No.612, Dec. 16, 2022, UIUC留学体験から市立伊那図書館館長へ、暮らしに学ぶ with Hi-san

3年ぶりにCandlestick Lane! 

UrbanaのGrant PlaceではCandlestick Laneが3年ぶりに本格的に行われています。いよいよクリスマス前。日本各地も、本格的に寒くなってきました。Tsujinoさんからは、石蕗(キク科ツワブキ属)の花の写真が届きました。花言葉のひとつが、「困難に負けない」、「日陰でもよく育ち、寒さが厳しくなっていく時期に花を咲かせることにちなむ」そうです(ツワブキの花言葉)。

Part1, 「3年ぶりのCandlestick Laine」「 ツワブキの花 with Tsujino」

石蕗はフキのように調理して食せると聞きました。どなたか、実際に料理された方がおられましたら、調理法と味を知りたいです-Tsujino

「知の共有地」としての公共図書館つくり with Hiさん

今週の番組収録は、12月15日午後10時、ShizuokaからRyutaさん、KyotoからMugikoが参加しました。年末のスペシャルゲストは、Hiさん(ひ〜さん)こと、平賀研也さんです。Hiさんは、法務関係のお仕事をされていた時に会社から派遣され、1993年〜95年にUIUC (MSBA:Master of Science in Business Administration) に在籍しました。昨年のHarukana Showでは、留学についてのお話を伺いました。

No.534, June18, 2021, “Japan as No.1″の頃に UIUCに留学してから四半世紀 with Hi-san  *No.535, June25, 2021, テクノロジーとコミュニティ, 「知のコモンズ」の原点 with Hi-san

Hiさんはその後、長野県南部に位置する伊那市へ引っ越し、市立伊那図書館館長 (2007-2015)、県立長野図書館館長 (2015-2020) を歴任されました。今回は、Hiさんが地域でどのような公共図書館づくりをめざされたのかについてお話を伺いまいた。収録は12月9日、RyutaさんとMugikoが参加しました。1時間半のトークを3回に分けてお届けします。

第1部(今週)では、Hiさんが2002年に家族で伊那に引っ越した経緯と自然と社会に学ぶ暮らし、市立伊那図書館館長へ就任し、利用者がワクワクする図書館作りをめざすお話です。第2部(12月23日放送予定)では、この図書館を地域に開きながら変革していくお話。Hiさんがいう「伊那谷の屋根のない博物館の屋根がある広場へ」とはどんな図書館なのでしょう。第3部(12月30日放送予定)は、県立長野図書館長へ就任されて、地域の暮らしに根ざしながら世界とつながる「知の共有地」つくりのお話です。

以下は、第1部のPodcastです。トークの内容については、Mugikoが要約しました。

Part2, 伊那谷に魅せられて、自然と暮らしに学ぶ実学の知

Part3, 市立伊那図書館館長に、「読者」から「表現者」のための図書館へ

伊那谷に魅せられて東京から引っ越し

UIUCの留学から戻ったHiさんは、会社の経営改革に没頭しますが、仕事がひと段落した2007年、会社を退職します。そして、子どもが小学校に入学する2日前に、伊那市へ引っ越します。富山和子『ひみつの山の子どもたち』を読んだのがきっかけでした。長野県上伊那郡飯島町立七久保小学校のお話です。子どもたちが主体となって自然とともに学ぶ。公立でもこんな学校があるんだ、と早速、見学へ。そこで、Hiさんたちは伊那谷という場所に、すっかり魅了されます。東に南アルプスと西に中央アルプス、その間に天竜川が流れています。Hiさんは、東京の郊外、武蔵野で育ちましたが、そんな『隣のトトロ』のような風景が伊那谷に広がっていました。

