油断していたら、急に冷えてきました
HSの今週の収録は、日本時間で11月21日(木)午後、RyutaさんはTokyoから、MugikoはKyotoから参加しました。日本各地、この秋は暖かい日が多かったので油断していたのですが、急に冷えてきました。冬服の準備がまだ…。Part1では、そんな季節の話題とChampaignのイベント情報。Ryutaさんはこの日は、Tokyoの神保町と飯田橋を往復して大忙し、Part2では、ARTLINKのリアル展示レポートです。そしてPart3では、SKU(Students of Konan University)とARTLINKのメタバース展示会に入った感想をお届けします。学生たちにとっては初めてのVR体験でした。
Part1, 感謝祭と年末、ジブリ映画祭2024, CEAPS SPEAKER SERIES
アメリカの感謝祭のお休みは、ゆっくりしていられない?
Champaignも11/21にはうっすらと雪が降ったようです。アメリカのThanksgiving(11月第3木曜日)も間近、UIUCは11/23(土)〜12/1(日)まで秋休み、またUrbana Free Libraryは感謝祭前日11/27&当日11/28、Champaign Public Libraryは 当日のみ、全日休館です。その後は、学校は試験期間だったり、クリスマスに向けて年末の準備など、慌ただしい時期かと思いますが、こんなイベントも。
スタジオジブリ祭 2024@Savoy 16+IMAX & AMC Champaign 13
FATHOMのホームページによると今年のジブリ映画祭には、『The Tale of the Princess Kaguya』(『かぐや姫の物語』2013)Nov.25 & Nov. 27、『Pom Poko: 30th Anniveary』(『平成狸合戦ぽんぽこ』1994)Nov.24 & Nov. 26、『My Neighbor Totoro』(『となりのトトロ』1988)Dec. 7-Dec. 11が上映される予定です。Savoy 16+IMAXとAMC Champaign 13では、それぞれ上映映画と日時が異なるので、上記のサイトの各映画のチケット販売にZIPコードを入れてご確認ください。
AKIKO WALLEY “WHAT IS IN A NAME: EARLY MODERN JAPANESE CALLIGRAPHY COLLECTING & (RE-)SHAPING OF THE PAST”
感謝祭の休み明けにUIUCでCEAPS主催の日本関連のレクチャーがあります。CEAPS SEPKER, Dec. 6, 2024, 1:00pm @ 306 Coble Hall, UIUC。 スピーカーのAkiko Walleyさんの専門は美術史(Associate Professor of Japanese Art in the College of Design at the University of Oregon)。近世の「手鑑(てかがみ)」とよばれる優れた書道の筆跡の一部を作者別に貼ったアルバムについての分析です。当時の識別された作者と今日鑑定される作者は必ずしも一致せず、そのズレも含めて、手鑑の果たした役割についてのお話です。詳細と予約は、上記のサイトから。
Part2, ART LINKのリアル展示レポート by Ryuta
Ryutaさん、ARTLINKリアル展示会へ
11月21日(木)大学での午前中の授業を終えたRyutaさんは大急ぎで(電車に乗って)、飯田橋へ、東洋美術印刷本社内のアートギャラリーii- Crossingで開催されているARTLINKの「リアル展示」を見てきました。会社のショールームに14名のアーティストの作品がずらり。ART LINKのメタバース展示(以下VR展示)とリアル展示の両方のご覧になったRyutaさんの感想をいろいろ聞いてみました。
リアル展示とVR展示の組み合わせ
ある作家の「個展」がギャラリーで開催されているとして、友人や昔からのファンでなければ、なかなか足を運ぶことはなく、そもそも、どんな展示がいつ、どこで開催されているのか、「案内の葉書」が届かなければ、情報を得る機会は多くありません。メタバース展示も、機材は高価だし、スマホで見る場合も使い方がわからない。それなりに敷居が高いけれど、VRゴーグルヘッドなどが利用できる機会があれば、場所、時間帯を問わずアクセスしやすく、アートを通して海外との交流も可能です。
ARTLINKの場合も、まずは、VR展示をとおして気楽にアートに触れ、それがアウトリーチとなって、実際のアート展示にも関心を持ってもらう、という流れをつくることが、今回の試みなのかな、というのがRyutaさんの最初の印象です。
会場の空間に限定される展示作品のサイズ
実際の展示と仮想現実では、会場のスペース感もだいぶ違いますが(前者はこじんまり、後者の方が広くてゆったり)、展示されている作品については、とくに印象が違うのはサイズ感です。リアル展示では現実の空間に合わせて作品のサイズが限定されますが、VR展示では見せたいサイズにしたり、リアルな会場では持ち込めない巨大な作品も現実に近いサイズ感で展示できます。Tomoyaさんのパラオの静かな夜の海の絵は、VR展示では大きなサイズでしたが、Ryutaさんが実際の絵を見ると「意外とちっちゃい」。逆に、VR展示会では、手に取る「絵葉書」として販売もされていたKanaさんの油絵「青嵐」の実際の絵は、Ryutaさんには「思ったより大きいサイズ」でした。
リアル展示だからこそ味わえる作品の素材感、タッチ、ストローク
リアルな展示だからこそ楽しむことができるのは、作品の「素材」感です。仮想現実の中では、筆触や「絵肌」の質感は、作品をとおしては伝わりにくい。ii-Clossingで展示されていたある作品は、「真鍮」の板の上に描かれていて、Ryutaさんがメタバース展示で見た作品の印象とはだいぶ違っていました。
