9月17日の「中秋の名月」と翌日の満月
日本では、今年は9月17日が「中秋の名月」、実はその翌日が満月。アメリカでも農業暦では、9月の満月はHarvest Moonとよばれますが、月見を楽しむ習慣は一般的ではないようです。Part1では、そんな月見話から始まりました。Tsujinoさんに素敵な写真と解説を送っていただきました。ありがとうございます!Part2 & 3は、女子会2024の後半(前半はHS No. 703)、中学生となったNaomiさんの受験話から始まります。KyokoさんもSayakaさんも、「子どもの成長が早すぎる!」と。
Part1, 中秋の名月と満月、Harvest Moon、U-Cイベント情報
今年は、中秋の名月と満月は同日ではなく、9月18日の午前11:34に満月でした。ただし、午前中でしたので、見ることはできません。月のクレーターや海(と呼ばれる暗い部分)が写るように、カメラをMモードにして、シャッター速度、絞り値(F値)、ISO感度を何度か調整しながら、撮影しました。値をいろいろ変えながら撮影すると、月の写り方が異なり、ほー、なるほどーと楽しめました。
「海」と呼ばれる少し暗い部分の模様を「うさぎ」に見立てるようで、今年の中秋の名月や満月では、下を向いているうさぎに見える?見えるでしょうか?月のクレーターや海には、1つ1つ名前が付けられています。例えば、この写真の場合、月の下の方に大きく見えているクレーターには「ティコ」という名称がついています。天文学者がクレーターに科学者の名前をつけたのが始まりだそうです。20世紀になると、国際天文学連合(IAU)が、新しい地形が発見されると、命名案を議論し、最終的に決めるようになりました。-Tsujino
The Pride Parade! September 21st, 12:00 Meet-Up at IMC
“Join us in the Pride Parade! Wear your rainbow colors and share your love for the IMC!”というメールがUCIMから届いていました。9月21日の天気予報はほぼ晴れ、最高気温32℃という予測、とっても熱いパレード日ですね。2024 PARADE & FAIR, Champaign County
11th Annual Immigrant Welcome Awards, Sept.22, 2024
表彰式がUrbana Free Libraryで13:30から開催されます。第11回!この賞やそれをめぐる活動が、さまざまな背景と文化をもつ、異なる立場の人々をつなぎ、はげましあいながら続いてきたこと、すごいなあと思います。-Mugi
*C-U IMMIGRATION FORUM, September 1, 2024, “Congratulations to the 2024 Recipients of the Immigration Welcome Awards!”
Part2, 国際バカロレア、国による教育制度の違い-Kyoko & Sayaka
今週は、Kyokoさんにトークの内容を詳しく紹介していただきました。
Naomiさんの中学校生活―国際バカロレアとは?
Naomiさんは、校区で定められた市立中学校ではなく、受験を経て国際バカロレアの理念にもとづく探求型のカリキュラムを採用している中学校に入学しました。日本の中学受験は、『2月の勝者―絶対合格の教室―』という漫画で扱われていますが、最近話題になることが多いトピックです(この話については、Kyokoさんはまた別の機会に話したいとのことでした。『東洋経済』の記事が興味深いのでリンクを張っておきます。
*おおたとしまさ「ついに完結!『2月の勝者』名場面ベスト10は?」東洋経済ONLLINE 2024/07/11 7:30
国際バカロレア(IB)は、スイスのジュネーブに本部を置く国際バカロレア機構が提供する国際教育プログラムです。文部科学省のIB教育推進コンソーシアムのウェブサイトでは、以下のように説明されています。「国際バカロレア(IB)は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています。(略)」。
Naomiさんの中学校は国際バカロレア認定候補校になっており、文部科学省認定の教科書を使いながら、IBの枠組みにそって授業が進められます。興味深いのは科目名が一般の学校とは違うことです。いくつか例を挙げると「国語」は「言語と文学」、「社会」は「個人と社会」という名称になっています。また、中間テスト・期末テストという制度がなく、学期ごとに通信簿(通知表)の5段階評価で成績を出すことはしません。Kyokoさんもまだ成績の付け方がわかっていませんが、課題を提出し、それを提出して評価がされ、その評価を積み上げていくという感じだそうです。
