No. 687, May 24, 2024,ライブラリーとメディア:情報へのアクセス、多様な文化体験

Memorial Dayと夏休み

5月の最終月曜日はMemorial Dayの祝日です。小中高も本格的な夏休み、ホリデーで旅に出かける人も多いのかな。日本は、ゴールデンウィークが終わると、7月の海の日(第3月曜日)まで祝日がありません。梅雨もはさんで少々、しんどい季節。

今週の収録は、5月23日(木)午後、RyutaさんはTokyoから、MugikoはKyotoから参加しました。それぞれ予定時刻の直前にオンラインに接続、ぶっつけ本番な収録。Part1では、Kyotoの市バスと観光客の話など。Part2 & 3では、RyutaさんとLibraryトーク、インターネットが普及していく1990年代以降の米国の公共図書館の変化について、Ryutaさんとおしゃべりしています。

Part1, 待「合」室とwaiting room、海外からの観光客と市バス-Kyoto編

「どうぞ」コミュニケーション

Mugikoが住む日本のKyotoでは年中、海外からの観光客でにぎわっています。最近は、京都市が推奨する「手ぶら観光」(Hand Free Kyoto)が広まっているのか、市バスにはスーツケース持ち込まず、手軽な荷物のお客さんがほとんどです。また、お年寄りが近くにおられると、日本語で「どうぞ」と言ってさっと席を譲る光景も見かけます。「どうぞ」って、便利なことばだなあ。-Mugi

Par2, ヨーヨーチャンピオンが図書館に!ネットの普及とライブラリー

Part3, 図書館業務の変化、アメリカ社会の事情、コミュニティとともに

Yo-Yoの世界チャンピオンが図書館にやってくる

学校が夏休みに入り、Champaign Public Libraryでは毎週、子供と家族向けの行事が行われています(Summer Fun for Kids & Families)  。今週末、5月25日(土)は、Yo-Yoの世界チャンピオンMark Haywardがやってきます。Yo-Yo Champion Mark Hayward: Sat. May 25, 2024, three shows! 11 am, 1pm and 3pm.

公共図書館で多様なイベント

Urbana Free Libraryでは、この日は、Chess + for Kids: Sat. may 25, 3:30pm-5:00が開催されています。来週は、Love Wins Crafting: DIY for Pride Month : Sat. June 01, 2:00-3:30 pm. 図書館のイベントスケジュールを見てゆくと、必ずしも「本」とは関連しないさまざまなイベントが開催されています。

公共図書館という場所:本中心から「人ありき」へ

Champaign出身のTomさんの話では、子供の頃、1960年代の図書館は建物も小さく、イベントが開催されても、本の読み聞かせなど、あくまでも「本」が中心だったようです。Tomさんは、1970年代から90年代にかけてミュージシャンとしてアメリカ中でライブをしていました、行く先々で、空き時間があればその地域の図書館で本を読んでいたそうです。図書館は、かつても今も、誰にでも開かれた公共空間ではあるけれど、現在はもっと「人ありき」(for people)な取り組みが多くなったので、と話していました。

公共図書館のこうした変化の背景には何があったのか。図書館情報学も専門とするRyutaさんに、お話を伺いました。

「情報・読書への平等なアクセス」から「文化的体験へのアクセス」提供へ

図書館(特に公共図書館)は、元から、情報への平等なアクセス、読書への平等なアクセスを提供する施設でしたが、時代を経て、読書に限らない「文化的体験」へのアクセスを提供する場所に変わってきたと思います。インターネットが普及した高度情報化社会の到来により、「調べものをする場所」「読書する場所」としての図書館という施設が不要なものになるかもしれない、という危機感(や、社会の中で、そのような主張をした人たちからのプレッシャー)も、その理由のひとつだったと思います。

カード目録棚と高度情報化

また、それだけでなく、図書館の業務そのものも、高度情報化により大きく変わりました。かつて、図書館の蔵書の管理と検索方法の提供は、カード目録によって行われていました。このカードは、所蔵する図書の情報が書き込まれたもので、利用者が検索できるように、図書の題名、著者名、件名などの順に並べた、複数の棚を用意していました。カード目録の作成と管理には多くの人手が必要で、また、カード目録を収納した棚も、図書館の入口やカウンター近くの大きな場所を占めていました。

Card Catalog @ UIUC Main Library, Nov. 2012, photo by Ryuta

図書館スタッフ、「本と向き合う時間」と「人(利用者)と向き合う時間」

蔵書の管理と検索方法の提供がコンピュータで行えるようになり、カード目録棚は、次第に不要なものになっていきました。それにより、図書館には「空間」が生まれ、図書館のスタッフが「本と向き合う時間」と「人(利用者)と向き合う時間」のバランスにも変化が生まれたと思います。1990年代後半〜21世紀初頭以降のアメリカの公共図書館は、さまざまなアプローチで、利用者コミュニティの「中心」になるために変わっていきました。– Ryuta 

No.535, June25, 2021, テクノロジーとコミュニティ, 「知のコモンズ」の原点 with Hi-san, *No.536, July2, 2021, 「場/場所としての図書館 」Ryuta, 「コロナ禍の日本一時帰国 」M. Wataru,

図書カードボックスの時代〜スタッフが本と人をつなぐ

Mugikoが大学生、助手だった1980年代〜90年代前半、図書館には「人OPAC」のようなスタッフがおられました。図書館本館だけでなく異なる学部や教員研究室の本棚の事情もよくご存知で、相談すると、図書カードだけでは見つけにくい関連図書のありかを見い出し、貸し出し手続きなどもすすめてくださいました。人がたくさんの本をつなぐ時代だったのかなと思います。

筆跡が残る図書カードの息づかい

また、2000年代にMugikoは、Londonの公共図書館で、Notting Hillの1960年代の対抗文化やコミュニティの活動について調べていました。ローカルヒストリーのコーナーには、60年代から70年代の地域活動のさまざまな貴重なドキュメント(コミュニティ活動の議事録、フライヤー、ポスター、議事録、ミニコミ、写真など)が記録として残され、カードボックには同じ万年筆で記された情報が残っていました。当時、ある司書が熱心に住民の活動についてのドキュメントを収集、記録に残したおかげで、半世紀後に日本からやってきた利用者であっても、60年代当時の現地の雰囲気にふれることができました。Mugikoが60年代に関心をもつきっかけとなりました。

他者が出会う場所、時代と地域と社会を映し出す公共空間

Libraryは今も、より多くの人に情報と文化的機会を提供し、さらには、Champaign Public LibraryのようにSTUDIOが開設されるなど、利用者がそこで創作的な活動をすることも可能になりました。アメリカの公共図書館は、それぞれの地域の事情も反映し、子どもたちをはじめ住民にとってより「安全」な場所でもあります。時代や社会を映し出す場所としても、Libraryは興味深いなと思います。-Mugi

*No.681, April 12, 2024「滞在型図書館」ー多様な他者と出会うwith Karen. *No. 673, Feb. 16, 2024,「場としてのライブラリー」フリースペースをどう使う?No. 674, Feb.23, 2024, グローカルな「おにぎり」。図書館と居場所、ドイツの図書館とボードゲームと「公貸権」.

■ジグ「雨と待合室」■My Morning Jacket「Librarian」■斉藤由貴「白い炎(2021 version)

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