No.597, Sept.2, 2022, 楽平家オンラインサロン(後半)カウンターカルチャーとしてのコミュニティラジオ

新学期、COVID-19陽性確認数、一気に増える

今週の番組音源をWRFUに送ると、スタッフのStuartさんから季節のメッセージが届きました。「今年の異常な暑さはだいぶやわらぎ、過ごしやすくなりました。UIUCの新学期で人が増え、交通渋滞、COVID-19感染がまた急拡大して、知り合いも次々と感染しています」という内容が記されていました。CUPHDによるとChampaign Countyの陽性者数は、2022年9月2日現在1519人。先週の比べて倍増しています。

楽平家オンラインサロントーク後半

先週は、第24回楽平家オンラインサロントーク(8月10日)前半をお届けし、Harukana Showの始まりと、UCIMCやLPFMといった草の根メディア活動の背景にあるアメリカのメディア史について話題にしました(No. 597-2)。

今週お届けした後半部分では、最近のHarukana Showの番組を紹介しながら、時空間を超えて人と人、情報をつなぐコミュニケーションツールとしての小さなメディアの可能性について話題にしました(Part2)。

また、アメリカにおいて大手メディアが地域の新聞、テレビ、ラジオなどローカルなメディアを次々と吸収するなかで、地域住民自らが声を発するLow Power FMのようなハイパーローカルメディアが存在する意味を考えました(Part3)。

Part1, UIUCの秋学期、感染拡大、楽平家オンラインサロン(後半)へ

Part2, HSでVRな話題、コミュニケーションツールとしてのメディア

Part3, カウンターカルチャーとしての草の根メディア

Yuri & Ryuta & Mugiトリオ

この日のオンラインサロン進行役の高橋ゆりさんは、オーストラリア国立大学ミャンマー(ビルマ)語学科講師、シドニーにあるビルマ語FMラジオ局の活動に長年関わっておられます。ご自身の10代の頃のラジオ体験(深夜放送を聞いて、翌日高校で話題にする)や、多文化社会におけるコミュニティメディや政治との関わりなど、多角的な視点からの質問やコメントをいただきました。3人でのトークも楽しかったです。このPodcastでは、トークの内容を補足し、後日、参加者からいただいたコメントの内容の一部を紹介します。

メディア・アクティビスム界におけるUCIMC

第23回LOSでお話をされた清恵子さんからは、こんなコメントをいただきました。

「サロン第24回、興味を持って拝聴いたしました。イリノイ州アーバナシャンペーンのインディペンデントメディアセンターはメディア・アクティビズム界では有名な所で、私もここのダニエル・チノベスとピート・トリディッシュをタイに呼んでメディア・アクティビズム・ワークショップをやってもらったことが2度あります。ピートのワークショップはラジオを自分で手作りするというもので、参加者にはこうして自分の手で受信機を組み立てることによって、自分でもメディアが作れるという概念がより理解しやすくなったと思います。日本語放送をやっていることは今回初めて知りました。」-Keiko-san

Danielle Chynowethは、UCIMCを立ち上げた最初のメンバーの一人です。2005年にWRFUを開局する際に、地域の住民やIndymediaな関係者が集まって、手作りでスタジオを作り、電波塔を組み立てました。 当時の写真が、WRFUスタジオのボードに貼られていました。この中にDanielleやPeterの姿もあります。

「インターネットの時代に、コミュニティラジオは時代遅れでは?」

2012年、73回Harukana Showに、Danielleをゲストに迎えました。WRFUを開設した動機や開局の経緯について話してもらいました。No.73 August17, 2012 WRFU and ‘Community’ Radio in US with Danielle

「ラジオは時代遅れではないか?」という質問にもこたえてくれました。「コミュニティラジオは、地域の人々がラジオ局の運営、番組作りに携わり、スタジオにやってきて、地域の問題、情報を伝え合う場所やそこでのコミュニケーションが重要となります。人と人が直接に顔を合わさなくても個人が発信していくことができるインターネットとは、違う性格のものです。コミュニティラジオとは、ラジオが手段であり、コミュニティが主役なのです。インターネットの時代であっても、コミュニティラジオが消えゆくわけではなく、インターネットと組み合わせることによって、コミュニティラジオが場所をこえて展開することが可能です。」-Danielle, 2012

