No. 652, Sept.22, 2023, コミュニティ組織のアーカイブのデジタル化、どこから始めたらいいだろう

ようやく、秋の気配。

今週のHarukana Showの収録は、2023年9月21日(木)、RyutaさんがTokyoから、MugikoはKyotoから出演です。Kyotoは、日中まだ30℃越え、でも、朝夕はそろそろ涼しくなってきました。新潟(Niigata)のYoshiさんから、The Midwest Conference on Asian Affairs 2023についてのお知らせをいただきました。ありがとうございます!Podcastの最初に掲載します。そして、今週のHSのトークPart1は、小さな秋見つけた。Part2&Part3では、デジタル・アーカイブスの作り方、についてRyutaさんと話しています。

MCAA2023 @ UIUC, Sept.29-Oct.1

UIUCで9月29日から10月1日までMCAA2023(The Midwest Conference on Asian Affairs 2023)が開催されます。9月29日(金)には、Yoshiさんや、以前、Harukana Showに出演していただいた方々も発表されます。夕方には、D. Plath(UIUC名誉教授 1930-2022)制作のドキュメンタリ映画が上映されます。

Fumitoshi Yoshizawa, “Historical Analysis of a Diary – What Makes Him a Japanese Activist for Friendship with Korea, 1932-1968”, session 1, 1:00-2:30, Sept.29,  P6. Topics in Korean Studies

*Yoshiさんから日本時間の9月29日7時過ぎに連絡がありました。米国に到着したものの、予約していた乗り継ぎのフライトが機械故障のために遅延。MCAAでの上記の発表に間に合わないおそれがあるとのことです。

Misumi Sadler, “A US-Japan VR Korabo Exchange and a Third Space: A Preliminary Report” Chie Nozaki, “UIUC Tadoku Group Activity: Lessons from the Past and Suggestions For the Future”, session 3, 3:30-5.00, Sept. 29, P16. Japanese Language Learning Beyond the Classroom: Three Types of Out-of-Class Learning

Can’t Go Native?: A Special Screening and Conversation Celebrating the Life and Career of David W. Plath (1930-2022), Sept.29, 2023, 6:30-8:30 pm @ Spurlock Museum of World Culture, Knight Auditorium, Free and open to the public, “Join us for a special screening of Can’t Go Native?, a 2011 film by David Plath and a conversation with his grandson/film collaborator Isaac Napell (So Long Asleep) and Illinois colleagues” Robert Tierney, Roderick Wilson, and Jason Finkelman.

Part1, 青虫が元気、夏眠から目を覚ましたカタツムリ

Ryutaさんの秋の始まりは、夜の虫の声。Mugikoは、9月に入って、Kyotoで秋探し。毎日、しきりにアゲハ蝶がやってきて、シチリアレモンの葉っぱに卵を産みます。それがけっこう大きな青虫になって、むしゃむしゃと葉っぱを食べています。その下の土には、丸むしがいっぱい。散歩すると、夏眠していたカタツムリを見かけます。この長い夏を、それぞれに工夫して生きて、秋を迎えているんだなあ、と思います。

Part2, デジタルアーカイブズの事始め、サーバと写真の解像度

Part3, メタデータ、アクティビストリサーチ、いろいろな連携

NPOなどのコミュニティ・ベースの組織のアーカイブのデジタル化

ChampaginのPACA(Preseravtion And Conservation Asociation)の活動をしているTomさんが、そこにあるドキュメント(古い建物の写真やスライド、議事録、手紙、地図など)をデジタル化したいけれど、どこから始めたらいいかなあ、と話していたので、図書館情報学を専門とするRyutaさんに聞いてみました。デジタル化の時代、大学や図書館、博物館といった施設だけでなく、さまざまな地域の活動の記録のオープンアクセス・アーカイブが作られつつあります。そこにどんなコツや難しさや可能性があるのでしょうか。

NPOなどのコミュニティ・ベースの組織のアーカイブのデジタル化をはじめるにあたって考えるべきことは実際にはいろいろあると思いますが、番組では、その中の3つについて触れました。

