No.630, April 21, 2023, 「緑」と人に寄り添うランドスケープアーキテクト with Yuta

新緑の季節、Wataruさんの博士論文最終審査公聴会!

新緑が美しい季節です4月20日(木)の番組収録日には、Kyotoは最高気温29℃と夏の暑さ、Shizuokaから出演のRyutaさんは半袖でした。イリノイ大学はもう春学期の終わりですね。Wataruさんから博士論文審査最終公聴会のお知らせが届きました。

「簡単に研究内容を言うと、電話帳のデータを使い、どんな店の傍にどんな別の種類のお店が出店しやすいかを統計的に調べました。お時間ある方、ぜひ聞きに来て下さると嬉しいです。遠方の方向けにZoomでの参加オプションもあります。(こちら)」- Wataru

Wataru Morioka, Network Dual K Function: Exact Statistical Methods for Analyzing Co-location on Street Networks, 10am-, April 24, Monday @ Room 2049 Natural History Building

HSのGISシリーズとWataruさん

Harukana ShowのGISシリーズは、Wataruさんがさまざまなゲストを招いて続いています(第1回は、HS No. 429「GISは暮らしの現場にこんなに活躍」)。Yutaさんも、GISシリーズNo.4でHSに初出演(HS No.465 & No. 466)。

Part1, Nikkeiji Illinois by Satomi, 博士論文審査最終公聴会by Wataru

Nikkeijin Illinois@Spurlock Museum of World Cultures〜12/10

この展示について先週の番組でもふれましたが、今週は、Satomiさんからのメッセージ全文と写真とを合わせて掲載します。Satomiさん、ありがとうございます。

現在、博物館内で(10 人あまり)イリノイ州に関わる日系米国人が第二次世界大戦の際にどこにいて、どのような状況で過ごしていたかといったテーマで展示されています。どんなふうに展示されるのだろうと興味津々だったのですが、紹介された日系人の話が簡潔にまとめてあってとても鑑賞しやすいです。ただ、もうちょっと展示される日系人の数が多ければよいのに。いちばん印象に残ったのは、戦時中に日系人に対する差別は酷かったというのは分かっていたのですが、差別を裏付けるような物が展示されていたこと。写真の灰皿*は、いちばん強烈な印象を受けました。敵国に住んでいた日系人は、二つの大きな壁(米国と日本)に挟まれて、心底辛かっただろうな、と感じました。-Satomi

*“Jam Your Cigarette Butts on This Rat” Ashtray manufacturer unknown circa 1942: Common household objects such as a drinking glass or ashtray were manufactured during the war years and served as constant reminders of the conflict with Japan. In many cases, these objects continued to be used by their owners for years following the war. Nikkeijin Illinois exhibit text

今回の展示は、イリノイ大学関係者の日系人に焦点を絞っています。どのような人物、人生、営みにふれているのかについては、来週、話題にしたいと思います。Mugi

人に寄り添うランドスケープアーキテクトの魅力を伝えたい-Yuta

Yutaさんから熊本県の球磨川の「緑の流域治水」プロジェクトのお話を2回にわたって伺いました(HS No.628 & No.629)。こうしたプロジェクトに関わるYutaさんの現在の関心を最後に伺いました。

Part2, 「10年」プロジェクトだから参加、現場から学ぶ複合的実践-Yuta

Part3, 人に寄り添うランドスケープアーキテクトの魅力-Yuta

未来を見据えたプロジェクトの実践と研究

「緑の流域治水」プロジェクトは、令和2年7月豪雨による球磨川流域の被害からの復興を起点としながらも、当初から未来を見据えた持続的社会という構想のもとで、多様な専門分野をつなぐ複合的な取り組みを展開させています。

Yutaさんは、「このプロジェクトが、10年をかけて地域のこれからを見据えているところに魅力に感じて参加を決意しました。実際に地域がどのように変化していくのかを現場から学びながら、実践と研究を繋いでいきたい」と話されていました。

