2022年の最後の放送・配信
2022年も、Harukana Showを聞いてくださり、一緒に番組を作ってくださってありがとうございます。はるかに離れた場所にいても、近くても直接に会えないときでも、こうして声でつながれること、しみじみとうれしいです。新しい年が普通に始まって、穏やかに過ごせますように。皆さんからのメッセージ、参加をいつでもお待ちしています。
今週は、最初に日本のNiigataのYoshiさんからのメッセージを紹介しました(Part1)。先週の番組を聞いて書き送ってくださいました。Hiさんのトーク第3部は、長野県立図書館長時代(2015-2020)の活動と、表現することの楽しさという話題からZineについてもふれています(Part2)。そして10月に開催された「ブックフェスタしずおか」と「ひと箱本棚」の話題へ(Part3)。最後にHiさんとの連続3回にわたるトークへのRyutaさんとMugikoからのコメント(Part4)です。HiさんとRyutaさんとMugikoのトークは、12月9日に収録、文章はMugikoがまとめました。
Part1, 大雪のNiigataからYoshiさんのお便り
Part2, 「共創の知のコモンズ」、表現することの喜び、面白さ
Part3, 一箱本棚からいろいろな世界にふれる、当たり前を見直す
Part4, コメント by Ryuta and Mugi
大雪のNiigataからYoshiさんのお便り
こんにちは。いつも楽しく放送を聞いております。私は阿智村にある満蒙開拓平和記念館を訪れたことがあります。Hiさんを交えたトークを聞きながら、南信州の美しい風景を思い出しました(リスナーからも私も行きましたとメッセージいただきました。)
6年前の今頃にデトロイトにフィールドワークをしたことがありましたが、極寒でした。
日記には「華氏でマイナス」と書いてありましたので、摂氏マイナス17.78度以下だったのでしょう。(Ryutaさんからのコメントによると、ファーレンハイトを使っているのは今ではアメリカのみ)
新潟は今週の風雪の影響で、停電や列車の運休が相次ぎました。大学は連日休講で、本務校では23日から年末までオンラインで授業をすることになりました。そういうわけで、私も23日からほとんどステイホーム状態です。
ステイホームといえば猫?でしょうか。うちの猫はストーブが大好きです。でも、いつも思いますが、「近すぎ」です。やけどはしないようなので、不思議です。今年もありがとうございました。よいお年をお迎えください。-Yoshi
「共知共創の場」with Hiさん
前回までのお話:伊那谷の人と人、記憶、時間をつなぐプラットフォーム
先週まではHiさんに伊那市立図書館館長時代のお話を伺いました。図書館が時には施設から自由になって、地域をフィールドワークしながら、GISなどの情報技術も使い、伊那谷の人と人、記憶、時間を世代や立場をこえてつないでいく。Hiさんたちは「伊那谷の屋根のない博物館の屋根のある広場へ」をキャッチフレーズに地域へと活動を広げていきました。図書館が情報を分類、整理し共有するスキルを蓄積し鍛えてきたからこそ、こうした知の共有が可能になる、とHiさんは考えています(HS No.613)。
「長野県民200万人の知の共有地」作りへ、「共知共創の場」
こうした市立図書館での経験を活かして、長野県立図書館では何ができるだろうか。Hiさんは、2015年から5年間、県立図書館に館長として勤務し、「県民200万人の知の共有地」作りを試みました
ウェブ上の情報の基盤を整え、また実験的にファボラボや展示スペースを作り、また県下の公立図書館や学校図書館がこれからの図書館について一緒に考えるフォーラムを定期的に開催しました。一人ひとりの記憶や記録をみんなで共有し誰でもが楽しみながら表現できる、そんな図書館作りをめざしました。
▶︎信州ノレッジスクウェア:信州サーチ「世界から信州を探そう」、信州デジタルコモンズ「地域の記憶を記録する」、想・IMAGE・信州「連想の広がりを体験しよう」、eReading Books「自分の根っこを確かめよう」、信州ブックサーチ「信州の図書館から本を探そう」
デジタルにしたら必ずリアルに返す
Hiさんは信州に息づく人々のいろいろな形の情報や記憶を「記録し共有する」プラットフォームを作る一方で、誰でもが参加できる、表現できる場作りも大切にしてきました。また電子化した情報を収蔵するだけでなく、「デジタルにしたら必ずリアルに返す」ようにしてきました。
小さくてゆるいつながり
