No.598-2, Sept. 9, 2022, Kyotoの街で古本屋と古材回収と地域福祉(前半) with Shinyaさん

ホホホ座浄土寺センターのShinyaさん初出演

本日のゲストトークは、京都市左京区にあるホホホ座浄土寺センター/ホホホ座ねどこの松本伸哉さんです。1階が古本屋、2階が宿泊所です。斜め向かいのハイネストビル1階には、ホホホ座浄土寺店(新刊書、雑貨)があります。この浄土寺界隈には、蜂屋うちわ職店(HS No.547-2, No.547-3, No.548-2)や鍛金物語(HS No.564-2, No.565-2, No.566)のRenさんのギャラリーもあります。

古本屋なのに古材回収、福祉とつながる?

Mugikoも、浄土寺界隈の住民です。散歩の途中に立ち寄っては、ホホホ座のShinyaさんとよくおしゃべりをします。そこで、Shinyaさんが、古材の回収もされ、倉庫もあるということを知りました。HSでも今年の2月にChampaign在住のTomさんから、PACAが行ってきた歴史的建造物保存や古材回収、リユースの活動や、アメリカのDIYカルチャー、そしてTomさん自身のDIYライフについてお話を伺いました(HS No. 567-2, No.568-1, No.569)。アメリカで見てきたPACAの活動やDIYライフが、浄土寺界隈でも展開されている?Shinyaさんは、自身の活動について話すときに、「福祉」という言葉を使われることがあります。古材回収と福祉がどうつながるのだろうか。Harukana Showでお話を聞いてみたいと思いました。

Part2, ホホホ座とは?0えんマーケット、福祉団体立ち上げ

Part3, ホホホ座ねどこ、古材回収とDIYリノベ、外から見えにくい住まいの問題

謎が深まるShinyaさんとのトーク

Shinyaさんとのトークは、8月15日に収録しました。RyutaさんとMugikoがオンラインで参加しました。今週と来週の2回に分けてお届けします。ホホホ座とは何か、Shinyaさんが何者かは、2回にわたるトークを聞いていただけると、なんとなくわかるか、謎が深まってゆくかどちらでしょう。これも今回のお話の面白いところです。

*ホホホ座という屋号を語る店舗や活動のネットワーク(京都、大阪、愛媛、石川に10店舗ほど、ホホホ座「店舗情報」)がどのように生まれ、つながっていくのか、詳しく知りたいという方は、山下賢二・松本伸哉『ホホホ座の反省文』ミシマ社, 2019年をご覧ください。

10代からサブカルチャーにどハマり、関連活動を営む

Shinyaさんは、京都生まれ。今日のトークにもあるように10代の頃から、“ド(スーパー)サブカルチャー”にハマり、音楽、映画、芸術に深い関心を寄せ、活動に関わってきました。90年代に10年間レコードショップ(MENSOUL RECORDS)を運営、2011年に古本・雑貨店「コトバヨネット」を開店、2015年より浄土寺のハイネストビル2階に引っ越し「ホホホ座浄土寺センター」として古本屋を営んできました。このビルの1階は、「ガケ書房」を移転・改名した「ホホホ座浄土寺店」です。

ホホホ・ザ・わいわいー地域福祉のあり方を模索

Shinyaさんたちは2017年、「ホホホ・ザ・わいわい」というボランティア団体をたちあげます。長年福祉関連の活動をしてきたプロたちや、地域の協力者や、障害や心の病をもつ人や、いろいろな人が、支援する側、される側、といった垣根をつくらず関わり、暮らしの現場から自分たちで地域福祉の仕組みを作り出すことをめざしています。ホホホ座浄土寺店前のスペースなどを使った「〇えんマーケット」や各種サロンや多くの人が集まる活動はコロナ下では休止していますが、Shinyaさんをはじめメンバーが個別にゴミ捨てや片付け支援を続けています。

ホホホ座浄土寺センター、ねどこスペースをDIYリノベーション

2019年には、Shinyaさんの古本屋(ホホホ座浄土寺センター)店舗が、ハイネストビル2階から、道路を挟んで向かいの路面に引っ越します。1階を古本屋、2階を宿泊所にすることになりました。この時、できるだけ化学塗料を使わないで自分たちでリノベーションをすべく、解体現場へいって直接交渉し破棄される建材を集めました。これがその後、古材回収とリユースの活動へとつながっていきます。

近所の困りごと相談、プライベート空間としての家

Shinyaさんたちは、近所のお年寄りや本の買取先や、知り合いから、「網戸が破れた」といった日常の困ったことや、ゴミの回収などの相談を受けたりするなかで、外からでは見えない深刻な「住まいの問題」に直面してきました。一人暮らしの高齢者だったり、高齢の両親と引きこもりの息子だったり、心の病を抱えていたり。住んでいる人だけではどうしても対応できない問題について相談を受け、ゴミ処理を依頼されることもあります。ゴミはクリーンセンターに運び、住民にとって不要だがまだ使えるものを回収するようになりました。

制度の支援が届かない「住まいと心の問題」

そこに生きてきた人は「住まい」に、なんらかの愛着を抱いています。行政の制度や不動産業界は、そこに住む人の心の問題を考えて土地や家屋を扱うわけではありません。認知症を発症すると所有者本人が不動産処分できなくなります。借地権を返す場合も、その土地の家屋を処分して更地にする必要があります。また、観光地として景観を重視する京都ですが、住む人にとってはさまざまな住宅をめぐる規制がある一方で、行政からの支援がゆき届いているわけではありません。

サブカルチャーの世界でのDIYな手応えと現在の状況への危機感

また、Shinyaさんのお話からは、 (ド)サブカルチャーの世界を生きてきた手応えと危機感も伝わってきます。Shinyaさんが付き合ってきた人たちのなかには、メンタルヘルスの問題を抱えている人も少なからずいます。それはShinyaさんにとっては特別なことではありませんでした。常識からは尋常でないと思われる状況にたいしても、その事実一つひとつに向き合えば問題には対応できるという経験にもとづく自負心がShinyaさんにはあります。その一方で、個人のレベルではもうどうしようもできない状況が大きくなっているという思いもあります。

異なる要素がつながり、活動が展開

明確な目的やゴールを設定した活動ではないけれど、Shinyaさんが住まい問題に関わるきっかけには、古本の買い取りのために個々人の家を訪問したり、ホホホ座の活動の中で福祉のプロたちをとおして福祉の現行制度の構造的問題を知ったり、ホホホ座ねどこを作るときに古材や古い家屋の再利用の可能性に気づくなど、複数の要素がからまっています。来週のトークでは、Shinyaさんたちの活動が、人とのつながりのなかで、どう展開していくのかそのプロセスをさらに伺います。-Mugiko

■Millie 「Enoch Power」1970■Gil Scott-Heron 「Revolution Will Not Be Televised

*「レゲエのプロテスト・ソング傑作11曲:社会/国/権力/戦争/大麻規制/差別について声を上げた曲たち」Udiscovermusic.jp. news, 11/30, 2019
*Douglas Murray “Enoch Powell’s Immigration Speech, 50 Years Later“, NATIONAL REVIEWS, April 19, 2018, 6:30AM
カテゴリー: Harukana Show-Podcast パーマリンク

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