IB認定校は世界中にありますが、カリキュラムが統一されているため、国境を越えての移動の場合、限られた期間での在籍になっても学校が探しやすいというメリットがあるかもしれません。IBではありませんが、例えばKyokoさんが調査をしている湾岸アラブ諸国のインド系移民の場合、インドのカリキュラム(例えばCBSE [The Central Board of Secondary Education / 中央中等教育委員会])を採用しているインド系の学校に子供が通えば、インドに戻った時にも同じカリキュラム採用校に行けば単位換算が可能です。Kyokoさんは、数年後に研究休暇で1年間を海外で過ごすことになっており、Naomiさんも一緒に行く予定なので、高校の単位のことを学校に相談しているとのことです。
国によって違う教育制度
Yutaさんの場合、日本の高校に通いましたが単位認定はされなかったそうです。日本とフランスの間では教育制度が異なり、フランスの中学校は4年あり、卒業試験があります。その試験は通常は6月にありますが、Yutaさんは4月から日本で高校生活を送っており、フランスで通常の期間に試験を受けることができませんでした。そこで8月に帰国してから受けられるようにフランスの中学校が取り計らってくれたそうです。色々と便宜を図ってくれ、面接試験も動画の提出で対応してくれたそうです。ただ、フランスの高校が何カ月も日本の高校に行くということを認めてくれるか現時点ではわからないとのこと。日本の高校の校長先生は、「単位のこととか、フランスで困ったことがあったら、もうできることは全部してあげるから来年もおいで」と言ってくれているそうです。いい高校ですね。
Kyokoさんによれば、フィンランドで高校生は自分のペースで単位を取って修了試験を受けるそうです。卒業を半年伸ばすというのはよくある話です。日本のように中間テストと期末テストを受ける必要があり、授業を受けないと卒業できないという形にはなっていません。つまり、最後の修了試験で辻褄が合えば大丈夫とういことです。
Yutaさんは、高校に行くという経験を通じて、日本の社会とフランスの社会の違いに以前よりも気づくようになってきているとのこと。大人になってきていて、日本の高校に1年でも行けてよかったとSayakaさんは感じています。
子どもの成長のスピードが速すぎてついていけない!
高校生になったYutaさん、そして中学生になったNaomiさん、それぞれ行動範囲が広がり、友人同士で出かけるということが増えました。日本は電車でどこにでも行けるということと、治安が良いということもあり、子どもだけで行動してもそれ程危ないというわけではありません。Yutaさんは海やプールに行き、Naomiさんはクラスメートと一緒に県内の映画館に行ったり、最近はユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に自分達だけで行く計画を立てました。ただ、電車で中学生だけで行くのは親としては心配ということで、友達のお母さんが車で送り迎えをしてくれたそうです。Yutaさんも中学校3年生の時に誰もやったことがないのにキャンプに行く計画を立て、最終的にはうまく行って良い想い出ができたとSayakaさん。親は子どもの成長のスピードについていけていません。
そして、自分自身が何者かという問題にもNaomiさんは中学生になって意識が向いてきたようです。父親はフィンランド人ですが、日本でずっと暮らしてきたNaomiさん。今回、夏休みに叔母の娘(Kyokoさんのパートナーの姪)を日本に招待しました。Kyokoさんとパートナーの思惑は、従姉と英語でコミュニケーションを取るというモチベ―ションをNaomiさんに持ってほしいというものでした。NaomiさんはKyokoさんと一緒にフィンランドには帰らず、従姉と一緒にKyokoさんより一日早い飛行機に乗りました。Naomiさんは従姉とのやり取りとフィンランド滞在を通じて、英語をもっと頑張らないといけないという意識を持ったのに加え、自分がフィンランド語を話せないという事実にも向き合ったようです。実は、フィンランドに帰る前にSayakaさんの家族とKyokoさんとNaomiさんは会う機会があり、NaomiさんはSayakaさんのパートナーから「フィンランド語を話せないのは残念だね」と言われたそうです。それがかなりNaomiさんの心に響いたらしく、フィンランド滞在中にDuolingoという外国語学習のアプリでフィンランド語学習を始めました。
Part3, 親も悩む、子たちのスマホどっぷり生活-Kyoko & Sayaka
スマホとの付き合いをどうしていくのか
