MTBフリースタイルの話題は、広く、深く、面白い!
M. WataruさんとNoma-chanの幼馴染トークの後半です。先週 (No.491-2) は、WataruさんがNoma-chanにいろいろ質問しながら、マウンテンバイクとの出会い、フリースタイルのライドの魅力、カナダやニュージーランドへの留学、そこでNoma-chanが経験し、海外の会議や調査にも参加しながら、考えたことなどを話してもらいました。今週のトークでは、Ryutaさん、Mugikoも、あれこれ質問しながら、話題が多彩に深く展開します。
Part2, MTBフリースタイルと場所、日本でのMTBブーム、展開の難しさ
Part3, ロッククライミングやボルダリングと似ている?持続可能な発展
下記の文章は、Wataruさんが、Noma-chaのトーク(青色)とWataruさんのコメント(緑色)をまとめています。Ryutaさんによるコメント(栗色)が続きます。
MTBフリースタイルはどこで楽しむ?
基本は、レジャースキーのためのスキー場と同じように、山林の中にマウンテンバイクライドのために整備された場所(トレイルやパーク)で、春~秋に楽しむ遊びです。ただ、私有地など整備されていない場所で乗る人も居て、登山の藪漕ぎやストリートスケートボードのようにアンダーグラウンドの側面もあります。土地の所有者や他のステイクホルダーとトラブルになるケースもあり、気をつけなくてはいけません。MTBを社会的に認めてもらいながら、ライディングを楽しめる空間を増やしていくにはどうしたらよいかと考えたりもしています。
日本でもMTBブームがあったけれど…。
日本でもバブルの頃に、MTBが一時、流行したようなのですが、賞金付きのダウンヒルレースといった一過性のイベントが中心で、生活の一部としてのMTB文化が深く根付かなかったようです。そのため、カナダやニュージーランドのように広く盛んにはならず、バブル崩壊後に下火になってしまったとの見方があります。MTBが文化として広く根付いている例だと、ニュージーランドでは、ワイナリー間のマウンテンバイクでの移動がレジャーとして有名であったり、廃線跡が自転車道として広く整備されていたりといったものがあります。海外では、平地の移動もMTB型の自転車が用いられますが、日本では、都市内の移動はシティサイクル型の自転車(ママチャリ)が主流なことも、日本でMTBが海外ほど身近でない理由なのかもしれません。
MTBフリースタイルは習うより慣れろ
先週話した通り、MTBフリースタイルは自己表現に重きを置いたスポーツだから、スクールに通って誰かに教わるというより、パークに通ってひたすら自分で色々試したり、自分がやりたい動きをしている人がその場にいたらコツを聞いたり、といった形でライディング術を築きあげていきます。最近、ドローンやGoPro等を使い自分のライディング動画を撮ってSNSに投稿したり、他のライダーが投稿している動画を見たりすることで、モチベーションの向上や交流が図れるので、益々面白い世界になってきていると思います。(まとめ by Wataru) Noma-chanのブログはこちら。
U-C周辺にもある!バイクパークやトレイル
地形の起伏が少ないアーバナシャンペーンですが、少し足を伸ばせばバイクパークがある事を放送後に友人から教えてもらいました。東に車で30分ほどの地にある、Kickapoo State Park でMTBフリースタイルが楽しめるようです。あいにく大きなジャンプ台は無いとのこと。また、平坦な整備された道だと、U-Cには Park District が管理するUrban Bike Trail (サイクリングロード)がいくつかあり、中でも廃線跡を改造したKickapoo Rail Trail は隣町のSt. Josephまでつながっていて、長距離サイクリングを楽しめます。by Wataru
持続可能な発展は、環境・社会・経済の三本柱
たまたま、先学期にIntroduction to Sustainability (持続可能性概論)のTAを担当しました。その授業では、持続可能な地球環境と社会の発展を考える際には、環境的観点、社会的観点、経済的観点の3本柱を意識しなくてはいけないと教えています。例えば、自然環境は保護すべき、すなわち緑はなるべく多く、山は人の手を加えないのが良いと思いがちですが、実は森林の保全には、定期的な伐採ほか適度な手入れが必須で、保全、活用のために人間がそこで生活するためには、市民同士のコミュニティ形成と経済活動も欠かせないというのが通説のようです。今回のNoma-chanの話は、MTBを通じたSustainabilityの実践とも言えて、体験しながら学んでいる姿を羨ましく思いました。今後の展開も楽しみです。by Wataru
ロッククライミング/ボルダリングとの共通点
MTBは自然の地形を利用するスポーツなので、ロッククライミングやボルダリングのルート開拓と似たような事情もありそうです。アウトドアのロッククライミング/ボルダリングでは、山や渓谷の中にある崖や岩を使います。特にロッククライミングの場合は、登っている人を確保するロープを固定するためのボルトを設置するのが一般的です。(回収可能なボルトもありますが、説明すると長くなるのでまたいずれ……。)
アメリカにおけるロッククライミングは1960年代のヒッピー文化の中から生まれた部分があり、また、クライミングに適した岩場が国立公園の中にあったりすることもあり (ヨセミテ国立公園のEl Capitanという岩山が特に有名です)、クライミング・コミュニティとパークレンジャーや地域コミュニティとの間の対立、和解、協力の歴史がいくつか知られています。
成功したものとしては、クライミング・コミュニティが登山道やキャンプサイトなどの清掃に協力したり (これは現在ではわりと各地で行われています)、地域コミュニティと共同でクライミング・フェスティバルの開催にこぎつけ、地域活性化に繋がったり、といったケースがあります。(それらをテーマにしたドキュメンタリー映画も数本作られています。) by Ryuta
Reel Rock 14 Official Trailer (Reel Rockはロッククライミング関係の短編ドキュメンタリー集なので、他のクライマーのストーリーなども含まれます。このテーマに関する予告編は1:30〜2:10あたり): https://www.youtube.com/watch?v=nBPGrQbQGv4
VALLEY UPRISING — Official Trailer (ヨセミテ国立公園におけるロッククライミングとクライミング・コミュニティの歴史): https://www.youtube.com/watch?v=o86TpaSBcWw
M. Wataruさんが、トークの中でもう一人のWataruさん(Hamada Wataru)が関心をもっているプレーパークの話(HS Podcast No.461, No.471, No.472, No.481)にふれてくれました。また、「山のある暮らしシリーズ」(1)(2)(3)にも話題がつながりそうです。Noma-chanの次回の出演、楽しみにしています (Mugi)。
■ハンブレッダーズ「銀河高速」 ■Led Zeppelin 「Kashmir」
2020年8月22日の番組全体の収録音源は、WRFUの番組アーカイブ 2020-08-28-1800.mp3(55MB)へ。