サーバーの調達、持続的維持

まず1つめは、サーバをどのように調達するか。インターネット上に公開されているあらゆるものは、漠然と「ネットの中」のどこかに存在しているのではなく、保存領域や演算装置を持ち、インターネットに物理的に接続されている、サーバと呼ばれるコンピュータの中に保存されている必要があります。大学などには機関リポジトリなどのかたちでデジタル化公開にも使えるサーバスペースがすでに用意されていることもありますが、小規模な組織でデジタル化公開をしようとすると、それをどこに設けるか、どうやって持続的に維持していくか、というのが、なかなか難しい問題になることがあります。

高解像度でのスキャン

2つめは、デジタル化する際の解像度。書類や写真をデジタル化するスキャナは家庭にも普及してきましたが、PCやスマートフォンの画面の精密化もあり、今からデジタル化資料を作るにあたっては、自由なズームイン、ズームアウトを可能にするため、かなりの高解像度でのスキャンを期待されることが多いのではないでしょうか。デジタルコレクションの国際標準なども意識する必要があるかもしれません。

メタデータ(データについて記述したデータ)

3つめは、メタデータ。「データについて記述したデータ」というほどの意味で、たとえば写真をデジタル化した画像があったとしたら、画像を「データ」そのものとして、その写真を撮影した人、撮影時期、撮影場所、被写体の説明などの「メタデータ」を付与します。デジタル化したコレクションは、メタデータがあることによって、はじめて検索可能になり、公開する意味のあるものになります。また、PACAのアーカイブなどには写真のほかに議事録や地図などがあると思われるので、それらを一元的に扱えるようにメタデータの形式を整える必要もあります。

小規模な組織と地域の公共図書館、大学などとの連携

これらも含め、実際には、小規模な組織や施設が自前でデジタル化公開をすべて行うには克服しないといけないことがたくさんあります。そのあたりで、地域の「知の広場」としての公共図書館や、大学に所属する研究者との連携が今後も進むといいのではないでしょうか。いちどデジタル化公開されたら、historical GISであったり、テキストマイニングによる分析であったり、新しい知の創出につながる可能性は無限大にあります。- Ryuta

場所とモノと記憶をつなぐ

Ryutaさんとお話をしていて、コミュニティ組織のデジタル・アーカイブ作りをとおして、地域内外とのたくさんの協働が可能だなあと思って、Mugikoはワクワクしました。PACAは、地域の古い建築物を保存し、取り壊されてしまう建物の建材を回収しリユースできるような仕組みを作り、そうした活動をとおして地域の建物だけでなく場所への記憶も含めて、人々が共有し、これからへ繋いでいく、という活動です。場所とモノと記憶をつなぐPACAの実践的活動自体が、デジタル・アーカイブをとおしたプラットフォーム作りと相性が良さそう。

多くのアクティビストとの連携

実際のデジタル・アーカイブ制作にはたくさんの困難があると思いますが、PACAがこれまで培ってきた地域と人とのつながりや大切にしてきた記憶を、関連する公共機関(図書館、博物館、大学など)の知識・技能・機材・設備と連携できたら、Ryutaさんがあげてくださった始まりの課題を一つずつ一緒に考えることができそう。多くの “アクティビスト”との連携には、何よりもコミュニケーションと調整が大事、デジタル化にはまずは人ありき。

地域内外との連携とプラットフォームの共有

また、そのアーカイブが特定の地理的な場を拠点とするとしても、オンライン上のアーカイブを他の地域内外のアーカイブとつなぐネットワークとより大きなプラットフォームの仕組みができたら、特定の場所の記録や記憶にたいして新たな発見や展開がありそうです。Hiさんの「伊那谷の屋根のない博物館の屋根のある広場へ」(HS No. 613)、「共知・共創の場」(HS No.614)のお話も参考になります。-Mugi

今日の選曲は、最初の3曲がTomさん。Tomさんは9月21日にChicagoにBaby Metalのライブを見にゆくかもしれない、と楽しそうでした。

■上原ひろみ「Sonicwonderland (feat. Hiromi’s Sonicwonder) 」Very lively and happy music. Makes you feel like working hard-Tom.■Moonchild「What you are doing?」Little Ghost: Something nice and relaxing for after you’ve worked hard.■ L’Impératrice「Peur des filles」Tako Tsubo: No particular reason, I just thought it was a nice sound.-Tom

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