No. 670, Jan. 26, 2024, 「発災時の官民連携」「この夏、日本の紙幣は変わる」

今週は無事に放送・配信できました!

収録は2024年1月25日(木)、RyutaさんはShizuokaからMugikoはKyotoから出演しました。この日は、雪が降り、Kyotoの気温は氷点下になりました。能登半島地震の被災地では今週は厳しい寒さと雪、雨が続き、さらなる土砂災害なども心配されます。

Part1では、朝日新聞(2024年1月24日朝刊)「能登半島地震から 被災地で見えたもの 耕論」(過去の災害の経験や専門性を携え、能登半島地震の現場に入った人たちには、何が見えたか)から、稲葉基高さん(救急外科医)*「行政担う、派遣チーム作れ」のインタビュー記事を紹介しました。Part2  &3 では、Ryutaさんと日本の新紙幣の話をしました。収録は1月18日です。

*稲葉基高さんは、「1979年生まれ。2018年にNGOピースウィンズ・ジャパン入職。『空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”』プロジェクトリーダー。」

Part1, 発災時の被災自治体と各地の公務員、民間団体の連携、協力体制

稲葉さんのお話によると、過去の災害の反省をふまえて、発災直後の急性期における官民の協力体制がかなり改善され、能登半島地震においても、DMAT(災害派遣医療チーム)や日本赤十字社、NGOの協働がすすみました。しかし、その一方で、様々な意思決定や国・県と折衝や現場への救済・支援の実務に携わる被災自治体を補佐する体制の整備が急がれる、と述べられていました。朝日新聞の記事の一部を抜粋します。

被災しながらも重要な意思決定を担う自治体職員

「医療ではこうして被災地の外からの支援が入りやすくなった一方、ほかの領域は相変わらず地元の市町村任せだと感じます。能登半島は自治体の規模が小さい上に、被災して登庁できる職員が少ない。職員自身が被災しながら、重要な意思決定や国・県との折衝、物資の配布など実務を担っています。国や県から復旧のための施策が降ってきますが、小さな市や町では手を動かす職員がいないのです。近隣県の職員の応援はありますが、さまざまな決定をするのは地元の職員です。」

被災自治体の補佐する体制-DGAT

今後の教訓として、各地の公務員や災害経験のある民間団体が訓練を受けておき、発災したらチームで被災自治体に入り、補佐する体制があるといいと思います。発災翌日には入り、対策本部の立ち上げや人の配置、予想される問題への対応などを補助するのです。医療(Medical)を担うDMAT(Disaster Medical Assistance Team)のように、行政(Government)を担ういわば「DGAT」(Disaster  Government Assistance Team)。国主導で作れるといいと思います。(聞き手・高重治香)朝日新聞デジタル

*空飛ぶ捜索医療団の能登半島地震での活動の記録は「令和6年能登半島地震緊急支援( 2024年1月〜)」へ。

2024年7月3日に日本のお札が変わる!

HSでも、2020年4月に1万円札が福澤諭吉から渋沢栄一に変わると、という話を少しだけしました(HS No. 472-2)。それから4年、今年はいよいよ新札が登場する予定です(新しい日本銀行券特設サイト)。何がどう変わるのか、米ドル紙幣とも比べながら、Ryutaさんにわかりやすく楽しく解説していただきました。

Part2, 日本の紙幣は変わる、最先端の偽造対策、ユニバーサルデザイン

Par3, アメリカ紙幣のデザインは、意外と古い? Aikoの歌

前回のデザイン変更から約10年

日本円には、千円、(2千円)、5千円、1万円の紙幣があります。今回は、今年(2024年)7月に、千円札、5千円札、1万円札が新しいデザインに変わります。

現在使われている紙幣は(2千円札以外は)2004年11月に発行がはじまったもので、千円札が野口英世、5千円札が樋口一葉、1万円札が(これだけはそれ以前から変わらず)福沢諭吉の肖像画をあしらったものでした。新デザインでは、これらの肖像画も全員変わり、千円は北里柴三郎、5千円は津田梅子、1万円は前述のように渋沢栄一になります。

明治・大正に活躍した国際人

北里柴三郎(1853-1931)は伝染病の研究で多大な功績を残した医師・微生物学者です。津田梅子(1864-1929)は津田塾大学の創始者として知られる教育者、権利活動家ですが、幼少期からの10年間と大学への2回、アメリカ留学を経験しており、アメリカとも深い繋がりがあります。渋沢栄一(1840-1931)は数多くの会社や法人、学校の設立に寄与した実業家で、「近代日本経済の父」とも呼ばれます。いずれも、生まれは江戸時代ですが、明治・大正時代の日本の近代社会としての発展に貢献した国際人といっていいのではないでしょうか。

偽造対策、ユニバーサルデザイン対応も

紙幣のデザイン変更は、肖像画などの見た目の変更だけでなく、偽造対策などの面でも重要な役割があります。今回の変更後のデザインにも、世界初導入となる3Dホログラム(肖像画をホログラム化したものが使われており、見る角度によって異なる角度からの顔が見える)など、最先端の偽造防止技術が盛り込まれています。

またユニバーサルデザインへの対応も大きな特徴で、指先で触って判別するための識別マークのほか、これまでは漢数字(「壱万円」など)が最も目立つデザインだったものが、算用数字(「10000円」など)がわかりやすく配置されたデザインに変わります。

アメリカの紙幣は

アメリカには1ドル、2ドル、5ドル、10ドル、20ドル、50ドル、100ドルの紙幣があります。デザインに使われている肖像画は、それぞれジョージ・ワシントン、トマス・ジェファーソン、リンカーン、アレクサンダー・ハミルトン、アンドルー・ジャクソン、ユリシーズ・グラント、ベンジャミン・フランクリンで、券面のデザインは偽造対策などのために細かくアップデートされていますが、肖像画の人物は、1928年の紙幣のサイズ変更時から変わっていません。(人物によってはそれ以前の大判紙幣時代から同じというケースもあります。)

ハリエット・タブマンをデザインした紙幣の計画

このラインアップに女性、マイノリティがいない、ということで、紙幣のデザイン変更を訴える運動がいくつかあります。2016年にはオバマ政権下で、20ドル札の肖像画を南北戦争期の奴隷解放運動で大活躍したハリエット・タブマンという活動家のものに差し替えることが決定されました。ただし、この変更はトランプ政権下でいったん延期され、バイデン政権になってふたたび計画が動き出したものの、ハリエット・タブマンをデザインした20ドル札が実際に流通するのは2030年ごろになるのではないかということです

米ドル紙幣は意外に古い、日本の方がやや「若い」

放送中は気づかなかったのですが、現行の米ドル紙幣の肖像画に採用されているのは独立革命時代か南北戦争時代の人物で、それより新しい時代の人物は(まだ)採用されていません。(ハリエット・タブマンもユリシーズ・グラント元大統領と同時代の人物です。)アメリカは1776年に独立した「若い国」と言われますが、こと、紙幣の肖像画に採用されている人物でいえば、明治・大正ごろから選んでいる最近の日本のほうが、やや「若い」人選になっているのが面白いですね。- Ryuta 

■Toshihiko Shinzawa,Kunikawachi「雪」■末廣健一郎「OKANE」■aiko「雲は白リンゴは赤」■aiko「ずっと

 

 

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