これまでのトークのなかでHiさんが強調されてきたことは、メディアは「人と人をつなぐ」ものであるという点です。知を共有するだけでなく、そこから一緒に何かを創り出してゆく。そこに求められるのは、集団やメンバーシップともちがう「小さくてゆるやかなつながり」です。ただそこに居るだけでもいい、入退室可能な開かれた場が今は求められている、とHiさんは話します。
ブックフェスタしずおか、「本の磁力」と「ひと箱本棚」
10月に静岡で開催された「ブックフェスタしずおか〜本がひととまちを繋ぐ31日間」のトークショーでも、Hiさんをはじめ登壇者のあいあだで「本の磁力」について話しました。図書館はこれまで知の体系として本を収蔵してきましたが、人と人をつなぐメディアとして本や本棚をとらえてみる。例えば、ひと箱本棚。一人ひとりが本箱に自分が選んだ本を詰めて持ち寄ります。図書館や書店の本棚とはまた違い、一つひとつの「本箱」がそれぞれの「世界」を作りだす。その本箱をめぐって人々が未知なる、あるいはどこか懐かしい世界にふれたり、ことばをかわしたり、生きた場を生み出します。
伊那の朝マルシェとUrbana Farmers Market
Hiさんたちは伊那の商店街と公園で月に1回朝マルシェを開催しています。地域で生産、制作された野菜やグッズの販売や朝ご飯を一緒に食べたりするなかで、作り手と消費者といった立場をこえた時間が生まれます。こうしたマルシェの形をHiさんが最初に経験したのが、1990年代のUrbanaのFarmers Marketでした。
失われたもの、あたりまえを現在につなぎ直す
しずおかブックフェスタでも、登壇者たちのあいだで「あたりまえを大事にする」ことを、3.11の震災のあと、そしてパンデミックの経験をとおして考えるようになったという話になりました。例えば、伊那谷の人々にとってそこにある風景や仲間がいることは当然のことかもしれませんが、そのあたりまえは、人々が実践から学びながらつないできたから今そこにあります。そのあたりまえだったものを、現在のかたちにつなぎなおしてみるという試みが、Hiさんにとっての図書館だったり、朝マルシェであったり、「たきびや」の活動だったりします。-まとめMugi
私設図書館とひと箱本棚と、アメリカのLittle Free Library by Ryuta
Ryutaさんは、「ブックフェスタしずおか」に参加してHiさんと初めて対面でお会いしました。この時のHiさんが登壇したトークイベントについては、HS No.605でもRyutaさんがレポートしています。静岡でのトークイベントでは、「私設図書館」や「ひと箱本棚」などについても話題になりました。日本でのこうした動きは、アメリカで始まった「Little Free Library」(Champaignでも見かけますね)ムーブメントの影響も受けています。
近い他者にふれる感覚 by Mugi
今日のトークの中でZineについても話題になりました。Urbana-Champaign Independent Media Centerには、Zine Libraryがあり、地域で作られたZineが集められています。パーソナルな経験やオタクな熱い想いや運動のたくさんのかけらや暮らしの普通が、好き勝手な形の冊子となって存在しています。ラジオの声や対話が身体的なものであるように、Zineにも何かに「ふれる」感覚があります。オンラインでも対面でも、デジタルでも生でも、情報をえたり、表現、発信するだけでなく、そこで、「近い他者にふれる感覚」が今、改めて求められているのかもしれません。-Mugi
次回は「たきびや」についてぜひ
3回にわたってHiさんに、長野県の公共図書館での活動についてお話を伺いました。図書館は施設がある場所やそこを訪問できる人は限られてしまうけれど、もっと暮らしの中の身近に本がある開かれた場所があったり面白く表現したり共有できる場作りに、今のHiさんは関心を持たれているのかなと思います。「火がある暮らし」というあたりまえを、誰かと焚き火囲みながら味わう、というお話はまた2023年にHiさんからぜひ伺いたいと思います。まとめby Mugi
■葛飾ユキ「ボヘミアン」■YOASOBI「もう少しだけ」■ユニコーン「雪が降る町」
Champaign Countyは、年末はCOVID-19感染者減少?
UIUCがお休みになってU-Cの人口自体も減っていたり、またホリデーで検査を受ける人も減っているのかもしれませんが、CUPHDのサイトでは、注意報が久しぶりに赤から黄色に変わりました。それでも、年末、年始、くれぐれも安全にお過ごしください。