厳しい自然環境と地域の「実学」の知

伊那谷は、自然と暮らしから学ぶ「実学」の地です。Hiさん家族が借りたログハウスの大家さんは、Hiさんの息子をいつも山に連れていってくれたそうです。そこでキノコの分類と名称、食べられるかどうかを教えてくれ、山から戻ると実際に食します。こうした実践学習をへて、息子さんは、今でも奥の山にマツタケをとりにゆきます。

伊那谷は自然豊かな場所ですが、河岸段丘上の土地では水不足になりがちです。それでも米作りなどの農業を営むために、水路を作るなどの工夫や工事がなされてきました。厳しい自然環境のなかで自然とともに人と社会が生き抜く知恵が、地域にはたくさんあります。Hiさんも、この地域に住んで日常生活の中でいろいろな人と出会い、話を聞く機会をえました。リンゴ農家さんは、4月の終わり連休前のリンゴの花咲く頃に、霧のように水を撒いていました。これから気温が下がりそうなので、氷の幕を作り「潜熱」をだして、リンゴの花が凍らないようにするためでした。

90年代のUIUC体験を原点に、公共図書館の館長へ

伊那に引っ越して2年ほどしてHiさんは、広報政策シンクタンク研究広報誌編集の仕事に関わり、伊那と東京を往復する生活が続きました。ある時、市立伊那図書館館長公募を知りました。「これこそ、自分がしたかったことだ」と思いました。その原点にあったのが、90年代半ばのUIUCの留学で体験でした。最先端の情報通信技術を使いながら、図書館の情報検索機能を整えていく。そこには情報を収集、入力するたくさんのボランティアたちのアイディアと労力が結集されていました。知的生産の基盤を整える「コミュニティ」が存在することに、Hiさんは感銘を受けました。今度は伊那の地で、「共に知り、共に作る」「知のコモンズ(共有地)」としての公共図書館つくりたい。

多様な知と人と場所をつなぐ生き生きとした図書館へ

そんな思いは強くあるものの、当時の伊那市の図書館は、おそらく日本の多くの公共図書館が今でもそうであるように、図書館は「本を読む場所」という考え方が中心でした。利用者がそこで話したり、一緒に何かをしたり、あるいは一人で勉強してもよい、もっと自由にさまざまな情報、知のかたちにふれ、みんなが生き生きと暮らし、地域にふれ、考えることができる、そんな図書館にしたいと、Hiさんは考えました。今の子どもたちは(そして大人たちも)、「やらなければならないことが増え」、自由に学び知ることのワクワクから疎外されているのではないか。誰かがそこにいて学び合い、一緒に何かを作り出す、そんなイキイキ(生き生き、行き行き、活き活き)が生まれるきっかけとなる場があればいいという思いからです。

伊那市の図書館では、どのように地域を巻き込んで、たくさんのワクワクを作っていくのでしょう。来週の続きのお話を楽しみにしてください。-Mugi

読者のための図書館から、表現者のための図書館へ -Ryuta

Ryutaさんのお話では、アメリカの大学図書館でも、研究者が学生が執筆をしたり研究をすすめ、公共図書館でも、みんなで何かを創り出す、グループワークが可能な、Leaning Commonsとしての機能をそなえた場所へと変化してきました。読者のための図書館から、表現者のための図書館へという変化です。

UCIMCでイキイキ、ワクワク-Mugi

Mugikoにとっては、イキイキ、ワクワクの体験は、Urbana-Champaign Independent Media Centerです。コミュニティラジオ局WRFUもそうですが、この場所で展開される表現活動は、市民ジャーナリズムの活動から、世代をこえて、若い人も年配者も、なんでそんなことに一緒に夢中になれるの?と呆れるような楽しさがたくさんあります。直接に参加してなくても見てるだけでも、そこにただ居るだけでもいい。でも、ワクワクの波動はしばしば連動していきます。-Mugi

■Pentatonix「Hallelujah」■RADWIMPS「カナタハルカ」(5:56)

CUPHDによるCOVID-19陽性者確認、今週も赤信号

 

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