久しぶりのWRFU Meeting参加
先週、8月5日、WRFUのミィーティングが、UC-IMC(Urbana-Champaign Independent Media Center)でありました。今回は、地下のZine Libraryで開催。番組の代表者は、毎月の集会に出席することになっていますが、私は普段、日本にいるのでなかなか参加できません。Tomさんが出席するときには、iPhoneからSkypeで会議の様子を日本に中継してもらいます。
見学者からの質問、WRFUって?
Urbana-Champaignは、2市を合わせても人口12万人あまりの大学街です。毎年、多くの人口が転出入します。WRFUの番組担当者も、しばしば入れ替わります。4年前に、私がIMCの会員となり、ラジオ番組制作のトレーニングを受けたときにアドバイスをしてくれた人の多くは、卒業や就職、転職して、今はこの街から離れています。
久しぶりに集会に参加して、以前からいるメンバーの顔を見つけると、じわ〜とうれしくなります。そして気づきます。私もけっこう、古いメンバーになったなあ。今回は、WRFUの番組担当に関心をもつ2人(推定60歳代、20歳代)の参加者が、いろいろな質問をしていました。
「地域のどの範囲まで、WRFUからの放送を受信できますか?」「どれくらい人が、番組を聞いてますか?」「WRFUの方針は?」「WRFUとSocialist Forumとの関係は?」
WRFUのHandbook
ただいまWRFUの公式サイトが不具合で閉鎖されていますが、そこに公開されていたWRFUの手引き「WRFU_AirshifterHandbook_June2009」には、コミュニティラジオ局開局の経緯や仕組み、番組制作上の注意点、アドバイスなどが記されています。IMCの会費など、細かい情報を修正する必要がありますが、WRFUの方針自体は基本的には変わっていません。
U-C Socialist ForumがWRFU開設を申請
WRFUは、もともとは、Urbana-Champaign Socialist Forum(UCSF)が、LPFM開設の申請を行い、2003年に連邦通信委員会(FCC)から認可を得ました。その後、UCIMCとUCSFが協議し、WRFUをUCIMCのプロジェクトの1つとして運営していくことになりました。放送中に次のようなフレーズを読むのは、こうした経緯があるからです。
DISCLAIMER;“WRFU is an open forum for the Urbana- Champaign community. Views expressed are those of the speakers and do not represent WRFU, Urbana-Champaign Independent Media Center, or Urbana Socialist Forum.”
100Wの低出力、100feetのTowerから半径6マイルほどの電波
FCCが認可しているLPFMは、出力が最大100W、電波塔の高さは最長100フィートです。WRFUが2005年に放送を開始したときは、資金不足のため、IMCの建物の上に簡易なTowerを組み立てました(地上65フィート)。その後も寄付を募り、2012年11月に、念願の100フィートの電波等を地上から組み立てました。→3900 poundsのTower 到着(Nov.5)、作業開始(Nov.6)Dig Dig Dig! かつては電波が届く範囲は半径6.5kmほど(図赤円)でしたが、現在は10kmほど(紫円より少し内側)まで拡大しました。
WRFUの番組のリスナーは?
調査したことがないので、誰も自分が担当している番組をどれほどの人が聴いているのか、わかりません。Harukana Showの場合、Podcastへのアクセス数は毎週、80ほどですが、U-Cで、超マイノリティの言語である日本語放送を生でラジオから聞いてくれる人が、何人くらいかなあ、声が届いているかなあ、と気になります。金曜日の夕方6時という、週末の始まりのよい時間帯、たまたまカーラジオをつけたら日本語放送が聞こえたのでびっくりしました、と話してくれたゲスト出演者もいました。リスナーの数は不明ですが、出演者数は、日米仏から90人ほど、番組をとおして多くの人と出会たこと、感謝しています。
他のWRFUの番組のなかには、ラジオ放送をUrbana Public TVのケーブルテレビ放送用にも収録し、Youtubeで映像をアップしているものもあります。アクセス数は、週20回ほどのときもあれば、1万5千回を超える時もあります。
Tomさんが担当している11th Indian(ネイティブ・アメリカンに関する番組)は、WRFUが開局した翌年2006年から始まっているので8年近く続いています。Tomさんに何度か尋ねたことがあります。「誰が聞いているの?」「どんな反応があるの?」
「わからない」
「誰が聴いているのか分からないのに、どうして番組続けているの?」
「teaching myself」
そんな答えだったように思います。毎週の番組のために、情報を集め、何を伝えるか考え、そこにいるかどうか分からないリスナーに向かって話す、そうした営み全体から自分が学んでいる。そのうえ、番組参加者やリスナーと一緒に何かを考えたり共有することができるなら、いっそうにハッピー。
そんな考え方を、Harukana Showを担当するまでしたことはありませんでした。日本では、仕事でも何でも、成果と効率と評価を、いつも、いつも、求められる気がします。リスナーの少ない番組を続けることは、無駄だと考える人もいるかもしれません。でも、伝える、という行為は、とても大切に想う特定の人にたいしてでも、無数の人にたいしてでも、大事なことは、そのもとにあるモチベーション、「想い」じゃないかなと思います。そして、その時々のゲストの声が、ラジオやPodcastから、その人の知らない誰に届いているなら、それは、とても嬉しく不思議な出会いです。
Do Not Fear the Media, Become the Media!
WRFUのスタジオに、WRFU Free Radio Urbanaのポスターが貼ってあります。この言葉が、WRFUのラジオ局としての方針でありミッションです。
「メディアになる」ってどんな意味なんだろう。
WRFUのラジオ番組は、地域に拠点をおいていますが、日本のコミュニティラジオのような地域密着型のコミュニティラジオとはまたとは異なり、まずは、住民の「自己表現」と「自己発見」のツールとしてのメディアではないかと思います。誰でもメディアになれる、あなたが面白いと思っていること、大事にしていること、考えたいことを、誰かに伝えてみていいよ、自分を開きながら社会と接する、そこに誰かいるよ。
見えない誰かに伝えようとするとき、今まで聴こえなかった声が聞こえたり、見えなかったものが見えたり、気づかなかったアンテナが自分のなかから立ち上がっていきます。そこから、いろいろな他人との出会いが始まり、何かとすれ違ったり、触れたり、つながったりしながら、自分に気づきます。そんな体験を、いろいろな人とシェアできたらいいなと思います。
ということを、WRFUのMeetingでも伝えたかったのだけど。Mugi