No. 746, July 11, 2025, Storytellingと社会とつながる想像力、アートと場所と記憶

緊張の夏、アートな話題

それぞれの場所でいかがお過ごしですか。日本各地では、酷暑に突然の雷雨と、厳しい夏を迎えています。U-Cも今年は蒸し暑い、とTomさんが話していました。今週のHSは、Kanaさん、Tomoyaさん、そしてU-Cから、アートな話題をお届けします。どうぞお楽しみださい。

Part1, 「続・SOZO展」はバーチャル展示、ARTLINK2025は「公募」!

続・SOZO展(3D展示)2025年7月7日~27日-Kana

京都市勧業館みやこめっせでの「SOZO展」(2025年6月20日〜23日)の出品作家16名がリアル展示の際に出品した作品に加え、全72作品をバーチャルギャラリーで展示しています。アクセスはこちらへ。-Kana

ART LINK 2025は公募!「国籍、年齢、経歴不問」-Tomoya

ARTLINK2025は公募展として開催することになりました。VRの利点を生かし、国際的な公募展として展開することを目標に取り組みます。運営費などに充てるため出品料3,000円としましたが、もしご興味ある方がいらっしゃいましたら、ぜひ出品をご検討ください。応募フォームはこちらですがご不明点はお気軽にご連絡いただければ幸いです*。-Tomoya

応募作品についてのTomoyaさんからの補足

JPEGPDF形式での提出が基本となります。絵画や写真など、静止画像での表現が対象です。デジタル作品も、VRワールドに展示可能であれば応募可能です。 AI生成作品は不可とさせていただきます。3Dモデル作品は、現在の運営体制では対応が難しいため不可となりました。音声のみの作品、映像作品、写真集や絵本などページ構成のある本形式の作品も、出品料との公平性の観点から今年は不可となります。今後、体制が整い次第、3D作品やページをめくって見るような形式のものの受け入れも再開できるよう取り組んでまいります。-Tomoya

異なる展示会場でアートと出会う贅沢な体験

Mugikoは、先月、大阪市立美術館天王寺ギャラリーの「第102回春陽展大阪展」に、Tomoyaさんの岩壁の絵を見にゆきました(春陽会2025の作品はこちら)。VRChatのWESON MUSEUMに展示された絵とTomoyaさんのギャラリーにある絵と美術館に展示された絵と、それぞれに肌で感じる絵の印象が違い、オンラインを含め、異なる展示会場で絵と出会う体験は興味深いです。

今年のART LINKが「国籍、年齢、経歴不問」の公募展となったのは、誰でも、どこからでもアートをとおしてつながる開かれた場所を作りたいという 主催者側の願いが伝わってくるようです。-Mugi

Part2,ガンジーの「名言」、Storytellingと「社会学的想像力」

前回と前々回の放送(HarukanaShow No. 744, No. 745)では、ガンジーの「名言」についてのSKUからのメッセージを受け、Tateishiさん(Kyoto)とTomさん(Champaign)、それぞれのコメントを紹介しました。今回は、Yoshiさん(Niigata)とKyokoさん(Ikoma)からの感想を紹介します。

自分が取り巻く世界の広がりに目を向ける-Yoshi

今回(No. 745) 紹介されたコメントは、SNSなどで「広く社会につながっている」はずの人々が肌で感じられる世界は、身の回りに限定されているように聞こえました。もっと、自分を取り巻く世界の広がりに目を向けることができたらと、感じました。-Yoshi

要約、翻訳を重ねることで伝わり方も変わる

ところで、この「ガンジーの言葉」はじつはもともとガンジーが語った言葉の要約のようですね。マザー・テレサの言葉、などもそのようなものかと思いますが、いろいろな人々によって、要約や翻訳が繰り返されると、言葉に含まれているものや伝わり方も変わるかもしれませんね。-Yoshi

*「ガンジーが言ってない『ガンジーの名言』7つ

日本の学生のStorytellingは、社会問題との接続が少ない印象-Kyoko

Tomさんの感想をついて、私が教えてきた大学での日本の学生のstorytellingとインドの学生のstorytellingの間の違いとして、私がずっと抱いていた感想と同じだったので興味深かったです。学生たちは授業で「社会問題」について学んでいるはずなのに、自分のパーソナルな経験と接続して語るということが少ないという印象を受けてきました。これは、日本の大学生全般の話として拡張できるかどうかはまた別の話かもしれませんが。-Kyoko

家族や友人と社会の問題について語るメディア環境の減少も一因か?

