No.640-2, June 30, 2023 「図書館」×「自分の好きなコンテンツ」SKU2023 企画 よりwith Takakura、Karen(前半)

「場」としてのライブラリー

本日の後半は、Takakuraさん(Kumamoto)、Karenさん(Kobe)、Ryutaさん(Shizuoka)、Mugiko(Kyoto)の4人でにぎやかにトークしました。格闘系司書ことTakakuraさん(大学図書館司書)は、2回目の出演です(HS No. 600, N0.601-2, No. 602-2)。Karenさんは初出演です。甲南大学の大学院修士課程で「滞在型図書館」について研究をしています。そしてRyutaさんの専門はもともとは「メディア」ですが、アメリカの大学図書館に勤務した後、現在は大学の司書課程の授業を担当しています。さまざまな形でライブラリーと関わる皆さんと、「場」としてのライブラリーの展開の可能性について、2時間近くお話しました。収録日は6月23日です。今週と来週の2回に分けてお届けします。

Part2, 自己紹介、「メディア文化論」特別座談会、好きな文化×図書館企画

聞き手に圧をかけないアバター座談会

Mugikoが勤務する甲南大学の「メディア文化論」に、6月7日(水)、TakakuraさんとRyutaさんをゲストスピーカーとしてお招きしました。「図書館とゲーム〜場としてのライブラリー」というテーマです。教室の大きなスクリーンに、美少女系アバター姿のTakakuraさんとRyutaさんが映し出され、熱く語り、教室にいる受講生たちとも対話するという、不思議な経験でした。Karenさんも、教室からこの座談会に参加しました。

「図書館」と「自分が好きな文化」を掛け合わせた企画作り

「図書館は静かに読書や勉強する場所」だと教えられてきた学生にとっては、図書館で、ゲームをとおしてさまざまな知識や文化に触れるという発想は、新鮮な驚きでした。Takakuraさんは、座談会の参加者に最後にこんな課題を出しました。「図書館」と「自分が好きな文化」を掛け合わせた企画を考える。

提出された100を超える企画について、Takakuraさんが注目したいくつかの企画についてふれ、図書館での実施可能性や難しさなどを4人で話し合いました。今日のトークではまずは、Karenさんによる企画「ブレイクカルチャーと図書館」をとりあげました。

Karen企画:「ブレイクカルチャー」×ライブラリー

Part3, 静かな図書館と「やんちゃなブレイクカルチャー」を掛け合わす

Karenさんにとって地元の公立図書館は、幼い頃、夏休みに1日を過ごす、少し暗く静かな場所でした。母が仕事を終えて戻ってくるまで図書館で宿題をし、本を読んでいました。Karenさんにとって「硬い」イメージの図書館と、やんちゃなイメージがあるブレイクカルチャーとを組み合わせた企画を考えました。

暴力的な抗争からパフォーマンスとしてのバトルへ

1970年代のNYのブロンクス地区で、敵対するギャングたちがこれまでのような暴力による「抗争」ではなく、音楽やパフォーマンスによって競い勝負をつけるバトル文化が展開していきました。Karenさんの説明では、ここでのbreakとは、「攻撃」ではなく、「休憩」や「間」という意味です。音楽と音楽の間の「休み」やそこの「間」で行われる間奏でありパフォーマンスです。例えば、ブレイクダンス、言葉のやりとりをするラップ、人間の身体からドラマシンのような音とリズムを作り出す(ヒューマン)ビートボックスです。

Karenさんは、ラップの歌詞に知らない熟語が出てくるといろいろ調べ始めます。そもそもラッパーは読書家が多いそうです。そういう点では、ラップは図書館とは馴染みやすい文化でもあります。

1973年8月11日、ラップはニューヨークで生まれた〔前編〕 ――ヒップホップの誕生から、史上初ラップのヒット曲が登場するまで ――『ライムスター宇多丸の「ラップ史」入門』より, Happy Days with Books,  本が開く、2020年3月4日7:30

「その文化」の背景にある根っこにふれる展示-Takakura

Karenさんが提案した企画に対して、Takakuraさんも図書館で実現できればいいですね、とこんな内容のコメントをされました。「ブレイクカルチャーが、ギャングの抗争から始まったように、ゲームの世界でも、崖っぷちのギリギリまで車を走らせブレイキを踏み度胸を争うチキンレースが元になったものもあります。ある文化が生まれる背景やその根っこのつながりを探る展示ができれば面白いです。ラップを言語学的に探索してみる企画もできます。ブレイクダンスと関連する筋トレ本もあります」。最後の一言は、格闘系司書のTakakuraさんらしいコメントでした。

開かれた公共施設としての図書館で多様な文化にふれるパフォーマンス

それにしても、図書館でブレイクダンスを実演することは可能なのでしょうか。Takakuraさんによると、「館長(管理職)の許可があれば、開かれた公共施設として、例えばプロレスなどのパフォーマンスも行いえます」。そういえば、Champaign Public Libraryでも、先週、The Rope Warrior(縄跳びパフォーマンス)がありました。

*E2389「図書館プロレスラーととしょカーン誕生:地域連携での情報発信」板橋区立東板橋図書館

Part4, 図書館で地域色をつなぐー郷土資料との組み合わせ

学生企画に地元愛と地域色

甲南大学の学生の企画全体を見て、Takakuraさんが気づいたのは、「宝塚歌劇」や「よさこい祭り」など、それぞれの地域の特色がある企画がいくつもあったことです。「公共図書館は、国立国会図書館にもないような郷土資料を収集、保管することも大事な役割です。学生企画に自ずと地域色が出ることは面白いです」。Takakuraさんの地元の熊本では、くまモンや熊本城の企画が出るだろうと話されました。

「定番」だけでなく「意外」な企画も

Ryutaさんがいる静岡では、お茶や富士山や、徳川家康や今川義元に関する企画は思いつきやすいですが、Ryutaさんは、そうした「定番」ではなく、「意外系」の企画を考えるのも面白いかもと話されました。例えば、「輸出用の茶箱のラベルをめぐる印刷文化」ななどです。そこで、Karenさんが、「自分が住む姫路では、姫路城が定番だけど、姫革細工(白くなめした牛革を使用した革細工)を知ってほしい。地元では姫路駅から姫路城までの地下通路には、地元の小学生が書いた姫革細工についてのZINEのようなレポートが掲示されています」といった話をされました。

他地域や海外とつなぐ、「地域で迷子」シリーズ

いろいろな図書館と連携した地域色バトル企画があると、地元資料からだけでなく、他地域との比較や共通点、海外とのつながりに注目するなど多角的な展示を考えることができそうです。図書館での展示や情報にふれるだけでなく、実際に地域に迷い込んでみる、そんな体験とつながる企画があったら面白いなあとMugikoは思いました。-まとめMugi

■SARUKANI「RICEBALL ROLLING」■梅田サイファー「かまへん」 (feat. KennyDoes, R-指定, コーラ, KBD, teppei, KZ, KOPERU, peko, テークエム, ILL SWAG GAGA & Cosaqu)

 

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