2012年にはUCIMCで、Grassroots Radio Conferenceも開催されています。Harukana Showもイベントに参加しました。

Grassroots Radio Conference 2012: *No.68 July13, 2012 UC-IMCで、Grassroots Radio Conferenceが開催されます!,*No.70 July27, 2012 GRC報告、Community Radio をグローカルに開く,*GRCのの様子は→’Radio Space’ a presentation at the Grass Roots Radio Conference, 2012.m4v,*No.73 August 17, 2012 WRFU and ‘Community’ Radio in US with Danielle

100フィートの電波塔をみんなで組み立てる

2012年秋には、WRFUの65フィートの電波塔を100フィートに建て替えました。この時にも、プロメティウス・ラジオ・プロジェクトのPeter TridishがUrbanaまで駆けつけ、みんなの手でタワーを組みたてました。まさに、DIYラジオです。草の根の活動家たちが、全米と海外にネットワークを拡げ、情報交換と相互の技術援助をしながら、地域の小さなラジオ局を作り、運営していることは新鮮な発見でした-Mugi

▶︎西川麦子2013「運動としてのコミュニティ・メディア : アメリカ、イリノイ州、WRFU-LPとグローカルなネットワーク」『甲南大学紀要文学編』163, 133-152▶︎西川麦子 2014「地域の多様性をつなぐメディア実践 : アメリカ、イリノイ州、アーバナ・シャンペーンのメディア表現者たち」『甲南大学紀要文学編』164, 113-132
UCIMC &WRFU: *Harukana Showのマルティメディアなストーリー July 27, 2012. ,*3900 poundsのTower 到着(Nov.5)、作業開始(Nov.6)Dig Dig Dig!, *No.90 December 14, 2012 祝WRFU NEW TOWER! SAVOYまでKohaku Talk(紅編), *WRFUでの番組制作の方法や注意点などは、Airshigter Handbookに記されています→リスナーはどのくらい?@WRFU Meeting, August 14, 2014,

WRFU TOWER@ Urbana,Dec. 23, 2012

都市部でのLPFM認可、展開

アメリカでは、2000年に都市部をのぞいて低出力ラジオ(Lowpower FM:出力100W以下、電波塔の高さ100フィート以下)局が認められました。それ以降、都市部での開局認可を求める運動が展開され、2010年12月に法案が議会で可決され、2011年1月にオバマ大統領が署名しました(Local Community Radio Act, Prometheus Radio Project)。実際の申請受付、審査には年数を要しましたが、これにより、アメリカのLPFM数は飛躍的に増えます(米国の放送局数 , FCC)。-Mugi

「ニュース砂漠」-Ryuta

トーク、番組収録時にはまだ目にしていなかったので、番組内では言及していませんが、昨日、以下のようなニュースが配信されていました。

米の地方新聞、17年で3割減 広がる「ニュース砂漠」(共同通信, 2022/9/2 ):「報告書によると、日刊や週刊などを合わせた地方紙は2004年には8891紙あったが、今年5月末には6377紙(うち日刊は1230紙)まで減った。」

米国では、テレビ、ラジオの放送網や、番組制作を行うスタジオの大手メディア企業による寡占が進んでいます。ラジオの商業放送は、放送局こそ地域ごとに認可されて設置されていますが、地域内にはない全国企業が全米向けに制作した番組を、非リアルタイムに放送するケースが増えていると感じます。新聞は、大手に吸収されるのではなく単に廃刊されてしまうことも多いので少し状況が異なりますが、例えばNew York TimesやWashington Postが全国配達で読めるとしても、そこに(NYやDCを除く)地域の情報が細かく載ることはありません。

