Zine Cultureの蓄積と影響
NYへ来た目的は2つあります。The Velvet Underground Experience (Oct.10-Dec.30)見ること、そしてNYでZineを扱っている場所へ足を運ぶことです。UCIMCのZine Libraryを運営するKathrynに教えてもらったNYの「Zineな場所リスト」から、滞在時間の許す範囲で3箇所だけ訪問しました。12月3日(月)は、The Center for Book ArtsとZine at The New York Public Libraryへ、12月4日(火)は、上記の展覧会とPrinted Matter, Incへ。Zine CultureやBook ArtsをめぐるNPOの活動の歴史と影響を感じる2日間でした。
Manhattanのど真ん中にCenter for Book Arts
“Founded in 1974 and still located in Manhattan, it was the first not-for-profit organization of its kind in the nation, and has since become a model for others around the world.” ABOUT THE CENTER FOR BOOK ARTS
PATH Trainの23th Street駅から6th Ave.を北上、27th St.を右折し、数分歩き、見上げると、BOOK ARTSの旗を発見。1974年に設立、以来、40年以上、Manhattanのど真ん中にこんなスペースを維持してきたのかあ、と最初から驚きました。
無駄なく開かれたスペース、専門のスタッフ
小さなエレベーターの3階を上がると、古い建物のイメージとは異なり、白を基調としたフロアに、事務所、古い印刷、製本機が何台もおかれた広い作業場、中央には展示スペース、小さいながらもZineを集めたCollection Roomもあります。
スタッフはアポなしで訪れる客人の対応にも慣れている様子で、Zineに関心があるというと、Collection ManagerのRothさんを紹介してくれました。スペースの配置や人の動きが無駄なく、利用者に気持ちよく開かれ、整備されています。
場所や国や海を超えて影響
置かれている機材だけでなく、そこにいる人たちの様子も含めて、London Print StudioやLondon Center of Book Artsと、とても似ています(Blog: LondonからZineレポート(8) London Print Studio & London Centre of Book Arts, Sept.20, 2016)。こうしたNPOの組織は、活動方針や運営方法も、場所や国を超えて学び合い同時代的に影響しあってきたのだと思います。
いいなあ。
高校生くらいの女の子たちがワークショップの合間に、アートな小冊子を手にとって見入っていました。10代で、こんな本格的な古い印刷機を使って、自分が選んだ紙にプリントしたりカットしたり製本して、手触りのある自分の本を作ることができたら、「紙」に限らず、物作りの感性が身体に染み込んで、その後の人生にも影響しそう。いいなあ。
かつて身近にあったいいものをリユース、シェア
この活版印刷のセットを見てTomさんが、これ、子供の頃(1960年代)、学校にあったよ。授業でも使ってた、と話していました。記憶の中には「身近」にあるけれど、いつの間には暮らしの「ここ」では使わなくなった道具やハンドメードなものを、アメリカの人たちは意外と捨ててしまわず、アンティークショップやリユースのお店に持ち込んだりしています。話が飛びますが、今回の旅でも、地方の町外れのアンティークショップにこんな印刷機が置いてありました。存在感あるなあ。
NY Public Library, 重厚な歴史的建造物
The Center for Book Artsから、27th St.を歩き、6th Ave.に出ると北上、Bryant Parkを抜けると、重厚な歴史的建造物が見えます(Building an Architectural Masterpiece)。NY Public Libraryに到着です。
内部も広く、案内係に「Zine Collectionはどこですか?」と尋ねても、ピンとこない様子。とにかくZines at The New York Public Libraryのサイトに記されていたRoom108へ。ここのクリスマスツリーは、大きくないけれど、建物の歴史の重さに耐えられる美しさで、思わず立ち止まりました。
Zineがアーカイブに?
Room No.108にたどり着きましたが、10月に訪問したSt. LouisのPublic LibraryのZine Collectionとは全く異なり(Blog:St. Louis からZineレポート(1) クリエィティブに模索する公共図書館,Zine Collection & Recording Room, Oct.22, 2018)、Zineは開架図書ではなく、他の資料と同じく、アーカイブに保管されているとのこと。受付にある所蔵Zineのリストを見て、閲覧請求シートに記入して、書庫から持ってきてもらうことになります。おそらく、このResearch LibraryのRoom 108にある他の図書、資料と同等の扱い、なのだと思います。
なんだか、Zineな感じがしない
図書館のZine Collectionのサイトには、Zineとは、現代の大衆文化を知る重要な一次資料だと説明されていますが、すぐに手に取れないと、なんだか、「Zineな感じ」がしません。
“Collecting zines in libraries is important because they document contemporary popular culture, making them important primary source material for future scholarship, plus they’re a lot of fun!” (What are zines?)
閲覧終了時間も迫っており、Zineを何も見ずに、図書館を出ました。リサーチの目的を明確にしてから、いつかまたここを訪問することがあるでしょう。今さらながらですが、「私はZineの何に関心があるのだろうか?」、という問いが残りました。(NY Zine Report2へ続く)