも説明がつけられます。しかし、その渦中にあっては、どこまでも冷静な判断ができるほど、人間は賢くないと思っています。
伊勢長之助氏の仕事には「ヨーロッパの植民国のアジアを救う・守る」というストーリーがあったと思います。今となってはそれは誤っていると言えるけれど、当時は信じられていたかもしれません。同じように、今、ウクライナ侵攻の報道をとおして伝えられているストーリーや図式も、果たしてどうなのか、立ち止まりたくなる自分がいます。ーYumiko
映画をとおして問いかける、立場や世代をこえて対話を始める場をつくる
Mugikoは、昨年、京都シネマでこの映画をみました。午前9時すぎの早い時刻の上映だったので、年配の方が多く見にきていました。『いまはむかし』を、今、みると、より多くの問いが生まれるけれど、この映画には必ずしも答は見つからないかもしれません。でも、その問いは、映画にたいしてではなく、映画を見ている今の自分にたいして投げかけられていることに、ふと気づきます。
いろいろな問題にたいして、揺れる動く自分への情けなさ、答えが出せなくなったモヤモヤ感、状況によって変化する気持ちを見つめながら、違和感を排除するのではなく、対話しながら考え続けることができたらいいなと思います。ドキュメンタリー映画を自主製作、自主上映する伊勢さんの営みは、映画という記録、媒体をとおして、さまざまな立場にある人たちが問いかけ合う場を日本や世界につくる旅でもあるのかな。AASのFilm Expoをとおして、『いまはむかし』の上映会が世界で広がりますように。Mugi