ARTLINK2024は、主催者のTomoyaさんにとっては、長年かけて展開してきた夢のひとつの実現の形であり、次の取り組みに向けての大切な通過点です。TomoyaさんからHSへこんなメッセージをいただきました。
WESON MUSEUMが、日常を豊かにし色あふれる人生の一助になれば
5年前にひとりで夢見たVR美術館「WESON MUSEUM」は、心強い協力者に支えられ、今や15,000人もの来場者に愛される場となりました。個展だけでなくグループ展、そして当初の大きな目的でもあった、美術を活用した国際文化交流の企画も展開しています。昨年は日本とアメリカの参加者が交流するプロジェクトが実現し、パラオと日本の交流展など新たな挑戦への道筋が見えてきました。この美術館が皆様の日常をいっそう豊かにし、色にあふれる人生の一助となることを心から願っています。皆さまにはまずは既存の4つのワールドを楽しんでいただき、共に未来をつくる仲間として加わっていただけることを期待しています。-Tomoya
■Tomoyaさんとのこれまでのお話・No.516, Feb.12, 2021, レスリングをしながら描き続けた絵と夢 with Tomoyaさん・No.517, Feb.19, 2021, パラオを訪問し画家の道へ with Tomoyaさん・No.519, Feb.26, 2021, 専業画家としての歩き方、人とのつながり with Tomoya・No.549-2, Oct.1, 2021, 念願のVR 美術館をオープン、国際文化交流の場に with Tomoya・No.550-2, Oct.8, 2021, WESON MUSEUM(VR美術館)をリアルに体験 with Tomoya・No.585, June 10, 2022, 「VR美術館でリアルタイムに国際交流」with Tomoya Uemura・No. 700-2, Aug. 23, 2024, 画家Tomoyaさんの原風景、WESON MUSEUMの展開・No. 701, Aug. 30, 2024, ART LINKーVR美術館での共同展示 with Tomoya ・No. 711, Nov. 8, 2024,植村友哉絵画展とARTLINK 2024、メタバース展示もリアル展示もライブな面白さ with Kana.
Part3, SKU「初めてのVR体験」、VRの活用と仮想と現実の間
VR展示も敷居が高そう、でも「百聞は一見に如かず」
TomoyasaさんたちのARTLINKの試みのおかげで、この秋は、HSでも仮想現実についてさまざまに話題にすることができました。「百聞は一見に如かず」、チャンスがあれば、VRの世界ものぞいてみたらと思うのですが、VRなんて怖そうだし、そもそもどうやって入っていいかわからない、というのが多くの人の感想かなと思います。そこで、甲南大学社会学科の「メディアコミュニケーションと表現」という授業で、学内の教育学習支援センターの協力をえて、「VR体験会」を開催し、受講生の皆さんとARTLINKのVR展示会場に入ってみました。
「初めてのVR体験会」に、普通の美術館ではありえないはしゃぎぶり
VRヘッドセットの装着と使い方について、最初は不安そうに話を聞いていた学生たちの様子が、一旦、ARTLINKに入るとあっという間に変わりました。初めてのVR体験です。ARTLINKのメタバース展示会場は、リアルな美術館の雰囲気からかけ離れているわけではなく、なんとなく安心した参加者たちは、今度は、それそれが手に持ったコントローラーをあれこれ操作を始めました。別のアバターに姿を変えたり、飛び跳ねる操作をしたり、絵に近づいたり、おしゃべりを楽しんだり、なかには、どうしても立ち上がれずしゃがんだ姿勢のままのアバターさんもいました。普通の美術館ではありえないはしゃぎぶりでした。
「シンプルにとても楽しかった」
学生たちからの感想の一部です。「体験する前は堅苦しいような印象を持っていたけれど、参加者と動的なコミュニケーションを取ることができて新鮮でした」「いざやってみると意外に身近なものに感じられ、『VR=高尚なもの』というイメージは少し薄まった」「ARTLINKで世界中の人々と交流する機会を作ることができるのは、とても素敵」「シンプルにとても楽しかったです。遠くの美術館に行かなければ触れることのできないアート作品を目の前に見ることができて、不思議な気持ちになりました」
没入したままではなく、時間を区切る
仮想現実で動的なコミュニケーションを楽しむことができるのは、参加者にとって大きな発見でした。ただ、いきなり長時間、VRヘッドセットをつけたままにしていると、首に相当な負担がかかり、また取り外した後で、気分が悪くなることもあります。VRに入っている時間を区切った方がいいかもしれない、という意見も出ました。「機材」面においては、VRゴーグルもコントローラーも、これからさらに使いやすく、身体に負担がないように改良されるのかなと思います(価格も下がるといいのですが)。
VRの利用と仮想と現実の接続
こうしたVRを教育や仕事や様々な活動にどう利用されているのでしょうか。Ryutaさんのお話では、仮想世界での手術の練習や、ビジネスや、ホテルや店舗での接客などの研修、VRな歴史建造物の中に入って探検、などが行われていたり、また、現実世界の仮想世界を掛け合わせたMR(Mixed Realtiy)とよばれるものも開発されているそうです。現実と仮想世界が別のものではなく、両者がどのように接続したり併存して人々の暮らしに取り込まれていくのか。WESON MUSEUMの試行錯誤の試みもアートをとおしてジャンルを超えた活動につながっていくのではないかな。Tomoyaさんの続きのお話も、これから楽しみです。Mugi
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