レジリエンス/しなやかな回復力

また、Yutaさんは、「東日本大震災から復興プロセス、巨大インフラ整備などからの教訓や人口減少などの現状も、本プロジェクトのような未来に向けた持続的社会のあり方を考えるきっかけになっている」と考えています。Yutaさんの「緑の流域治水」プロジェクトへ関わり方には、YutaさんがHarukana Showで語られてきた「レジリエンス」(しなやかな回復力)への思いが根底にあるなあと、Mugikoは思いました。

空間がもつ複合的な効果、ランドスケープアーキテクトの面白さ

Yutaさんは、このプロジェクトをとおして、地元の関係者や多様な専門領域の人々と出会い、ご自身の専門であるランドスケープアーキテクトについてもその魅力を改めて感じているようです。「生物だけでも安全性からだけでもなく、その空間を使う人々に楽しんでもらえる、人に寄り添った空間作りをしていきたい、ランドスケープアーキテクトの面白さも伝えていきたい」と話されていたのが印象的でした。

Hyde Park @ London, UK, March 18, photo by Yuta

「緑」や「公園」は都会的?Yutaさんのカルチャーショック

最後にRyutaさんとYutaさんのやりとりも面白かったです。Ryutaさんが、「『緑の』という発想自体が都会的なもので、Yutaさんがアメリカや日本で関わってこられた屋上緑化の活動も都市部で行われているが、地方では無縁な営み」とコメントされました。これを受けてYutaさんがこんなお話をされました。「信州大学の造園学研究室は、都市に住んでいて自然が大好きな学生がより多く学びにくる。ランドスケープデザインは、自分は自然よりの概念だと思っていたが、むしろ人よりのものだと気づいた時に、自分が限られた世界で生きてきたことに気づき、カルチャーショックでした。」

Hermann Park @ Houston, TX, Oct. 19, 2019, photo by Yuta

そこで、Hiさんが昨年末に、Harukana Showでお話された伊那でのエピソードをRyutaさんが思い出しました(HS No.612, No.613, No.614) 。伊那の山のある風景や自然の美しさとそこでの暮らしに魅了されて、Hiさん家族は東京から伊那へ移り住みました。Hiさんが自分の子供とその友達を乗せて車を運転して、Hiさんがその景色の美しさを語っても、地元の子供からすれば当たり前すぎで、特別なものではないということに気付かされた」と。

Yutaさんも、「球磨川の流域治水プロジェクトだけでなく、今自分がいる伊那という場所で天竜川の流域治水などにもこれから機会を見て関わっていきたい」と話されていました。熊本と長野での、Yutaさんのこれからの活動の展開が楽しみです。-まとめby Mugi

春日公園@長野県伊那市, April 1, 2023 photo by Yuta

ランドスケープが自然か人か、出身地や居住地による捉え方の違い

番組の放送日に、Yutaさんから改めて今回のトークへのご自身へのコメントと写真が届きました。

今回話した中では特に「ランドスケープが自然か人か」、というカルチャーショックについては、自分でもとても興味があります。信大に都会からの進学が多かったり都会の人がキャンプをしたがるように、長野の人はあまり登山をしないし東京への憧れがあるようです。無い物ねだりと言えばそれまでですが、「自然的なもの」や「自然」を人がどう捉えるのか出身地や居住地によって捉え方が大きく違うことが面白くて探求したくなるテーマです。大都会にある公園と地方のまちの公園の写真をお送りします。ご覧になった方が都会的だと感じるのか自然だと感じるのか、そんなことに思いを馳せてみます。-Yuta

新宿御苑 @ 東京都, Nov. 14, 2020, photo by Yuta

■UA「黄金の緑」■小田和正「緑の街」

Champaign County COVID-19 Cases, Updated on April 18, 2023, 10.36AM, CUPHD

カテゴリー: Harukana Show-Podcast パーマリンク

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