Naomiさんは中学生になるにあたってスマホデビューをしました。中学生になって行動範囲が広がったのは、スマホで色々な情報を自分達で得られるという点も大きいようです。ただ、長時間使い続けて画面中毒のような状態になる危険もあります。Kyokoさんは、親がスマホの利用時間をコントロールできるアプリを使ってNaomiさんがスマホを使える時間を制限しています。Naomiさん自身もフィンランド滞在時に日本の友達とSNSでメッセージを送り合ったりしているうちに長時間スマホを使っているという状態に陥ってしまいました。そのため、夏休みの宿題をする時間がなくなってしまい、日本に帰ってきてから学校が始まるまで宿題を終わらせるのにかなり苦労しました。その結果、Naomiさん自身が「スマホを使いすぎるのはよくない、本を読んだり、良いドラマを見る方がよい」との気づきを得たそうです。Yutaさんも最近TikTokのアプリをスマホから消したとのこと。次々と見たくなる動画が表示されてスマホを見ている時間が長くなってしまうことに自分で気づいた様子。1日に何をしたかと振り返ると何もしていなかったという経験から、それよりは自分の好きなゲームをやる方が意味があると思ったようです。ただ、二人ともまだまだ完全にはコントロールできない様子。
Kyokoさんは、前の世代に比べると、まだスマホ利用時間のコトントロールの助けになるアプリがあって良かったと考えています。通勤途中に周りを眺めているとずっとスマホを見ていて、まるで魂が抜かれてしまったような「スマホ・ゾンビ」がたくさんいるとKyokoさんは言います。魂を抜かれていなくても、スマホの奴隷になりかけている人も多いです。Yutaさんによると、友達の中には夜寝る前に寝室にスマホを持ち込んでSNSを使っている人も多いとのことです。その一方で、かなり厳しい家庭もあるそうです。Yutaさんには、親が歩きスマホをするとスマホが使えないという設定にしてしまったという友人が一人いるそうです。
Kyokoさんは歩きスマホをしたり、スマホをお守りのように持っているのは日本ではよく見かけるものの、インドやアメリカではそうではないといいます。Sayakaさんによれば、フランスでも歩きスマホをしている人の数は日本に比べると少ないとのことです。二人とも、世代が変わってきたと感じています。ただ、歩きスマホは危ないので自分の子どもにはやってほしくないと二人とも考えています。禁止しなくても自分でわかってやらなくなるという風になってほしいと願っています。
AIもそうですが、スマホ世代はネットで情報を簡単に得られる一方で、自分の情報も取られているという状況のなかにいます。また、SNSでずっとつながっているため、「すぐに返信しなければならない、反応しなければならない」という友人関係の悩みもありそうです。「OK」をひらがなで「おけ」と書くなど、子どもたちには独特の言い回しがあることに気づいたとKyokoさん。一瞬で返すことの大事さがその表現に垣間見えます。
フランスではこの9月から、校内で携帯を利用することを一切禁止する「ポーズ・ヌメリック(デジタル・ブレイク)」実験に199の中学校、50,000 人以上の生徒が参加することになっているそうです。もともとフランスの中学ではスマートフォンを使うことは禁止されており、校内では電源を切ることになっていますが、実際は電源を切らずに携帯を使う子ども達も多くいます。そのような状況に対し学校によっては特別な鍵付きロッカーを準備し、登校時に携帯をそこに入れて下校時まで触らないシステムを今回は準備。フランス政府が「集団生活の豊かさの恩恵を最大限に受ける」ことを目的に行うこの実験の結果が良かった場合、来年以降全国の中学でポーズ・ヌメリックが採用されることになっています。
Naomiさんの学校は、学校にいる間は携帯を使うことができないため、学校が終わって学外に出ると使うという形になっています。フィンランドでは携帯の利用は子どもの権利問題として捉えられており、教師は子どもたちが学校で携帯を使っていても強く注意できないようです。国が禁止してほしいという親の声もあるそうです。
SayakaさんもKyokoさんも全てを禁止というのは現実的ではないため、子どもが自分で考えて気づいてほしいと願っています。ただ、子どもが考えられるように導くのは難しい。SayakaさんはYutaさんに「ママは昭和(生まれ)やから(考え方が古い)」と言われるそうです。
さあ、1年後にYutaさんとNaomiさんはどのような成長を遂げているのでしょうか。また話を聞くのが楽しみです。-まとめ by Kyoko
■Perfume「Moon」■SPYAIR「Orange」アニメ『ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(映画)主題歌■Ado「ギラギラ」