これはつまり、地域に密着したニュースや、地域で活動している個人や団体のインタビュー等が商業メディアでは取り上げられないことに繋がっています。(極端に言えば、日本ではあたりまえにできる「災害時に自分が住む地域の最新情報を得るためにラジオを使う」ことも難しくなっているかもしれません。)「草の根メディア」を求める運動は、このような米国特有の事情の中で展開しているものなのだとも思います。- Ryuta 

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番組継続の秘訣ー隙間時間をつなぐ、次が楽しみ

LOSからいただいたコメントのなかに、「Harukana Showを継続させる秘訣は?」という問いがありました。考えたことがなかったのですが、それぞれの暮らしや仕事の「合間」に参加できることが大事かなと思います。

Mugikoにとって番組作りは、さまざまな人のことばや発想、営みにふれる新鮮な体験です。毎回、シナリオのないトークを参加者と一緒につくるスリリングな楽しさがあります。誰かと話していると番組のアイディアも浮かぶ、気になることも相談できる。また、Harukana Showとして到達ゴールはないので、さまざまな話題に寄り道できます。おかげで、偶然がつながり、番組作りが思わぬ方向に展開します。続きが分からないので、次が楽しみです。-Mugi

LOSで紹介したHarukana Showの番組事例

■ラジオからVRな体験へ

No.516, Feb.12, 2021,レスリングをしながら描き続けた絵と夢with TomoyaさんNo.517, Feb.19, 2021, パラオを訪問し画家の道へ with TomoyaさんNo.518, Feb.26, 2021, 専業画家としての歩き方、人とのつながりwith TomoyaNo.549-2, Oct.1, 2021, 念願のVR 美術館 をオープン、国際文化交流の場に with TomoyaNo.550-2, Oct.8, 2021, WESON MUSEUM(VR美術館)をリアルに体験 with TomoyaNo.585, June 10, 2022, 「VR美術館でリアルタイムに国際文化交流」with Tomoya Uemura

■時間と場所をこえて記録をつなぐプロジェクト

2021年冬Mugikoは、イリノイ大学名誉教授のD. Plathさんから相談のメールを受けました。「1950年代末の松本市でのフィールドワークの記録と柳沢健さんの絵を、地元にお返ししたいが、現在は長野県とのつながりはない」。HS番組出演者と相談しました。まずは、柳沢健さんをどのように探して連絡すればよいか。その後の展開は、下記のHSサイトをご覧ください。ラジオとインターネットと電話と手紙と小包、日米と日本国内を様々な媒体を使って関係をつなぎ、2021年秋には、Plathさんのフィールドワークの記録と健さんの絵は、イリノイから長野県にある朝日美術館に届きます。先月、健さんの息子の一実さんから、「父がパッケージ画を依頼された御菓子」を送っていただきました。

No.20-2, August12, 2011,A Year in Japan(YIJ)、No.553-2, Oct.29, 2021, 時間と場所をこえて記録をつなぐプロジェクト第1話 with D. Plath & 柳沢健No.554-2,Nov.5, 2021, 第2話・Illinois&Nagano with D. Plath & 柳沢健&朝日美術館No.577, April 15, 2022, 第3話 海を渡った父の絵と朝日美術館で対面

■ラジオなご縁

HSが始まった年の暮れ、Mugikoはオンラインでたまたま、HSを紹介する「米国コミュニティFMで日本語番組」(2011年12月「月刊短波」)という記事を見つけました。記事を書いたHiraharaさんと、思わぬご縁がつながっていきます。

*No.180, Sept.5, 2014 『日本時間』、ラジオとネットがつなぐ縁*No.202, Feb.06, 2015 海外からの短波放送を「つなげる」 with Hirahara-san*No.203, Feb.13, 2015, World Radio Dayにラジオの歴史トークwith Hirahara-sanNo.438, August9, 2019「 不思議なご縁」、Rakutoくん、HS初出演

■スピッツ「ラジオデイズ」■Enrique Iglesias 3:28「Subeme la Radio

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