家庭や友人と社会の問題について語る機会が少ないというのも、一つの要因かもしれません。それは、家族でテレビを一緒に視聴してニュースについて意見を交換するというメディア環境がなくなっているのも一因かな、と感じました。-Kyoko

「社会学的想像力」について考える授業-Ryuta

Yoshiさん、Kyokoさんからのコメントを受けて、RyutaさんがUIUCでの授業の経験について話しています。

「U of IのSoc 100 (Introduction to Sociology) では 「社会学的想像力(sociological imagination)」 という考え方を紹介していたことを思い出しました。米国のC. Wright Mills という社会学者が書いた、同名の文章があります」-Ryuta

C・ライト・ミルズの『社会学的想像力』は、1959年に出版された著作です。RyutaさんがUIUCで在籍していた時に、全学共通科目の授業のTAを担当されていたそうです。その授業では、個人問題を既存の社会問題と接続させようとするのではなく、どんな事象も構造的に社会の問題とつながっているととらえ、それを感じ取り、深く考えるための「社会学的想像力」を育むことを目的とていたようです。受講生は「社会学的想像力」について学び、自身について短いレポートを書き、さらに小グループに分かれてディスカッションを行なったとのこと。受講生700人という大規模な授業の運営とグループワーク自体が、社会の多様な側面を感じる一つの機会になりそうです。-Mugi

個人と社会をつなぐ多岐にわたる活動@U-C

HSをとおして、U-Cのイベント情報をお届けするなかで、ここでは、大学、公共図書館、そしてUCIMCをはじめとしたNPO諸団体が、個人と社会とをつなぐ活動がさまざまに展開されてると感じます。このコミュニティラジオ局WRFUも、「誰でもがメディアになれる、個人の声を社会とつないでいく」という試みのもとに2005年に開設されました。-Mugi

Part3, U-Cのモダンアート運動とホームとコミュニティと記憶

今週は、UIUCのKrannert Art Museumの展示とイベントについてお伝えします。

Making Place for the Arts at Home@Krannert Art Museum

Krannert Art Museumでは、2025年1月30日から6月12日まで「Making Place for the Arts at Home: Performance and Midcentury Modern Architecure と題された展示が開催されていました。この展示は、1950年代から1980年代にU-Cにおいて展開された前衛アートと建築の運動に焦点をあてたものです。家庭というプライベートな空間をコミュニティに開き、個人の住宅を音楽やダンス、演劇などパフォーマンスの場としても活用する試みについての資料が、オンラインでも公開されています。

Making Place for the Arts at Home: A Story Circle

この展示の最終日である7月12日には、Krannert Art MuseumでMaking Place for the Arts at Home: A Story Circle(July 12, 2025,1-3pm)というイベントも行われています。アーティスト、研究者、そして地域住民が集い、この地域の前衛芸術活動の軌跡をたどりながら、個人の思い出や家族とのつながり、またこうした活動に対する感想など語り合い共有します。

Champaign-Urbana Neighborhood Stories

こうした展示やイベントは、アートと地域と記憶をつなぐプロジェクトとも深く関連しています。その一つが、Champaign-Urbana Neighborhood Storiesです。これはUIUC の授業科目と連携し、学生たちも参加しているプロジェクトです。Champaign -Urbanaの第2次世界大戦後の地域開発と社会状況、そして人種による住宅利用の規制などが、どのような「ネイバーフッド(近隣地区)」を生み出してきたのかを、人々の暮らしの物語を収集しながら、地図上に可視化していくという試みです。

「社会学的想像力」を育む地域

U-Cでは、HSをとおしてイベント情報をお伝えする中でも、大学や多様な市民活動、公共図書館などが拠点となり、個人の問題や人々の記憶、語りを社会とつなぐ多様な取り組みが持続的に行われていることに気づかされます。-Mugi

◼️CA7RIEL & Paco AmorosoDUMBAI (Live at NPR MUSIC’s Tiny Desk)」◼️Brian Wilson「Love and Mercy」◼️Nina Simone「I Wish I Knew How It Would Feel to Be Free

 

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