シルバーウィーク
日本では、今週は、9月22日(月)が「敬老の日」(9月の第3月曜日)、9月23日が「秋分の日」(毎年、天文観測による)でした。この秋の連休をシルバーウィークというそうです。また、9月19日からイベント人数制限規制を制限緩和され、観光地では人出もかなり多くなりました。また、多くの大学が夏休みが終わり、Kyotoにも学生たちが戻ってきました。
COVID-19感染拡大状況、半年間のふりかえりwith Tatsuya
今週と来週のゲストトークは、イリノイ大学原子力工学専攻で教員として働くSakurahara Tatsuyaさんです。4月に出演していただいた時には、Tatsuyaさんが実践されているUIUC JPN Community COVID-19 Town Hallの活動(HSNo.472)と、ご専門のリスク・コミュニケーションについてのお話(No.474-1)を伺いました。Town Hallは、2020年3月20日から9月18日までに20回開催されました。その半年間に、イリノイ州、Urbana-ChampaignのCOVID-19の感染がどのように拡大したのか、それに対して州やU-C、そしてイリノイ大学がどのような方針で対策を実施してきたのか。本日は、その概要をTatsuyaさんにお話いただきました。また、 Town Hallの半年間の活動の詳細は、Tatsuyaさんが作成されたスライド動画「COVID-19 日本人コミュニティTown Hall ― リスク・コミュニケーションの視点からの実践と考察 ―」をご覧ください。
Part1, シルバーウィーク、イベント人数制限規制を制限緩和
Part2, U-Cの半年間の感染拡大の概要、イリノイ大学のモデリングと対応策
Part3, Contact Trace, Race, Ethnic別の統計、人の移動の制限
IL州全体の状況
IL州では、3月下旬に州知事より自宅滞在命令が発令され、Essential businessを除き全ての経済活動を一時停止することになりました。UIUCも、春休み後から全ての講義をオンラインに移行し、教職員も全員在宅勤務となりました。5月上旬になると、一部の感染対策が緩和されましたが(例:Essentialでない店舗も配達やピックアップに限り営業再開許可)、UIUCでは夏学期(6月~8月)も全面オンライン授業とし、教職員も一部特例を除き在宅勤務を継続しました。その後、自宅滞在命令は5月末に解除され、段階的な経済活動再開プランである“Restore Illinois Plan”が州知事より発表されました。これは、州内をいくつかの地区に分割し、地区ごとの感染状況を踏まえて、感染対策やそれに伴う社会的規制の度合い(全5フェーズ)を決定するものです。9月25日現在、州全域がPhase 4 (Revitalization) となっています。Phase 5がパンデミック前の通常状態に相当しますが、Phase 4からPhase 5に進むには、特効薬や予防接種の普及が条件となっており、今後当面はPhase 4で推移するものと思われます。

Urbana市内のStarbucksに設置された屋外飲食スペース。州の感染対策規制上は店内での飲食も定員の25%を目安に可能だが、C-U地区では屋外席に限り営業している飲食店もまだ多い Starbucks @ Main & Vine, 7/21/20 by Tatsuya
C-Uの状況: 8月上旬まで
3月末から8月上旬にかけて、Champaign-Urbanaでは、州内の他地域に比べて感染率が低い状況が続きました。過去のC-U地区の感染データを見ると、二度の感染増加ピークがあったことがわかります。一度目は5月中旬頃で、これはMarketplace Mallに州運営の無料の検査場がオープンし、検査実施数が増大してより多くの陽性者が検出されるようになったことに起因すると思われます。二度目は7月で、これはRestore Illinois PlanのPhase 4移行に伴う感染対策の緩和に、独立記念日(7月4日)による人の移動や交流の増大が重なったことに起因すると考えられます。ただし全般的には、州内の他地域に比べ、人口当たりの感染者数は少ない傾向が続きました。
8月中旬以降: UIUC秋学期開始とそれに伴う感染拡大
UIUCでは、比較的早い時期(5月末頃)に、秋学期(8月下旬~12月中旬)の講義を対面とオンラインのハイブリッド方式で行うことを決定し、夏休み期間中に準備を進めてきました。米国内の他大学と比較して特徴的なのは、キャンパス内で徹底的な検査を大規模かつ高頻繁で実施し、感染者を早期に検出し隔離・治療を徹底することで、大学関係者や地域内での健康リスクを最小限度に抑制しながら、可能な限り通常時に近い方法で研究・教育活動を行う方針とした事です。キャンパスエリアに在住の学部生は毎週2回、キャンパスに立ち入る必要のある教職員と大学院生は毎週1回、COVID検査を受けることが義務付けられています。検査は大学関係者は全て無料で、キャンパス内の全17箇所の検査場で受けることができます。なお、これらキャンパス内での検査では、UIUCが独自に開発し、8月中旬にFDAより緊急使用許可を受けた唾液ベースの検査技術が用いられます。検査結果は、Safer Illinois AppというUIUCが開発した携帯電話アプリに自動的に同期され、そのアプリ上で直近の検査結果が陰性であったことを提示しなければ、キャンパス内の各建物に立ち入れない決まりとなっています。

UIUCの検査場 @Gregory & Goodwin, 8/11/20 by Tatsuya
8月24日に秋学期が開始されましたが、その頃より、大学や自治体の感染対策のルールに違反するごく一部の学部生が問題化しました。また、時期を同じくして、UIUCの検査の陽性率と陽性者数が著しく増大(陽性率は0.5%未満 [7月末] ⇒3%超 [8月末])しました。これらの状況を受け、9月2日、UIUCより学部生を対象に、講義出席や検査など重要な用事を除き2週間の自宅滞在の指示が出されました。9月16日にこの自宅滞在の指示は解除されましたが、9月24日現在、UIUCの検査陽性数・陽性率共に8月中旬頃の水準まで戻ってきており、キャンパス内での感染拡大は制御できている状況です。by Tatsuya

Champaign downtownで屋外飲食スペースに転用された路上駐車場。Champaign/Urbana共に市長がEmergency Orderを発令し、駐車場や道路の一部を屋外飲食スペースとして利用することを許可している。University & Walnut, 6/6/20 by Tatsuya